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当ブログへ起しいただき、心から感謝いたします。映画の感想やスポーツ観戦の記事、写真中心のブログです。

『スーパー・チューズデー ~正義を売った日~』

『スーパー・チューズデー ~正義を売った日~』

原題:The Ides of March

 

2011年製作/アメリカ映画/上映時間:101分/G/2012年3月31日日本公開

 

監督:ジョージ・クルーニー

出演:ライアン・ゴズリング

   ジョージ・クルーニー

   フィリップ・シーモア・ホフマン ほか

 

2004年の民主党大統領予備選に立候補したハワード・ディーンの選挙キャンペーンでスタッフとして働いていたボー・ウィリモンによる戯曲「ファラガット・ノース」を、ジョージ・クルーニーが映画化した政治ドラマです。

ルーニーは製作&監督&脚本&出演を担当。

製作総指揮にレオナルド・ディカプリオが名を連ねております。

 

あらすじ

 

マイク・モリス知事(ジョージ・クルーニー)の大統領選挙キャンペーンチームで戦略担当を務めるスティーヴン(ライアン・ゴズリング)は、決戦のキーポイントとなるオハイオ州予備選討論会の後、ライバル陣営から密会の依頼を受ける。その後、インターンとして働く女性と仲良くなった彼は、選挙戦を揺るがす重大な秘密を知ってしまう。やがて彼はし烈な情報操作戦の渦中へと巻き込まれていく。

シネマトゥデイより)

 

アメリカ大統領予備選挙を舞台に、選挙戦の裏側をスキャンダラスに描いた政治ドラマです。

大統領候補の選挙参謀を、『ドライヴ』のライアン・ゴズリングが熱演するほか、共演にはフィリップ・シーモア・ホフマンポール・ジアマッティら演技派が名を連ねております。

 

dTVにて鑑賞。

初めての鑑賞になります。

dTV、2度目のレンタルになります。(今回もポイント使いましたが)

 

当初は『スター・ウォーズ』の鑑賞を予定しておりましたが、本日5月6日がジョージ・クルーニー、61歳のお誕生日とTwitterで知り、急遽予定変更。

観ていない作品がいいと思い、本作を選択いたしました。

Happy Birthday!

 

マイク・モリス知事の大統領選挙キャンペーンチームで働くスティーブンは、オハイオ州予備選討論会の後、対立候補陣営から密会を持ちかけられ・・・。

 

ジョージ・クルーニー George Timothy Clooney

1961年5月6日、アメリカ合衆国ケンタッキー州レキシントン生まれ。

 

1978年にテレビドラマで俳優デビュー。

1994年~1999年までテレビドラマ『ER 緊急救命室』でダグ・ロス医師役を演じ、知名度を上げ、エミー賞にもノミネート。

映画出演も増え、1998年、スティーヴン・ソダーバーグ監督作『アウト・オブ・サイト』に主演。

2001年にふたたびソダーバーグ監督と組んだ『オーシャンズ11』が世界的に大ヒットを記録。

2002年に伝記映画『コンフェッション』で監督デビュー。

2005年の監督&出演作『グッドナイト&グッドラック』でアカデミー賞、作品賞、監督賞などにノミネート。

同年出演した『シリアナ』でアカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞。

2012年に製作を担当した『アルゴ』がアカデミー賞最優秀作品賞を受賞。

Wikipediaを参考にいたしました)

 

トム・クルーズ同様、イヤミの無いハンサムな俳優さんで嫌いだという映画ファンがほとんどいないと言っていい人だと思います。

俳優だけでなく、多才な活躍をしている映画人です。

また、チャリティー活動なども積極的に行っております。

 

あまり知られておりませんが、一度バットマンを演じております。(本人、黒歴史と認めております)

自分は作品は『グッドナイト&グッドラック』、俳優としての演技は『マイレージ、マイライフ』が大好きです。

 

邦題の『スーパー・チューズデー』とは”決戦の火曜日”という意味で(ドリカムの歌・・・ではありません。そちらは金曜日だったような気が)、4年に一度行われるアメリカ大統領選挙の内幕をスリリングに描いた映画になっております。

 

原題の『The Ides of March』はジュリアス・シーザーがローマの元老院でブルータスらに暗殺された紀元前44年の「3月15日」を意味しております。

ルーニーはこのタイトルにかなりこだわっていたらしく、陰謀や裏切りが渦巻く政治の舞台裏を上手く表現した言葉になっているように思います。

 

1950年代のアメリカに暗い影を落とした赤狩りを描いた『グッドナイト&グッドラック』は傑作で、映画館で食い入るように鑑賞してしまいました。

 

本作も長いものに巻かれず、己の信念を貫く理想主義者の男を描いております。

ですが、その男も知らぬうちに政治という暗闇に飲み込まれてしまいます。

 

大統領選挙、当然、勝者と敗者が存在します。

その勝者を誰が、そして何が決めるのか?

”清き一票”などというきれい事は言っていられない。

 

候補者を取り巻く人間たちの思惑。

勝敗の鍵を握る議員や、スクープを狙う女性ジャーナリスト。

誰もが自己の地位や利益のために、時に残酷に、時に平然とウソと裏切りを繰り返していく。

 

冒頭の「自分の信じる信仰は”アメリカ合衆国憲法です”」というセリフが実に皮肉に聞こえてきます。

 

フィリップ・シーモア・ホフマンがいつもながらの名演。

彼の誕生日が来たら、当然祝福の気持ちと共に出演作の紹介をしたいですが、残念ながら、もうその日は訪れません。

本当に寂しいですね。

 

大統領選挙の裏で行われる争いの巻き込まれてしまう若き選挙インターンを演じたエヴァン・レイチェル・ウッドが魅力的でした。

ジェンダー平等という言葉がまだ先だった時代に、男性たちの創り上げた世界の被害者になってしまう姿がとても切なかったです。

 

ジャーナリストを父に持つジョージ・クルーニーらしい作りの映画になっており、『グッドナイト&グッドラック』同様、映画的な面白さより、人間のリアルな姿を上手くとらえたタイプの作品になっていたと思いました。

 

キャストが本当にすばらしく、特に「何を考えているのか分からない」キャラクターを演じさせたら天下一品のライアン・ゴズリングを主演にしたことは大成功と言えると思います。

 

ジョージ・クルーニーはあまり本作を気に入っていないそうですが、自分は十分楽しめました。

政治ドラマですが、それほど肩に力を入れずに観れる映画になっていたと思います。

 

自分の国のトップを国民が選べる。

日本人の立場で言うと、かなり羨ましいことなのですが・・・。

 

スター・ウォーズ』エピソード8のレビュー記事はまた近いうちに。

 

 

『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』

スター・ウォーズ/フォースの覚醒

原題:Star Wars: The Force Awakens

 

2015年製作/アメリカ映画/上映時間:136分/G/2015年12月18日日本公開

 

監督:JJ・エイブラムス

出演:ハリソン・フォード

   デイジー・リドリー

   アダム・ドライヴァー ほか

 

2005年の『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』で新3部作が完結してから10年ぶりに製作・公開されたSF映画の金字塔『スター・ウォーズ』のシリーズ7作目です。

オリジナル3部作の最終章『ジェダイの帰還』から約30年後を舞台に、新たな物語が始まります。

監督は『スター・トレック』などのJJ・エイブラムス。

 

あらすじ

 

砂漠の惑星で暮らす女性レイ(デイジー・リドリー)は何年も家族の帰りを待ち続けた後、BB-8とストームトルーパーの脱走兵フィン(ジョン・ボイエガ)と出会う。一方、帝国軍の残党ファースト・オーダーのカイロ・レン(アダム・ドライヴァー)は、行方不明のルーク・スカイウォーカーマーク・ハミル)を捜していた。

シネマトゥデイより)

 

SF映画の金字塔にして世界中で愛され続ける人気シリーズの新3部作第1章です。

今回の新3部作には、生みの親のジョージ・ルーカスはタッチしておりません。

ジョン・ボイエガデイジー・リドリーオスカー・アイザックアダム・ドライヴァーら新たなキャストと旧シリーズのマーク・ハミルハリソン・フォードらが出演。

 

Disney+にて鑑賞。

映画館以来、2度目の鑑賞になります。

 

本日、5月4日は「『スター・ウォーズ』の日」とのことで、(劇中の有名なセリフ、”Mey the Force Be With You”=フォースと共にあらんことを。とMay(5月)the 4th(4日)ともじった、ある意味ダジャレ)だと知り、大急ぎで作品選びを。

 

エピソード1~6はそれぞれ3回以上鑑賞しておりますが、悪名高き(?)7~9は映画館で一回きりしか観ていなかったので、新たな発見などあるかもと思い、今回はエピソード7・フォースの覚醒を選びました。

 

伝説のジェダイルーク・スカイウォーカーがいずこかへと姿を消し、帝国軍の残党「ファースト・オーダー」が台頭。レイア・オーガナ率いるレジスタンスが抵抗運動を続けているが、銀河には再び暗雲が立ち込めていた。

 

砂漠の惑星ジャクーで廃品回収をしながらひとり暮らしていたレイは、ある日、砂漠をさまよっていたドロイドのBB-8と出会う。BB-8は、レジスタンスがようやくつかんだルーク・スカイウォーカーの手がかりを託されており、ファースト・オーダーに狙われていた。

 

レイは、ファースト・オーダーを脱走してきたストームトルーパーのフィンと協力しながら、BB-8を連れて逃走し、その過程でかつてルークとともに戦ったハン・ソロと出会うが・・・。

自分が人生で初めて映画館で観た外国映画が『スター・ウォーズ』第1作(エピソード4)です。

当時、小学校低学年で本当は同時期公開されていた『さらば宇宙戦艦ヤマト~愛の戦士たち~』の方を観たかったのですが、親が連れて行ってくれたので文句は言えませんでした。

 

この頃は映画館で上映される外国映画はすべて字幕スーパーで日本語吹き替え版など無く、字幕を読み切れないところが多かったですが、圧倒的な迫力と魅力的なキャラクター。

この映画の世界観に魅了され、虜になってしまいました。

 

・・・ただ、この当時の映画ファンすべてが、この1978年に公開された『スター・ウォーズ』に諸手を挙げて賞賛したワケではありませんでした。

 

今では信じられないことですが、これほどの超・話題作が何とアメリカより公開が1年以上も遅れたこと。

故人の名誉のため、お名前は伏せますが、最初の公開ヴァージョンの翻訳の酷さ。

フォースという言葉は『スター・ウォーズ』のオリジナルの言葉なのですが、翻訳する言葉が見つからず”理力”などと表示されたおりました。

 

・・・ただ、今思い返すと、これらのこともとても懐かしい記憶として残っております。

 

ルーカスフィルムがディズニーに買収され、ルーカス不在で新たな『スター・ウォーズ』3部作が製作されると聞いたときは、それこそ「イヤな予感がする」と思いました。

 

マーク・ハミルは製作に反対だったそうで、出演に消極的だったそうです。

ただ、いろんな情報は入ってきて、JJが監督、『帝国の逆襲』、『ジェダイの帰還』のローレンス・カスダンがシナリオに携わると知り、「観れる映画にはなりそう」という多少の期待も持てるようになりました。

 

銀河系の秩序を守った伝説のジェダイルーク・スカイウォーカーが消えてしまった・・・というテロップから始まる本作。

ふむふむ、ルークは文字通りジョージ・ルーカスの分身。

そのルーカス不在の作品なので、いきなりルークがいなくなっちゃったところから、始まるんだなと思いました。(違う気が・・・)

 

帝国軍の残党=ファースト・オーダーが残党と言う割に凄いスケールだな~などという違和感もありながら、冒頭のシーンに名優・マックス・フォン・シドーの登場で、何か矛盾の多いストーリーもそれほど気にならず、初めて『スター・ウォーズ』を観たときと同じように世界観に引き込まれていきました。

 

ルーク、ハン・ソロ、レイアと言った旧人気キャラにおんぶに抱っこな作りにしなかったところが良かったです。

新たなキャスト、そしてキャラクターに重点を置かれて作られていたところは「JJ、ナイス!」と言いたくなりました。

 

主人公・レイを演じるデイジー・リドリーがステキですね。

生い立ちなど不明な貧しく暮らし、両親の帰りを待ち続けている少女。

彼女がファースト・オーダーに立ち向かう”新たなる希望”になるのか?

なぜ、フォースを使えるのかなど、謎多きキャラクターを魅力的に演じていたと思います。

 

元ストームトゥルーパーでレジスタンスに協力するフィンというキャラクターの設定も面白いと思いました。

仮面ライダー』で言えば、ショッカー戦闘員が少年ライダー隊に入隊するような感じ。

帝国軍のストームトゥルーパーはすべてクローンだったと記憶しておりますが、ファーストオーダーは違うみたいで、旧作との変化を取り入れていたところは面白く感じました。

オスカー・アイザック演じるポー・ダメロンとのコンビぶりもいいですね。

 

そして何と言っても大きな収穫は厨二病的悪役、カイロ・レンを演じたアダム・ドライヴァー

彼を初めて観たのが本作ですが、その後の活躍はまさに飛ぶXウイングをを堕とす勢い。

 

もちろん、旧キャラの登場も喜ぶべきことなのですが、ハリソン・フォードはともかく、こんなお婆ちゃんになっちゃったレイア姫を観たくなかった気も・・・。

 

兎にも角にも賛否両論の本作。

もちろん『エピソード4』と比較しては落ちるのは間違いありません。

(『エピソード4』の焼き直しなどの声もありますが)

 

しかし、ここからはあくまで個人的な意見なのですが、『エピソード1/ファントム・メナス』と比較してはどうでしょうか?

 

魅力的な新キャラが少なかった『ファントム・メナス』。

特にシリーズ1番の嫌われ者、ジャージャー・ビンクスのウザさは凄まじかった。

 

また、ルーカスはあまりにCGを多様し過ぎ、何か人の手と言うより機械が作った映画を観ている気分でした。

若きオビ=ワン・ケノービを演じたユアン・マクレガーも「ほとんどグリーンスクリーンの前で演技をして退屈だった」とコメントしております。

 

JJは逆にCGは最小限に抑え、実物大のセットを作ったり、爆薬なども本物を使っております。

 

ファントム・メナス』と『フォースの覚醒』を比較すると、どうしても原点である『新たなる希望』に近い本作に温もりを感じてしまいます。

ルーカス不在であっても・・・。

 

ルーカスという映画人は、これも自分個人的な意見なのですが、映画監督という点より、技術者としての功績が高い人のように思います。

物語を伝える人・・・という意味ではコッポラやスピルバーグとは異なるタイプだと思います。

 

JJの作家としての才能も正直賞賛するほどではありません。

ですが、ヲタクのハートを掴むのは上手い監督なんですよね。

エピソード1~3で失望したエピソード4~6を愛するファンは本作に大喜びしたのは間違いありません。

 

ですが、様々な伏線を張り巡らし、それを次回作に丸投げしてしまう無責任さもJJらしさ全開。

 

ジェームズ・キャメロンが携わっていない『ターミネーター』を嫌っていたファンも『ニュー・フェイト』を観て「・・・」となってしまった人がいると思います。

ルーカスが当初予定していた『エピソード7』がどんなものなのか知りたい気持ちも強いですが、ルーカス不在の中、ルーカスへの尊敬の気持ちとファンへの愛情を込めて作られたカスダンとJJのシナリオは本当に頑張っていたと感じます。

 

今回2度目の鑑賞で、特別新たな発見などは無かったですが、最後まで楽しめる作品に仕上がっており、シリーズ初のアナキン・スカイウォーカー不在の映画でしたが、それも気になりませんでした。

 

伝説のジェダイ、ルークと顔を合わせたレイ。

次回、『エピソード8』へ続く。

「イヤな予感がする」・・・。

 

 

 

『ドライブ・マイ・カー』 インターナショナル版

『ドライブ・マイ・カー』

 

2021年製作/日本映画/上映時間:178分/R15+/2021年8月20日日本公開

 

監督:濱口竜介

出演:西島秀俊

   三浦透子

   霧島れいか ほか

 

村上春樹の短編小説集「女のいない男たち」に収録された短編「ドライブ・マイ・カー」を『寝ても覚めても』などの濱口竜介が監督と脚本を手掛け映画化した作品です。

妻を失い喪失感を抱えながら生きる主人公が、ある女性との出会いをきっかけに新たな一歩を踏み出す姿が描かれます。

2021年・第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、日本映画では初となる脚本賞を受賞。

2022年・第94回アカデミー賞では日本映画史上初となる作品賞にノミネートされる快挙を成し遂げたほか、監督賞、脚色賞、国際長編映画賞とあわせて4部門でノミネート。日本映画としては『おくりびと』以来13年ぶりに国際長編映画賞(旧外国語映画賞)を受賞。

 

あらすじ

 

脚本家である妻の音(霧島れいか)と幸せな日々を過ごしていた舞台俳優兼演出家の家福悠介(西島秀俊)だが、妻はある秘密を残したまま突然この世から消える。2年後、悠介はある演劇祭で演出を担当することになり、愛車のサーブで広島に向かう。口数の少ない専属ドライバーの渡利みさき(三浦透子)と時間を共有するうちに悠介は、それまで目を向けようとしなかったあることに気づかされる。

シネマトゥデイより)

 

村上春樹の短編小説を原作に描くヒューマンドラマです。

カンヌ国際映画祭、米アカデミー賞などで数多くの賞を受賞。

主演に西島秀俊

共演に三浦透子霧島れいか岡田将生ら。

 

dTVにて鑑賞。

初めての鑑賞になります。

 

dTV、初レンタルで本作を選びました。(『スパイダーマン~』、『ゴーストバスターズ~』まだお値段高かった)

・・・と言ってもポイントを使ってのレンタルですが・・・。

 

これだけ国際的に高い評価の日本映画だと、さすがに観てみたくなります。

映倫の区分ですが、劇場公開版はPG12、BDなどの映像ソフト、AmazonプライムビデオやdTVなどのネット配信のインターナショナル版はR15+指定になっております。

 

舞台俳優で演出家の家福悠介は、脚本家の妻・音と幸せに暮らしていた。しかし、妻はある秘密を残したまま他界してしまう。

 

2年後、喪失感を抱えながら生きていた彼は、演劇祭で演出を担当することになり、愛車のサーブで広島へ向かう。そこで出会った寡黙な専属ドライバーのみさきと過ごす中で、家福はそれまで目を背けていたあることに気づかされていく・・・。

 

村上春樹氏の原作は未読です。

50ページくらいの短い物語だそうですが、それを大幅に脚色し、日本映画としては異例の約3時間という長さの作品に仕上げた濱口竜介監督の技量・力量に感服。

映画は人間の持つ多面性や罪を背負う気持ち、自己再生などが描かれていると思いました。

 

映画.comの短評によると、カンヌ国際映画祭で本作が脚本賞を受賞したとき、かなり落胆した海外の批評家の姿があったそうです。

それは、この作品のシナリオが悪いという意味では無く、もっと大きな賞を受賞するのを期待していたからだそうです。

つまり、本作はもしかするとパルムドールを獲れていたかもしれない。

それくらい高い評価を受けた映画と言えます。

 

北野武監督にも言えることなのですが、海外で評価が高い監督は逆に国内ではウケが悪い傾向にあります。

 

本作に否定的だったレビューを拝読させていただきました。

「つまらない、退屈」。

「拷問」。

「意味が分からない」。

「なぜ、これがアカデミー賞?」。

「露骨なわいせつなセリフが気持ち悪い」などなど。

 

あくまで自分の感想ですが、『おくりびと』に比べると感動的な映画ではありませんし、万人向けな作りもしていないと思います。

同じ”ドラ”でも「『ドラえもん』を観れば良かった」という意見もありましたが、「ドラえもん」よりは難解だと思います。(笑)

 

ですが、カンヌ国際映画祭で賞を受賞したシナリオのすばらしさ。

言葉ひとつひとつが丁寧に、そして心の中まで響くものになっているのは「凄い」と感じました。

 

突然妻に先立たれてしまった家福(西島秀俊)。

2年経っても、その心の傷は癒えず、いつも妻の残した声の入った舞台のセリフのカセットテープを車中で聴いている。

妻の語る言葉を大切にしている家福の姿が感じられました。

 

また、家福が演出をする舞台「ワーニャ叔父さん」を日本語だけでなく、韓国語、中国語など多国語にしているところも、本作が言葉の持つ重さや、言葉の違いという壁の存在を否定し、気持ちは通じ合えることを映し出していたように思いました。

 

出演者も国際色豊かです。

当然初めて知る俳優さんが多かったのですが、皆さん、いい演技を披露していたと思います。

 

瀬戸内海のロケーションの美しさが際立っていたと思いました。

まさに絶景です。

 

登場人物たちが何を求めているのか?

どこへ向かって歩んでいこうとしているのか?

それが分からないだけに、この美しい車内から見える景色はある意味、癒やしのように感じました。

 

救われなかった気持ち。

救えたはずの気持ち。

救われた気持ち。

 

それらを乗せて自動車は走り続けます。

 

チェーホフの「ワーニャ叔父さん」を知っていれば、この映画の良さがもっと分かったかもしれないと思うと、予習しておくべきだったな~と思ってしまいました。

 

岡田将生さんのイケメンぶりはハリウッドでも話題になったそうですね。

アカデミー賞授賞式でもいろんな方に声を掛けられたそうです。

濱口監督もスピルバーグに直に褒めてもらったそうで、「何か、凄いな~」と思ってしまいました。

 

長い、明確な答えを提示しないなど、日本映画らしからぬ作りになっているので嫌いな人が多いのもうなずける映画です。

 

自分は劇中の舞台のラストシーン、手話で語られる言葉が感動的で胸が熱くなりました。

人はギアをバックに入れず、憎しみも悲しみも喜びも乗せて、常に前へ走らなければならない。

後ろには何も無いのですから・・・。

 

カンヌ国際映画祭アカデミー賞受賞文句なしの大傑作だと思いました。

 

 

『ミスエデュケーション』

『ミスエデュケーション』

原題:The Miseducation of Cameron Post

 

2018年製作/アメリカ映画/上映時間:91分/日本劇場未公開作品

 

監督:デジレー・アッカヴァン

出演:クロエ・グレース・モレッツ

   ジョン・ギャラガー・Jr

   サッシャ・レイン ほか

 

キック・アス』シリーズなどのクロエ・グレース・モレッツLGBTの高校生役に挑み、サンダンス映画祭でグランプリを受賞した青春ドラマです。

共演に『ショート・ターム』のジョン・ギャラガー・Jrなど。

 

あらすじ

 

両親を亡くし、保守的な叔母と暮らすキャメロン・ポストは、同性の恋人を持つ高校生。プロムの夜、彼女は車の後部座席で恋人とセックスに及ぶが、運悪く同級生に目撃されてしまう。それを知った叔母は、キャメロンを矯正治療施設「神の約束」に入所させるのだった。治療に消極的なキャメロンだったが、次第に同じ施設に暮らすはみ出し者のジェーンやアダムと絆を深めていき・・・。

(Filmarks映画より)

 

クロエ・グレース・モレッツ(以下、クロエたん)がLGBTの高校生を演じた青春映画です。

日本劇場未公開作品のため、あまり資料が少ないので詳細を書けないところが多いと思います。

ご了承ください。

 

dTVにて鑑賞。

初めての鑑賞になります。

 

日本劇場未公開作品、同性愛者を描いた映画ということで鑑賞するか迷っておりました。

本日、4月30日で配信終了とのことで、やはり大好きなクロエたん主演なので観ておこうと思い鑑賞いたしました。

 

1993年。交通事故で両親を亡くした高校生キャメロンは、保守的な叔母のもとで暮らしている。ホームカミングの夜、彼女は車の後部座席で同性の恋人とセックスしているところを同級生に目撃され、同性愛者であることを周囲に知られてしまう。

 

激怒した叔母により、矯正治療施設「神の約束」に無理やり入所させられたキャメロンは、理不尽な治療に抵抗しながらも、同じく入所者のジェーンやアダムと絆を深めていく・・・。

 

日本ではそれほど馴染みの無い言葉(私が知らないだけ?)LGBTを描いた青春映画です。

L(レズビアン

G(ゲイ)

B(バイセクシャル

T(トランスジェンダー

の頭文字の略です。

 

ライオンズ、ジャイアンツ、バファローズベイスターズ?)、タイガースの略ではありません。

 

女子高生のキャメロンは同性の恋人とカーセックスしているところを目撃され、矯正治療施設に無理矢理入居されられてしまう。

そこは宗教原理主義を押しつけ、自由を奪う所だった・・・。

 

LGBTアメリカの宗教の考え方と日本人向けで無いテーマだったのでクロエたん主演でも日本劇場未公開作品になってしまったのも致し方ないかと思ってしまいました。

 

同性愛というのは病気で矯正治療施設に入れることで治るのか?

また、宗教の考え方、あまりに偏った考え方で信仰心を押しつけることは、本当に救いになるのか?

そのようなことを描いた映画のように思いました。

 

同性愛者の是非を問う映画と言うより、間違った宗教の考え方は人の自由を奪うことを映し出していたように感じました。

先日鑑賞した『ウィッチ』同様、信仰心の考え方の難しさ、一歩間違うと恐ろしいものが待っていると思いました。

 

キリスト教では同性愛は罪と言われております。

しかし、父親への怒りを口にした少年を足で踏みつける。

アメリカ先住民の少年の長髪を認めずバリカンで丸刈りにする。

それが本当に神の教え、善なのでしょうか?

 

信仰心を持つことは悪いことではありませんが、それを歪めて解釈し、自己の理論で他者に押しつけることは、「精神的虐待」になってしまう。

 

映画はそのような施設での生活の息苦しさや生きづらい姿を描いております。

 

クロエたんが本当に可愛い!💖

どアップの多さや必要以上(?)の女性同士のキスシーンの多さなど、監督もファンサービスを忘れていない作りをしておりました。(意味不明)

 

同性愛や宗教の考え方に明確な正解があるかは分かりません。

ただ、人には考え方の違いはあれど、自由に生きる権利があると思います。

ラストシーンは名作『カッコーの巣の上で』を思い出してしまいました。

 

あまり日本人に馴染みの無いテーマの多い作品なので、オススメするのは難しいですが、クロエたんがお好きなら、ぜひ。

 

 

『ミッドナイト・サン ~タイヨウのうた~』

『ミッドナイト・サン ~タイヨウのうた~』

原題:Midnight Sun

 

2018年製作/アメリカ映画/上映時間:92分/G/2018年5月11日日本公開

 

監督:スコット・スピアー

出演:ベラ・ソーン

   パトリック・シュワルツェネッガー

   ロブ・リグル ほか

 

2006年の日本映画『タイヨウのうた』をハリウッドでリメイクしたラブストーリーです。

太陽の光に当たることができない病を抱えた少女と夢を諦めた青年の愛の物語が描かれます。

 

あらすじ

 

太陽の光線に過剰反応する“XP(色素性乾皮症)”という難病を患う17歳のケイティ(ベラ・ソーン)は、幼いころから日中は父親と二人でずっと家にこもっていた。夜しか外出できない彼女のたった一つの楽しみは、毎晩駅前でギターを手に歌うことだった。ある日、ケイティはチャーリー(パトリック・シュワルツェネッガー)と出会い……。

シネマトゥデイより)

 

YUI主演の日本映画『タイヨウのうた』をハリウッドでリメイクしたラブストーリーです。

ドラマ「シェキラ!」などのベラ・ソーンと、アーノルド・シュワルツェネッガーの息子パトリック・シュワルツェネッガーカップルを演じております。

 

dTVにて鑑賞。

初めての鑑賞になります。

 

特に理由は無く本作を選びました。

監督&キャストは誰も知りませんでした。

原作は日本のものというのはエンドクレジットで知りました。

 

太陽の光に当たれない病「XP」を抱える17歳のケイティは、幼い頃から昼間は外出できず、父親と2人で時間が経つのを待つだけの毎日を送ってきた。

 

そんな彼女の唯一の楽しみは、夜の駅前で通行人相手にギターの弾き語りをすること。ある夜、同年代の青年チャーリーと出会ったケイティは、チャーリーに病気のことを隠したまま、急速に惹かれ合っていく・・・。

 

シュワちゃんの息子さんが映画デビューしていたとは知りませんでした。

映画『ジュニア』のとき、シュワちゃんのお腹から出てきた子どもさんでしょうか?(んなワケない)

 

かなりのイケメンさんでした。

ただ、まだ演技は多少ぎこちなさもありました。

ですが、お父さんも間違っても”演技派俳優”ではありませんので、息子さんもマイペースで頑張っていってもらえればと思います。

 

そう言えばスタローンの息子も『ロッキー5/最後のドラマ』に出演しておりましたが、どこかへ消えてしまいましたね。(悪い例を引き合いに出してはいけない・・・)

 

オリジナルはまったく知りませんでした。

2006年公開の日本映画ですが、原案は1993年の香港映画『つきせぬ想い』。

2006年、映画公開の年にTBS系でドラマ化もされ、沢尻エリカさん&山田孝之さん主演(結構豪華ですね)。

 

色素性乾皮症(XP)という病気は本当にあるとのこと。

沢尻エリカさんは別の意味でお天道さまの下を歩けなくなってしまいましたね。(そんなことを言ってはいけない。そこまでの重罪じゃないし)

 

健常者の2千倍の確率で皮膚がんになる可能性のある、10万人に一人と言われる難病を患った歌を愛する少女と、手術で水泳を諦めたイケメン青年のラブロマンスなのですが、ヒロインのおバカぶりに少し呆れてしまいました。

 

ストリートミュージシャンとして歌を披露しているとき、偶然憧れていたチャーリーと出会い、瞬く間に恋に落ちます。

しかし、自分が特別な病気と知られたくなく、それを隠し続けるケイティ。

ある晩、真夜中に海で遊び(塩水に浸かって大丈夫なのかな?)、気づくと日の出の時刻に。

「(時計が)防水じゃない」と怒りだし、チャーリーに「全速力で家へ帰れ」と命令。

何事か分からないまま、言われるがまま車を走らせるチャーリー。

しかし、残酷にも日光がケイティの皮膚に当たってしまう・・・。

 

本当に愛するのであれば、逆に隠し事はご法度のように思います。

しかも命に関わることです。

XPの患者さんは万が一のため、宇宙服のような紫外線防護用の服を持ち運んでいるとWikipediaにありましたが、ケイティはパーカーのフードも毛布だけ。

この辺りのリアリティの無さが評価が分かれるところのように思いました。

 

歌がある意味メインであるはずなのですが、ケイティの歌が心に響かないんですよね~。

これが、とても残念に思いました。

彼女がレコーディングした曲がラジオに流れますが、それが同じ病気で苦しんでいる人たちに勇気を与える・・・みたいな感じだったら感動できたのですが、身内だけが喜んでいるのでは何とも言えません。

 

yahoo!レビューも映画.comのレビューも賞賛の嵐でしたが、申し訳ありませんが、自分はダメでした。

ですが、直射日光を浴びて溶けてしまったストライプグレムリンよりはケイティに感情移入できるのは間違いありません。

 

 

『オーシャンズ8』

オーシャンズ8

原題:Ocean's Eight

 

2018年製作/アメリカ映画/上映時間:110分/G/2018年8月10日日本公開

 

監督:ゲイリー・ロス

出演:サンドラ・ブロック

   ケイト・ブランシェット

   アン・ハサウェイ ほか

 

ジョージ・クルーニーほかオールスターキャスト共演で話題を集めた『オーシャンズ』シリーズを、新たにオール女性キャストで描くクライムエンタテインメントです。

女性8人の犯罪チームが、ニューヨークで開催されるファッションショーで強奪計画に挑みます。

監督は『ハンガー・ゲーム』などのゲイリー・ロス

 

あらすじ

 

仮出所したデビー・オーシャン(サンドラ・ブロック)は、服役中に考えていた犯罪計画を実行しようとする。それは、ニューヨークで開催される世界最大規模のファッションの祭典メットガラに出席する女優ダフネ・クルーガー(アン・ハサウェイ)が身に着ける1億5,000万ドルの宝石を盗み出すというものだった。デビーは旧知の仲のルー・ミラー(ケイト・ブランシェット)を相棒に、ハッカー、スリ、盗品ディーラーらを集めてチームを結成する。

シネマトゥデイより)

 

犯罪チームの活躍を描いた『オーシャンズ』シリーズの第4弾です。

『しあわせの隠れ場所』などのサンドラ・ブロック、『ブルージャスミン』などのケイト・ブランシェット、『レ・ミゼラブル』などのアン・ハサウェイら豪華キャストが集結。

 

Amazonプライムビデオにて鑑賞。

初めての鑑賞になります。

 

豪華女優陣の競演と間もなく見放題終了とのことで、今回は本作を選びました。

ジョージ・クルーニー主演の『オーシャンズ』シリーズは『11』のみ観ております。

元ネタのフランク・シナトラ主演の『オーシャンと十一人の仲間』は観ておりません。

 

史上最強の犯罪ドリームチーム「オーシャンズ」を率いたカリスマ的リーダー、ダニー・オーシャンの妹デビーが仮釈放された。出所したデビーは犯罪プロフェッショナルである7人の女性に声をかけ、ニューヨークで開催される世界的ファッションイベント「メットガラ」の会場で1億5000万ドルの宝石を盗み出すという前代未聞の計画を実行に移す・・・。

 

ぶっちゃけ、『オーシャンズ11』はそれほど面白いとは感じず、続編はスルーしてしまったのですが、本作はなかなか面白かったですね。

犯罪ドラマとしてより、女性キャラクターならではの個性や家族のような協力関係など、男性同士の仲間意識とは違う魅力があったように思いました。

人種も多様で良かったです。

 

アン・ハサウェイはハリウッドでは嫌われているんですね。

本作の短評で知りました。

その彼女の自虐的なネタがたしかにありました。

それを知ってまた観るのも面白いかもしれません。

 

でも、やっぱり綺麗で魅力的に思えました。

ハリウッドに嫌われても、私は大好きです!

 

どの女優さんも個性的で良かったですが、やはり目が行ってしまうのがケイト・ブランシェット

スマートでクール。

彼女にしか演じられない役で、単車に乗る姿は本当にカッコ良かったです。

 

ティム・バートン監督と別れてから、少しパッとしない作品が続いたヘレナ・ボナム・カーターも久々に味のある演技を披露していたと思います。

ただ、いつ観ても、どうしても濱田マリさんとダブって観えてしまうんですよね~。

 

・・・ただ、犯罪ドラマとして観ると、物足りなさがかなりある作品でした。

 

まず、標的の1億ドル以上するダイヤモンドのネックレス。

それを3Dコピー機みたいなもので複製する時点で少し引いてしまいました。

つまり、盗むと言うよりすり替えるのが目的なんですよね。

 

このネックレスを手に入れるため、仲間たちが力を合わせ活動するストーリー・・・のはずなのですが、実は本当の目的は別にあったというところは後出しジャンケンのような気がして、あまりスッキリしませんでした。

 

結局は復讐ドラマの落ち着いてしまったところも何とも言えない感想。

犯罪者集団が復讐目的で大金を手に入れると言えば、名作『スティング』と同じですが、あの作品ほどの爽快感が無かったのは残念。

 

ですが、女性の友情を描いた映画は少ないので、そう言った意味では心に来るものがあったと思います。

今の時代、「男だから」、「女だから」などと言うのは野暮だと思います。

男性ができたことを女性もできると証明する。

そんな映画として観ると、女性脚本家&女性キャストの努力が伝わるのではないでしょうか?

 

最後、1カットでいいからサンドラ・ブロックジョージ・クルーニーが一緒に映るシーンがあれば嬉しかったのですが、二人は宇宙空間で離ればなれになっちゃったからムリか・・・。

 

 

『スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号』

『スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号』

 

2015年製作/日本映画/上映時間:95分/G/2015年3月21日日本公開

 

監督:柴崎貴行

出演:竹内涼真

   中村優

   及川光博 ほか

 

石ノ森章太郎の原作に描かれながらテレビシリーズには現れなかった幻のキャラクター、仮面ライダー3号がほかのライダーたちと登場するアクション映画です。

仮面ライダー3号を『相棒』シリーズなどの及川光博が演じております。

 

あらすじ

 

1973年。仮面ライダー1号仮面ライダー2号はショッカーを壊滅させるも、ショッカーが開発したとてつもない強さを誇るライダー、仮面ライダー3号によって亡き者とされてしまう。そして2015年、全世界はショッカーによって支配されていた。ショッカーの一員である泊進ノ介(竹内涼真)はショッカーの卑劣さを見るうちに、子供たちを救った仮面ライダーBLACKのことを思い出す。そんな進ノ介の前に仮面ライダー3号こと黒井響一郎(及川光博)が出現し……。

シネマトゥデイより)

 

仮面ライダースーパー戦隊など東映の特撮ヒーローが共演する「スーパーヒーロー大戦」シリーズ作で、石ノ森章太郎先生が構想していたとも言われる幻の仮面ライダー3号が登場するアクション映画です。

仮面ライダードライブと3号が愛車で繰り広げるレースシーンが見どころになっております。

 

dTVにて鑑賞。

初めての鑑賞になります。

 

数ある『仮面ライダー』シリーズで一番愛する『仮面ライダーBLACK』で主人公・南光太郎を演じた倉田てつを氏、最後の勇士を観たくて本作を選びました。(その辺りの愚痴は後ほど)

 

1973年、ショッカーの開発した仮面ライダー3号によって仮面ライダー1号&2号が抹殺され、2015年、世界はショッカーの統治下にあった。

泊進ノ介/仮面ライダードライブはショッカーの一員となっていたが、身を挺して子どもたちを救う仮面ライダーBLACKの姿を見て、何かがおかしいと気付き始める。そんな進ノ介の前に、仮面ライダー3号こと黒井響一郎が現れるが、進ノ介は3号こそが1号と2号を倒した闇の戦士であるということを知らなかった・・・。

 

・・・言いたいことはたくさんある作品ですが、yahoo!映画レビュー平均点2.8点と低評価だったことと、あの悪名高き『平成ライダー昭和ライダー 仮面ライダー大戦feat.スーパー戦隊』の米村正二氏脚本だったので、期待度は低かったので、それほどショックは無かったです。(『平成ライダー昭和ライダー~』は悲しくて泣きました)

 

ただ、ヲタク知識・・・で無くても観た人なら知っていることなのですが、劇中でも映画のストーリー紹介でも書かれておりますが、1号、2号が滅ぼした組織はショッカーでは無く正確にはゲルショッカーです。

 

仮面ライダー』第1作の第1話から昭和ライダーは全話リアルタイムで鑑賞している世代ですが、1番好きな作品は写真の『仮面ライダーBLACK』です。(RXではありません)

もう『BLACK』のときには高校生くらいになって、この手の番組は卒業しなくてはいけない年齢になっていたのですが、ストーリーのハードな部分、主人公・南光太郎の救いの無い絶望的エンディングなど、石ノ森テイストが満ちていて本当に大好きな作品です。

BD-BOXを持っておりますが、大抵1回観て終わりなのですが、2回観てしまいました。

 

その『仮面ライダーBLACK』で主人公・南光太郎を演じられた倉田てつを氏。

1968年9月11日生まれ。

1987年6月の「新・仮面ライダー 主役公募オーディション」に合格し主人公を演じることに。

作品は好評で、翌年の『仮面ライダーBLACK RX』に続投。

2年続けて主人公を演じられたのは倉田氏ただ一人です。

 

2021年4月3日、『仮面ライダー』放送50周年を迎えたその日、ライダーを演じた多くの俳優さんから祝福の言葉が寄せられました。

藤岡弘、氏、賀集利樹氏、要潤氏、半田健人氏や本作の主演の竹内涼真氏など。

しかし、倉田氏の自身のYouTubeでのコメントはファンの耳を疑うものでした。

仮面ライダーの話しは好きじゃないから。50周年と言われてもね~、オレ仮面ライダーじゃないし。たまたま昔ライダーやってたって言うだけ。オレあんま仮面ライダー好きじゃないから」。

 

倉田氏はSNS上でたびたびライダー作品に言及していたり、自身が経営する飲食店では「BLACKステーキ」、「RXステーキ」と作品名を冠した商品を提供していたりしたため、ファンの衝撃は大きく(私もですが)「ショック過ぎる」、「理由はどうあれ正直幻滅」と物議をかもし出しました。

騒動を受け、7日にインスタグラムで謝罪。

 

石ノ森先生に本当に可愛がられ、「倉田くんを越えるカッコいい人はもう現れないから」と2年連続主人公を演じた倉田氏。

むしろ「オレがライダー俳優ナンバーワンだ」くらいのオレ様発言してもおかしくない立場の人が「自分は仮面ライダーじゃない」と・・・。

 

倉田氏は「イライラしていて心に無い発言をしてしまった」と言っておりますが、逆に人はイライラしているときこそホンネが出てしまうと思います。

自分は倉田氏のコメントは偽らざるものだと思いました。

 

一つ当たり役があると、いつまでもそのキャラクターとして観られてしまう。

それを嫌う俳優さんは多いです。

ハリソン・フォードも『スター・ウォーズ』のハン・ソロが嫌いと公言しております。

 

倉田氏もいつまでも「BLACKだ」、「RXだ」と言われ続けるのが嫌だったのだと思います。

『ディケイド』で客演してくれたとき、涙が出そうなくらい嬉しかったですが、そのときの倉田氏の気持ちを考える余裕が無かったです。

倉田氏も「いつまでやらせられるんだ」という気持ちだったと思います。

本作での演技も「これこそ仮面ライダーだ」と思わせるすばらしいものでした。

でも、ご本人、かなり辛かったのだと察します。

 

仮面ライダーBLACK』は今年『仮面ライダーBLACK SUN』として白石和彌監督の下新たに製作されます。

南光太郎役には西島秀俊さん。

 

これで、倉田氏はキッパリ、『BLACK』の呪縛から解かれると思います。

本当に良かった・・・と思います。寂しいですけど。

ただ、お気持ちは分かりましたが、50周年というめでたい日に言わないでもらいたかったですね。

 

相も変わらず、バカ騒ぎのように仮面ライダー同士を闘わせるのが大好きな白井P。

今回も公開当時放送されていた作品『仮面ライダードライブ』の前に”ショッカーライダー”という悪者としてまずV3とライダーマンが登場。

その後、X、アマゾン、ストロンガーもショッカーライダーとして加勢。

また昭和ライダーは悪者かよと思ってしまいました。

 

そこに南光太郎が登場し、BLACKに変身するのですが、BLACKの変身のBGMを使ってくれれば盛り上がるのですが、そういう痒いところに手の届かないサービス精神の悪い作りはいつも通り。

ただ、今回、仮面ライダードライブ、仮面ライダーマッハ、仮面ライダーBLACK(&RX)、仮面ライダーギャレン仮面ライダーファイズ仮面ライダーゼロノスと変身前の素顔で出演した俳優さんのライダー以外は全員ショッカーライダーになっちゃっており、珍しく平成ライダーも悪者扱いに。

 

時代は変われど、仮面ライダーは子どもたちに愛される存在だと思います。

それぞれのライダーに思い入れがあるはずです。

 

そのライダーが悪に染まり、現在主人公のドライブとミッチーにやられる姿を観て、子どもの心が傷つかないか白井Pや米村氏は考えて作っているのでしょうか?

 

せっかく半田健人さんや中村優一さんが出演してくれたのに、ミッチーとドライブの引き立て役に。

 

その3号とドライブのレースシーンのCGのショボさ。

そもそも”ライダー”とはオートバイや馬に乗る人のことを言います。

4輪に乗る人を”ライダー”とは呼びません。

 

米村氏のシナリオの矛盾点を言っても始まりませんが、冒頭、1号、2号によってショッカー首領(しつこいですが、正確にはゲルショッカー首領)が倒されたあと、3号が現れ1号、2号を処刑した設定になっております。

1号、2号が死んじゃったら当然V3は誕生しません。

バック・トゥ・ザ・フューチャー』を観てください。

主人公・マーティは自分の存在が消えないよう、両親を付き合わそうと奮闘しております。

ある意味、それと同じです。

親(1号、2号)がいなければ子ども(V3)は生まれません。

 

これまで散々石ノ森先生や昭和ライダーをディスりまくっておきながら、アイディア無くなると、それは頂戴するお調子者の白井Pと米村氏。

ラスボスは必ず巨大化。(『ストロンガー』の岩石大首領?)

それを巨大化できる唯一のライダー、Jが立ち向かうがあっさりやられる。

そこになぜか別番組の戦隊ヒーロー登場・・・とお決まりのパターン。

 

「オレはこれからも乾巧として生きていく」。

半田健人さんのコメントはライダー愛に溢れる感涙ものでした。

半田さんのように50周年にライダーへの愛をコメントしてくれた俳優さんの言葉、そして石ノ森先生への敬愛心を白井Pと米村氏はどう思っているのでしょうかね?

先日鑑賞した『ナイル殺人事件』のケネス・ブラナー同様、原作への愛が無い作品は原作のファンには観ていて悲しいものがあります。

 

ただ、褒める要素のまったく無い映画・・・では無かったのは救いでした。

桜井侑斗/仮面ライダーゼロノスの登場は嬉しかったですし、ちゃんとデネブも登場してくれました。

内田理央さんは予想外(失礼!)に演技力があり、そのうえ可愛かったです。(サイン入りカレンダー持っていて良かった~💖)

RXがリボルケインでジャーク将軍を倒してくれた。

高田延彦ブラック将軍を演じさせたのはGood!

コイツはまさに”ブラック”だから・・・。

 

この4つは良かった。

それ以外はミッチーファンが楽しむだけの映画になってしまった。

子どもたちの夢を壊そうとする悪の組織はショッカーでは無く○映と○ンダイなのでは・・・?