『007/スカイフォール』
原題:Skyfall
2012年製作/アメリカ映画/上映時間:143分/G/2012年12月1日日本公開
監督:サム・メンデス
出演:ダニエル・クレイグ
ハビエル・バルデム ほか
007のコードネームを持つイギリスの敏腕諜報(ちょうほう)員、ジェームズ・ボンドの活躍を描くスパイ・アクションのシリーズ第23弾です。
上司Mとの信頼が揺らぐ事態が発生する中、世界的ネットワークを誇る悪の犯罪組織とボンドが壮絶な戦いを繰り広げられます。
あらすじ
MI6のエージェントのジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)は、NATOの諜報(ちょうほう)部員の情報が記録されているハードドライブを強奪した敵のアジトを特定し、トルコのイスタンブールに降り立つ。その組織をあと少しのところまで追い詰めるも、同僚のロンソンが傷を負ってしまう。上司のM(ジュディ・デンチ)からは、敵の追跡を最優先にとの指令が入り、後から駆け付けたアシスタントエージェントのイヴ(ナオミ・ハリス)と共に、敵を追跡するボンドだったが……。
(シネマトゥデイより)
イアン・フレミング原作の『007』シリーズ第23作目にして、『007/カジノ・ロワイヤル』から始まるダニエル・クレイグ3度目のボンド役です。
第85回(2013年)アカデミー賞にて、音響効果賞、主題歌賞(アデル)を受賞。
Amazonプライムビデオにて鑑賞。
映画館以来の鑑賞になります。
新作公開のおさらいをかねて、久々の『007』の世界観を味わいました。
各国のテロ組織に潜入している工作員を記録したMI6のハードディスクが何者かに奪われ、ボンドは犯人を追いつめるが、MI6の長官Mの命令で放たれた銃弾に撃たれ、橋の上から谷底へと落ちていく。
Mはリストが奪われた責任を追及され辞職を迫られるが、これを拒否。しかしその直後、リストを奪った犯人によりMI6のオフィスが爆破され、さらなる犠牲者を出してしまう。
このニュースを見たボンドは再びMのもとへ舞い戻り、現場へ復帰。犯人の手がかりを求めて上海へと渡る。
『アメリカン・ビューティー』(1999年)でアカデミー賞最優秀監督賞を受賞したサム・メンデスが本作のメガホンを取っております。
アカデミー賞受賞監督が『007』のメガホンを取るのは本作が初めてになります。
『007』シリーズと言えば、MI6(英国情報局秘密情報部)所属の諜報員・ジェームズ・ボンドの人間離れした活躍を描いたアクション映画というイメージが強いと思います。
しかし、ダニエル・クレイグがボンドを演じるようになってから、完璧なヒーローとは少し違う、任務に失敗することもあり、それによって仲間や恋人の命が失われてしまう姿などが描かれ、人間味のあるボンド像になっております。
本作はそこに、強い人間ドラマを盛り込んでおります。
敵役のハビエル・バルデムは、かつてMの部下で彼女にいいように使われたことへの私怨を持った役柄。
単なるヒーローの日陰的なキャラクターでは無く、悪役も理由を持って行動している。
ボンドと上官のM、かつてMの部下だったバルデム演じるシルヴァのトライアングルの構図。
それぞれの思惑や国家や任務、使命に対するあり方などがからまり合い、とても面白い展開になっております。
新キャストのレイフ・ファインズ、ベン・ウィショーがいいですね。
特に新Qのベン・ウィショー。
これまでのQとガラッと変わり、PCオタクの優男。
ボンドから「まだニキビがある」などと言われるところが笑えます。
セクシーな美女が登場し、驚愕の新兵器が登場し、大がかりなクライマックスが待っている。
これまでの『007』にあった、これらの設定を否定し、ドラマ性と人間味をメインにした作りには、これまでのファンは賛否両論意見が分かれると思います。
私の死んだ父が大の『007』のファンでした。
その父が観ても、本作は満足できるものだと自分は思っております。
本作は新旧両方のファンの心を上手くつかむことができた作りだったと思います。
古くからのファンの思いを受け継ぎ、そして新たな要素を取り込む。
『ゴールドフィンガー』に登場したボンドカーのような懐かしさとサイバーテロという現代的な敵。
サム・メンデスの手腕でこれらが見事ミックスされた「新しくも懐かしいボンド映画」に仕上がっていたと思います。
M、Q、マネーペニーと当初から登場していたキャラを現代風に上手にバトンタッチしていたと言えます。
アクション映画では無く人間ドラマの『007』として、とても好きな作品です。
ダニエル・クレイグは本当にカッコいいです。