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『希望の灯り』

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希望の灯り

原題:In den Gangen

 

2018年製作/ドイツ映画/上映時間:125分/G/2019年4月5日日本公開

 

監督:トーマス・ステューバ

出演:フランツ・ロゴフスキ

   サンドラ・フラー

   ペーター・クルト ほか

 

旧東ドイツの巨大スーパーを舞台に、社会の片隅で助け合う人々の日常を穏やかにつづったヒューマンドラマです。

スーパーで働く無口な青年を主人公に、互いを支え合う、悲しみや心の傷を抱える人々のささやかな幸せが映し出されます。

 

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あらすじ

 

旧東ドイツライプチヒ。27歳の無口な青年クリスティアン(フランツ・ロゴフスキ)は、スーパーマーケットの在庫管理係として働くことになる。仕事を教えてくれるブルーノ(ペーター・クルト)や魅力的な年上の女性のマリオン(ザンドラ・ヒュラー)ら職場の人たちは、親切だったが節度があった。

シネマトゥデイより)

 

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旧東ドイツを舞台に、社会の片隅で生きる人々を描いたヒューマンドラマです。

原作はクレメンス・マイヤーの短編「通路にて」。

第68回ベルリン国際映画祭コンペティション部門出品。

 

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Amazonプライムビデオにて鑑賞。

初めての鑑賞になります。

 

これと言った理由なしで、間もなく見放題終了とのことで、本作を選びました。

ストーリーもキャストも知らずに(あまりドイツ映画を観る機会が無いので)鑑賞いたしました。

 

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ライプツィヒ近郊の田舎町に建つ巨大スーパー。在庫管理係として働きはじめた無口な青年クリスティアンは、一緒に働く年上の女性マリオンに恋心を抱く。仕事を教えてくれるブルーノは、そんなクリスティアンを静かに見守っている。

 

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少し風変わりだが素朴で心優しい従業員たち。それぞれ心の痛みを抱えているからこそ、互いに立ち入りすぎない節度を保っていたが……。

 

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映画の舞台になるのが旧東ドイツにある巨大スーパーマーケット。

そこでの出来事が80%以上映し出されていきます。

 

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その閉鎖された世界に生きる前科のある青年、旦那からDVを受けている女性、ドイツ再統一で東ドイツの「負け組」になってしまった男、この3人を中心に、控えめな表現でそれぞれの孤独や葛藤などが映し出されていきます。

 

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この閉鎖されたスーパーマーケットが、本作での「世界」として描かれております。

壁には常夏の島のポスターが貼られており、「買われるまで生かされる」魚が住む水槽があり、シベリアと呼ばれる極寒の冷凍庫も存在します。

我々日本人には理解は難しいものかもしれませんが、この閉鎖された世界が旧東ドイツそのもので、そこから出ることは叶わない。

それでも旧東ドイツの人たちは、そんな世界にわずかながらの希望を持ち続け生きていたのではないかと思いました。

 

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感動を押しつけるタイプの映画ではありません。

「気に入らなければ嫌って構わない」的な映画の作りは逆に好感の持てるものでした。

 

セリフも少なく、スーパーマーケットの商品に囲まれた世界がメインで、たまに映し出される外の景色も殺風景。

 

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そんな”世界の片隅で”生きる人たちを優しい眼差しで見つめた心温まる映画でした。

人は死ぬまで生かされる水槽の魚では無く、前向きに歩いていける存在だと教えてくれる作品だと思いました。

 

冒頭のシーンはどうしても『2001年宇宙の旅』を思い出してしまいます。