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『クリーピー 偽りの隣人』

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クリーピー 偽りの隣人』

 

2016年製作/日本映画/上映時間:130分/G/2016年6月18日日本公開

 

監督:黒沢清

出演:西島秀俊

   竹内結子

   川口春奈 ほか

 

日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞した前川裕の小説「クリーピー」を『アカルイミライ』などの黒沢清監督が映画化。

隣人に抱いた疑念をきっかけに、とある夫婦の平穏な日常が悪夢になっていく恐怖が描かれます。

 

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あらすじ

 

刑事から犯罪心理学者に転身した高倉(西島秀俊)はある日、以前の同僚野上(東出昌大)から6年前の一家失踪事件の分析を頼まれる。だが、たった一人の生存者である長女の早紀(川口春奈)の記憶の糸をたぐっても、依然事件の真相は謎に包まれていた。一方、高倉が妻(竹内結子)と一緒に転居した先の隣人は、どこか捉えどころがなく……。

シネマトゥデイより)

 

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『岸辺の旅』でカンヌ国際映画祭「ある視点」部門監督賞を受賞した黒沢清監督が、第15回日本ミステリー文学大賞新人賞に輝いた前川裕の小説を映画化。

奇妙な隣人に翻弄されるうちに深い闇に引きずり込まれていく夫婦の恐怖を、原作とは異なる映画オリジナルの展開で描き出します。

西島秀俊が主演を務め、彼の妻を竹内結子さん。そのほか川口春奈香川照之ら豪華キャストが集結。

 

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Amazonプライムビデオにて鑑賞。

初めての鑑賞になります。

 

間もなく見放題終了とのことで、川口春奈ちゃんも気になったので、本作を選択いたしました。

 

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元刑事の犯罪心理学者・高倉は、刑事時代の同僚である野上から、6年前に起きた一家失踪事件の分析を依頼され、唯一の生き残りである長女の記憶を探るが真相にたどり着けずにいた。

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そんな折、新居に引っ越した高倉と妻の康子は、隣人の西野一家にどこか違和感を抱いていた。ある日、高倉夫妻の家に西野の娘・澪が駆け込んできて、実は西野が父親ではなく全くの他人であるという驚くべき事実を打ち明ける・・・。

 

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黒沢清監督の作品は海外で評判が良く、日本の批評家からの評価も高いです。

2020年の『スパイの妻 劇場版』はキネマ旬報日本映画ベストテン1位。

本作や2017年の『散歩する侵略者』も日本映画ベストテンに入っております。

 

その反面、あまり観客の評価を受けておりません。

本作のレビュー評価の平均点がyahoo!映画レビューが2.53点。映画.comが3.1点。

 

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自分は黒沢清作品は『散歩する侵略者』と本作しか観ていないので、監督のことを語るのはムリなので、あくまで本作のみの感想を書きたいと思います。

 

香川照之さんの怪演などがあり、途中までは食い入るように楽しく(と言う表現がいいのかは分かりませんが)観れました。

しかし、あの謎の魔法のクスリが出るまでは・・・。

 

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この映画は人間の二面性。

表の顔と裏の顔の違いをかなりブラックユーモアたっぷりに描いていたと思いました。

 

西島秀俊さん演じる元刑事の高倉は心理学者であるにもかかわらず、他人の心が読めず、奥さんや6年前の事件の生き残りの女性の傷ついた気持ちなどお構いなしに自分の探求心のために暴走してしまう。

逆にサイコパスでは無いかと思う怪しい隣人(イカルス星人ではありません)香川照之さん演じる西野は人の心の弱みや空洞のようなものを読めてしまう人間。

 

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高倉と6年前の未解決事件を追う刑事の野上は借金苦から反社会的組織に拳銃を密売していた。

 

この映画は勧善懲悪な展開の映画では無く、誰もが闇を抱え、その闇が重くのしかかったまま、結末まで進んでしまいます。

このような”善”と呼べるものが存在しない映画はアメリカ映画やヨーロッパの映画では多くありますが、日本映画では珍しいものだと思います。

 

ここが好みが分かれるところだと思いました。

・・・あっ、ワンちゃんだけは完全な善でした。

 

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川口春奈ちゃん、可愛いですね。

陰のあるまったく笑わない役柄でしたが、とても上手に演じておりました。

 

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黒沢清監督の演出は悪くないのですが、細かいエピソードはツッコミどころ満載。

 

高倉は警察を辞めて1年後に大学の教授に。

そ、そんな簡単に大学の教授になれるの?

 

高倉夫婦は引っ越しのご挨拶に手作りのチョコレートを。

・・・わ、私がもらう立場だったら、見ず知らずの人間の手作りのものなど怖くて食べられません。

しかも、高倉の奥さんは気味悪がっていたお隣の西野に前日の残りもののシチューを持って行く有様。

あ、あり得ないでしょう。

 

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物語のキーパーソンになると思っていた川口春奈ちゃんの役も特に意味がなく、あれだけ時間を使った意味は?と問いたい気持ちになってしまいました。

 

この手の映画は警察が有能だと成り立たないのは分かりますが、あまりに無能だとシラけるのも事実。

 

『セブン』や『ゾディアック』を作ったデヴィッド・フィンチャー監督を意識したと思われる映画ですが、やはりこの手の映画はアメリカには敵わないと実感させられました。

心理学者とまでは行かなくても、奥さまの気持ちは察してあげましょうという戒めの込められた映画と受け止めます。(わたくし、独身ですが・・・)

 

「隣人」、「散歩する」、「侵略者」。

黒沢清監督はウルトラセブンが好きみたいですね。