『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』
原題:A Rainy Day in New York
2019年製作/アメリカ映画/上映時間:92分/PG12/2020年7月3日日本公開
監督:ウディ・アレン
出演:ティモシー・シャラメ
セレーナ・ゴメス ほか
巨匠ウディ・アレン監督が、ティモシー・シャラメ、エル・ファニング、セレーナ・ゴメスら人気若手俳優たちをキャストにマンハッタンを舞台にしたロマンチックコメディです。
甘いひとときを過ごそうとする若いカップルに、次から次へと思わぬ事態が巻き起こります。
あらすじ
学校の課題として著名な映画監督ローランド・ポラード(リーヴ・シュレイバー)のインタビューをマンハッタンですることになった大学生のアシュレー(エル・ファニング)。彼女と恋人のギャツビー(ティモシー・シャラメ)は、それを機に週末をマンハッタンで楽しむことに。ニューヨーカーのギャツビーは、アリゾナ生まれのアシュレーに街を案内しようと張り切るが、ポラードに新作の試写に誘われた彼女が約束をキャンセルするなど、次々と予想もしていなかった出来事が起きる。
(シネマトゥデイより)
『アニー・ホール』などの傑作で知られるウディ・アレン監督がニューヨーク・マンハッタンを舞台に若いカップルの騒動をユーモラスに描いたコメディです。
主演は『君の名前で僕を呼んで』などのティモシー・シャラメ、『マレフィセント』シリーズなどのエル・ファニング。
Amazonプライムビデオにて鑑賞。
初めての鑑賞になります。
ウディ・アレン監督の作品にティモシー・シャラメ、エル・ファニングと聞いて、「これは!」と思い、プライム会員料金とは別料金の期間限定レンタル料¥100を払って鑑賞いたしました。
ウディ・アレン監督の養女ディラン・ファローさんが米CBSのニュース番組で子どものころ義父から受けた性的虐待について激白したのが2018年。
このことを受け、俳優たちから非難が殺到。
インタビュー放送直後、本作に出演したティモシー・シャラメ、レベッカ・ホールが出演料のすべてをチャリティー団体に寄付。(本作製作は2017年)
レベッカ・ホールはInstagramで今後一切ウディ・アレン監督との仕事を拒否すると声明を発表。
エル・ファニングも本作出演を後悔する声明を発表しました。
エレン・ペイジ、ミラ・ソルビノ、グレタ・ガーヴィックといった女優が次々とアレン監督作に出演したことを後悔するとアレンへの非難は後を絶たない状態に。
女優に限らず、コリン・ファースもディランさんのインタビュー放送からわずか数時間後、「アレン監督とは2度と仕事をしない」と英ガーディアン紙に明言。
また、逆にアレン監督の常連だったスカーレット・ヨハンソンは騒動への言及は避けたものの、「私はアレンが大好きよ。彼とはいつでも仕事をするわ」と発言。
同じく常連女優だったダイアン・キートンも「私は彼の無実を信じる」と疑惑を否定。
本作製作のAmazonスタジオは、批判を受けて本作のアメリカでの上映を無期限延期を決定し、アレンとの4本の映画製作の契約をキャンセルした。アレンはこれを不服として、2018年2月に同スタジオを契約不履行で訴え6800万ドルの訴訟で和解。和解条件は明らかにされておりません。
その後、アレンの会社グラビエ・プロダクションは2019年の秋に本作の国際配給権を獲得しリシャ、リトアニア、スペイン、ニュージーランド、フランス、日本など各国で公開されております。
アメリカでは劇場未公開のままですが、DVD、ブルーレイは発売。
(Wikipedia、映画.comを参考にさせていただきました)
おおまかではありますが、これが今アメリカで問題になっているウディ・アレンの#Me Too運動による「追放」騒動です。
ウディ・アレンがロリコンの変態オヤヂというのは’80年代から知っておりましたが、養女への性的虐待が事実であるのであれば、それは絶対に許されることではありません。
・・・ただ、日本でも映画製作後に出演者に逮捕者が出ていろいろ言われたケースもありますが、携わった人間に問題があったとしても、作品自体には罪は無いと自分は思っております。
前置きがかなり長くなりましたが、ここからは#Me Too運動関係なく、映画だけの感想を書いていきたいと思っております。
大学生のカップル、ギャツビーとアシュレーは、ニューヨークでロマンチックな週末を過ごそうとしていた。そのきっかけとなったのは、アシュレーが学校の課題で有名な映画監督ローランド・ポラードにマンハッタンでインタビューをするチャンスに恵まれたことだった。
生粋のニューヨーカーのギャッツビーは、アリゾナ生まれのアシュレーにニューヨークの街を案内するためのさまざまなプランを詰め込む。しかし、その計画は狂い出し、思いもよらないさまざまな出来事が巻き起こってしまう・・・。
製作時、82歳とは思えない、全盛期を彷彿させるユーモラスなセリフとセンス抜群の音楽。
『ブルージャスミン』と並ぶ、間違いなく2010年代のアレン監督のベストの1本だと思いました。
映画を題材にした物語です。
そして、タイトル通り、雨のシーンが多く登場します。
映画、雨と言えば、”黒澤明”。
劇中、映画監督にエル・ファニング演じるアシュレーが「黒澤が好き」というセリフはアレンの気持ちを代弁しているように感じました。
日本人には嬉しいシーンでした。
ウディ・アレンは主人公に自分の姿を映し出すことが多いのですが、本作の主人公もまさにアレンそのもの。
早口でしゃべりまくり、せっかちで、そして恋に恋する少し弱々しい男。
アレンが自身を投影しているように思え、かなり笑えました。
撮影は『地獄の黙示録』、『ラスト・エンペラー』のヴィットリオ・ストラーロ。
独特の映像でマンハッタンを映し出しております。
どのシーンも映像が美しく、まるでマンハッタンをウォーキングしているかのような気分を味わえます。
アレンならではのライトなラブロマンス。
衝撃や感動を受けるタイプの映画ではありませんが、いつも通り、なぜか観終わって少しだけハッピーな気分になる映画です。
アレンの映画はほとんどが会話劇なので、英語が堪能でないと分かりにくいところも多いのですが、本作は比較的(翻訳家の人も頑張っていて)字幕のセリフでも楽しめました。
アレンと同じくジャズ大好きな自分には終盤流れる「Misty」の美しさに酔いしれました。
先ほども書きましたが作品に罪はありません。
1本の映画として、とても楽しい時間を過ごせる青春ラブコメディだと思いました。