『王様のためのホログラム』
原題:A Hologram for the King
2016年製作/アメリカ映画/上映時間:98分/PG12/2017年2月10日日本公開
監督:トム・ティクヴァ
出演:トム・ハンクス
アレキサンダー・ブラック
サリタ・チョウドリー ほか
『クラウド アトラス』のトム・ハンクスとトム・ティクヴァ監督が再び組んで、デイヴ・エガーズの著書を映画化した人間ドラマです。
人生に行き詰まりながらも、必死に頑張る男の姿が映し出されていきます。
あらすじ
大手自転車メーカーの取締役を解任され何もかも失ったアラン・クレイ(トム・ハンクス)は、何とかIT企業に再就職する。早速出張を言い渡された彼は、祖国から遠く離れたサウジアラビアのジッダにやって来る。アランはまな娘の大学の学費を稼ぐためにも、何とかして国王に最新鋭のテレビ会議システムである「3Dホログラム」を売り込もうとするが……。
(シネマトゥデイより)
「驚くべき天才の胸もはりさけんばかりの奮闘記」や小説版「かいじゅうたちのいるところ」で知られる人気作家デイヴ・エガースの小説を、トム・ハンクス主演で映画化した人間ドラマです。
『007』シリーズのQ役、ベン・ウィショーがほんの少し出演しております。
Amazonプライムビデオにて鑑賞。
初めての鑑賞になります。
間もなく見放題終了とのことと、トム・ハンクス主演ということで本作を選択いたしました。
しかし、様々な映画レビュー、どれも低評価。
期待値を下げて鑑賞いたしましたが、出来はいかがだったか・・・?。
大手自転車メーカーの取締役だったアランは、業績悪化の責任を問われて会社を解任され、全てを失う。
娘の養育費を払うためにIT業界に転職し、一発逆転をかけてサウジアラビアの国王に3Dホログラムを売りに行くが、到着した現地のオフィスは砂漠に立てられたテントで、Wi-Hiもつながらない。さらに、プレゼン相手の国王にはいつ会えるのかもわからず……。
この時期ですと、『ハドソン川の奇跡』と『ペンタゴン・ペーパーズ/最高秘密文書』の間くらいに本作に出演したと思われるトム・ハンクス。
本当に演技力が高く、重い映画も軽いタッチの作品もこなせる俳優ですが・・・。
映画として面白いタイプの作りになってはおりません。
何を伝えたいのか、つかみどころの難しい内容だと思います。
ここが低評価につながってしまった原因だと思いました。
崖っぷちの人生の男が再起を目指し、見知らぬ土地・サウジアラビアで新たな人生を見つける・・・というストーリーであることは分かるのですが、そこから「何を」伝えたいかが分かりづらい。
終盤は日本の昔ばなし「こぶとり爺さん」と言っていい展開に。
いい見方をすれば、文明の遅れている異国を下に観ていたアメリカが逆に足下をすくわれその国に追い抜かれてしまうという、これまた日本昔ばなしの「ウサギとカメ」みたいな物語と言えると思います。
毎朝シャワーを浴び、歯を磨き、出掛けていく。
これがサラリーマンの日課。
それを繰り返し映し出すシーンが多く登場します。
決められたことを決められた時間で毎日繰り返すことが仕事であるサラリーマンの姿を皮肉ったような描写でこれは面白かった。
毎日決まったことを繰り返すサラリーマンは簡単に社会から切り捨てられる。
逆に自由気ままな王様は巨万の富を持っている。
ここで、また「こぶとり爺さん」の話しに戻りますが、「こぶとり爺さん」は邪魔なこぶを取り除くことで幸せを得ます。
それと同じように、トム・ハンクス演じる主人公も背中のイボを除去することによって人生が一転いたします。
邪魔な固定観念(イボ)を捨て去ることで、広大な道は開かれ、異国の地にどっしりと座ることができる。
そのようなことを伝えたかった映画だと思うのですが、分かりやすい映画では無いので、あくまで”推測”でしかありませんが・・・。
サウジアラビアの美しい海で女性をダイビングするトム・ハンクスの姿を観ていると、大好きなデビュー作『スプラッシュ』を思い出してしまいました。