『ヴィンセントが教えてくれたこと』
原題:St. Vincent
2014年製作/アメリカ映画/上映時間:102分/G/2015年9月4日日本公開
監督:セオドア・メルフィ
出演:ビル・マーレイ
ナオミ・ワッツ ほか
破天荒なダメオヤジが、12歳の少年との交流を通して生きる力を取り戻していく姿を描いたハートフルコメディです。
第72回ゴールデングローブ賞作品賞・主演男優賞にノミネート。
あらすじ
アルコールとギャンブルが大好きで、ちょっとクセのあるヴィンセント(ビル・マーレイ)は、隣家に引っ越してきたシングルマザーの12歳の息子、オリバー(ジェイデン・リーベラー)の世話をすることになる。酒場や競馬場へと連れ回し、ろくでもないことを教え込むヴィンセントに反発するオリバーだったが、嫌われオヤジに隠された真の優しさや心の傷に気付いてから、徐々に二人は心を通わせていき……。
(シネマトゥデイより)
気難しい中年男が、面倒を見ることになった12歳の少年と奇妙な友情を育み、生きる活力を得ていくコメディです。
主演はビル・マーレイ。
共演にメリッサ・マッカーシー、ナオミ・ワッツなど。
Amazonプライムビデオにて鑑賞。
初めての鑑賞になります。
間もなく見放題終了とのことで、本作を選びました。
作品の情報など、まったく無く、真っさらの状態で鑑賞いたしました。
アルコールとギャンブルを愛する、嫌われ者の偏屈親父ヴィンセントは、隣に引っ越してきたシングルマザーのマギーから、彼女の仕事中に12歳の息子オリバーの面倒を見るよう頼まれてしまう。
嫌々ながらも引き受けたヴィンセントは、行きつけのバーや競馬場にオリバーを連れて行き、バーでの注文方法からいじめっ子の鼻のへし折り方まで、ろくでもないことばかりを彼に教え込んでいく。オリバーはそんなヴィンセントと反発しあいながらも、一緒に過ごすうちに彼の隠された優しさや心の傷に気づいていく・・・。
ひねくれ者のジジイが根はいい人で、嫌々ながら面倒を見てもらううち、不思議な友情のようなものが芽生えていく・・・。
何か、どこかで観たような内容、ストーリーだと思っておりましたら、2008年製作のクリント・イーストウッド監督&主演の名作、『グラン・トリノ』そっくり。
『グラン・トリノ』は涙腺爆発して号泣いたしましたが、本作は泣けませんでした。
『グラン・トリノ』を先に観ていたという理由もありますが、自分、ビル・マーレイがあまり好きでは無いこと。
そして演じるヴィンセントという男にどうしても好感が持てなかったことが理由です。
原題を直訳すると”聖ヴィンセント”。
この酒に溺れ、無職でギャンブルに明け暮れている男が実は”聖人”のような存在ということを描いているのですが、ちょっと強引で「どこが?」と思ってしまいました。
オリバーくんという少年の視線で見れば、「人生を教えてくれる人」に映るのですが、彼の見ていないところのヴィンセントは間違っても”聖人”などではありません。
介護施設にいる奥さんとのエピソードは少し「ジ~ン」と来てしまいましたが、それ以外がよろしくない。
万引きを正当化し、脳卒中という病を軽く描いている点、そして、ベトナム戦争で勲章をもらっているから立派と言うのはアメリカ的エゴ。
ベトコン多く殺せば、アメリカでは英雄ですからね。
子役が可愛くて上手いですね。
そのシングルマザーを演じるメリッサ・マッカーシーの演技もすばらしかった。
息子の親権を守るため、懸命に働く母親役。
彼女こそ”聖人”だと思うのですが・・・。
ナオミ・ワッツの劣化ぶりにビックリ!
意図的にそう描いていたのならいいのですが、実際こんな老けてしまったのなら大ショックです。(涙)
アルコール中毒や無職、ギャンブル好き、売春婦に対しては何の偏見も嫌悪感もありません。
しかし、犯罪や戦争を美化してはいけないと思いました。
また、オリバーくんが転校して初日に担任教師が「無宗教は悪」のようなことを言い、宗教の押し売り的な描写があるのですが、「大きなお世話」と思ってしまいました。
ストーリーはとてもいいので、こういうところは残念。
細かい描写に違和感を感じさせられます。
こんな汚い家に住んでいながら、飼っているネコちゃんはもの凄い綺麗。
最後、オリバーくんに”聖人”と表彰されたらハッピーエンド・・・って展開ですが、高利貸しはそれで借金チャラにしちゃうの?などなど。
クソジジイを演じさせたら、やはりクリント・イーストウッドには遠く及ばない。
『グラン・トリノ』の劣化版として観ておりました。
どちらも観ていない人には、間違いなく『グラン・トリノ』をオススメいたします。