『遊星からの物体X ファーストコンタクト』
原題:The Thing
2011年製作/アメリカ映画/上映時間:103分/PG12/2012年8月4日日本公開
監督:マティス・ヴァン・ヘイニンゲン・Jr.
『ハロウィン』などの鬼才ジョン・カーペンターが1982年に放った傑作SFホラー『遊星からの物体X』の前日譚です。
氷魂の中に閉じ込められた宇宙生命体を発見した、ノルウェー南極観測隊が体験する未曽有の恐怖が描かれます。
あらすじ
ノルウェーの南極観測隊が、氷の中に閉じ込められた未知の生命体を発見。古代の生物ではないかと推測され、その調査のために考古生物学者ケイト(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)が彼らの基地に向かう。だが、生命体は解凍されて長い眠りから覚醒。しかも、それはほかの生物の体内に侵入しては、細胞を同化して宿主そのものに擬態する、宇宙からやって来た生命体だったのだ。突如として宿主の肉体を破壊するように変形しては襲い掛かる生命体によって、彼らは誰が同化されているのか判断できない状況になっていき……。
(シネマトゥデイより)
ハワード・ホークス製作の『遊星よりの物体X』(1951)、ジョン・カーペンター監督の『遊星からの物体X』(82)と2度にわたり映画化されたジョン・W・キャンベJr.の短編小説「影が行く」の3度目の映画化作で、ジョン・カーペンター版の前日譚となる物語です。
主演は『10 クローバーフィールド・レーン』のメアリー・エリザベス・ウィンステッド。
Amazonプライムビデオにて鑑賞。
初めての鑑賞になります。
間もなく見放題終了とのことで、本作を選択いたしました。
ジョン・カーペンター版『遊星からの物体X』はもちろん観ております。
南極大陸の氷の中で太古の生命体が発見されるが、それは人間の体内に侵入して人間になりすまし、自らの生存のため人間同士を戦わせる性質をもった宇宙生命体だった。考古学者のケイトと調査隊の隊員たちは、誰が乗っ取られているのかもわからない状況に疑心をつのらせていくなか、生命体に襲われていく・・・。
ハワード・ホークス製作の『遊星よりの物体X』は残念ながら未見です。
ジョン・カーペンター版が公開されたのが今から約40年前の1982年。
実はこの年はSF映画の当たり年で、ハリソン・フォード主演の『ブレードランナー』、スティーヴン・スピルバーグ監督の『E.T.』が公開されております。
本作はリメイクでは無く、ジョン・カーペンター版の前日譚という作りになっております。
ジョン・カーペンター版では明かされなかった謎(SFホラーは謎のままの方がいい気もしますが・・・)を科学的な描写で描いている点などがあります。
・・・ですが、エイリアンが覚醒し、人体を乗っ取るという展開はジョン・カーペンター版とまったく同じ。
南極大陸の閉鎖された場所での戦いというのも同じで、ほとんどリメイクと言っていい展開。
かなり低予算の映画だったようで、思ったよりVFXもショボい。
40年前のジョン・カーペンター版のクリーチャー造形の方が圧倒的に勝っていると思いました。
ジョン・カーペンター版はキャスト全員男性だったのですが、今回は主役は女性。
その女性が大活躍。
その反面、周りの男たちはおマヌケばかりと物語の舞台は前作の前日譚なので同じ1982年なのに、この辺りは、かなり現代的になっております。
その強い女性が地球外生命体相手に奮闘する・・・と言うのは『エイリアン』そっくり。
原作がすばらしい出来だったと推測出来ますので(3回映画化されているくらいなので)、物語はいいのですが、ジョン・カーペンター版&『エイリアン』のリメイクと間違えてしまいそうなくらいオリジナリティの無い作りになってしまったのは少し残念。
ですが、『10 クローバーフィールド・レーン』でも閉所で頑張った(本作より後の映画ですが)メアリー・エリザベス・ウィンステッドはとても魅力的でした。
1982年がSF映画の当たり年なら、本作製作の2011年辺りは”前日譚”映画がなぜか多く作られております。
『プロメテウス』、『猿の惑星 創世記』など。
どれもオリジナルにリスペクトしてはおりますが、逆にそれが強すぎるとオリジナルに大きく劣るところを露呈してしまう作りになってしまう。
B級(C級?)SFホラー映画として観ればつまらなくは無い映画ですが、やはりジョン・カーペンター版には遠く及ばない作品でした。
ダテに歯が丈夫だとエイリアンに寄生されたと思われてしまうのですね。
そうだ明日、歯医者の予約があった・・・。