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『ブリッジ・オブ・スパイ』

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ブリッジ・オブ・スパイ

原題:Bridge of Spies

 

2015年製作/アメリカ映画/上映時間:142分/G/2016年1月8日日本公開

 

監督:スティーヴン・スピルバーグ

出演:トム・ハンクス

   マーク・ライランス

   スコット・シェパード ほか

 

『ターミナル』以来のタッグとなる、スティーヴン・スピルバーグ監督と名優トム・ハンクスによるサスペンス大作です。

東西冷戦下の1960年に実際に起きた、ソ連によるアメリ偵察機撃墜事件“U-2撃墜事件”の舞台裏に迫ります。

第88回アカデミー賞では作品賞ほか6部門でノミネートを受け、ソ連スパイのアベルを演じたマーク・ライランス助演男優賞を受賞

 

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あらすじ

 

アメリカとソ連の冷戦のさなか、保険関連の敏腕弁護士ドノヴァン(トム・ハンクス)は、ソ連のスパイであるアベルマーク・ライランス)の弁護を引き受ける。その後ドノヴァンの弁護により、アベルは死刑を免れ懲役刑となった。5年後、アメリカがソ連に送り込んだ偵察機が撃墜され、乗組員が捕獲される。ジェームズは、CIAから自分が弁護したアベルアメリカ人乗組員のパワーズ(オースティン・ストウェル)の交換という任務を任され……。

シネマトゥデイより)

 

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スティーヴン・スピルバーグトム・ハンクスのタッグで描かれる米ソ冷戦下で起こった実話を描いたサスペンスドラマです。

脚本に『ノーカントリー』で第80回アカデミー賞監督賞を受賞したジョエル&イーサン・コーエン

 

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Amazonプライムビデオにて鑑賞。

初めての鑑賞になります。

 

スティーヴン・スピルバーグのファンでどうしても観たかった作品でしたが、なかなか都合がつかず、今回Amazonプライムビデオの期間限定レンタル¥100のラインアップに入っていたので、迷わずレンタルいたしました。

コーエン兄弟が脚本担当というのはエンドクレジットで知りました。

 

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保険の分野で着実にキャリアを積み重ねてきた弁護士ジェームズ・ドノバンは、ソ連のスパイとしてFBIに逮捕されたルドルフ・アベルの弁護を依頼される。

 

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敵国の人間を弁護することに周囲から非難を浴びせられても、弁護士としての職務を果たそうとするドノバンと、祖国への忠義を貫くアベル。2人の間には、次第に互いに対する理解や尊敬の念が芽生えていく。

 

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死刑が確実と思われたアベルは、ドノバンの弁護で懲役30年となり、裁判は終わるが、それから5年後、ソ連を偵察飛行中だったアメリカ人パイロットのフランシス・ゲイリー・パワーズが、ソ連に捕らえられる事態が発生。両国はアベルパワーズの交換を画策し、ドノバンはその交渉役という大役を任じられる・・・。

 

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「さすが」の一言では収まりきれない見事な演出力。

最後までグイグイ引き込まれながら鑑賞いたしました。

本当にスピルバーグ、最高の映画監督です。

 

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スピルバーグが製作した歴史劇では『ミュンヘン』、『リンカーン』、本作製作後の作品で『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』などがありますが、これらに比べると、少しエンタメ的要素も取り入れられ、観やすいタイプの映画に感じました。

 

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オスカー・シンドラーのような歴史の陰に埋もれてしまった人物にスポットライトを当てることの上手いスピルバーグ

本作でも、ごく普通の弁護士ジェームズ・ドノバンが米ソの冷戦のスパイ橋渡し役という大役をする姿を描いております。

 

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リンカーン』は別として、スピルバーグは”名も無き一般人の底力”のようなものを描くのが上手いですね。

会ったことすら無い兵士を救う『プライベート・ライアン』、奴隷としてアメリカへやって来た黒人の姿を追った『アミスタッド』、祖国を失い空港内で数年の日々を過ごすことになった男を描いた『ターミナル』など。

 

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そう言ったスピルバーグの得意の分野にコーエン兄弟というブラックテイストが加わり、見事な化学反応を起こしております。

スピルバーグの演出だけでは真面目になりすぎてしまったかもしれませんが、コーエン兄弟のシナリオのおかげで人間の汚い面、腹の探り合いのようなものが映し出され、ドラマはとても緊迫感のあるものに仕上がっていたと思います。

 

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ベルリンの壁崩壊が1989年11月9日。

今の若い人はその存在も、アメリカとロシア(当時のソビエト連邦)の冷戦も知らない方多いと思います。

ぜひ、そのような人たちに触れて欲しい作品だと思いました。

かつて、その壁という悪魔によって、自由を奪われていた人たちがいたことを忘れてはいけないというスピルバーグからのメッセージが伝わってきます。

 

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トム・ハンクス演じるドノバンが東ベルリンに到着すると、観ている自分も寒気を感じてしまいました。

それほど映画に映し出される東ベルリンが不安感を煽るような空気に包まれていたような描写でした。

 

とても友好関係など(当時は)築けない相手に無謀と言える博打のような交渉をするところはスリリングかつユーモアもあり面白かったです。

 

そしてドノバンに対するソビエトのスパイ、アベルの最後の一言に胸が熱くなりました。

冷戦時代を描いた映画は大抵ソビエト側を悪く描くものですが、本作は西側も東側も同じ人間として描いているところがすばらしいと思いました。

 

エンタメ的要素があるとは書きましたが、『007』では無いのでド派手なアクションシーンなどはありません。

そう言ったタイプのスパイ映画では無く、歴史の一部をスリリングに描いた作品です。

ヤヌス・カミンスキーキャメラもすばらしかったです。