『羊と鋼の森』
2018年製作/日本映画/上映時間:134分/G/2018年6月8日日本公開
監督:橋本光二郎
出演:山崎賢人
上白石萌音 ほか
ピアノ調律師の青年の成長を描き、2016年・第13回本屋大賞を受賞した宮下奈都の小説を映画化。
ピアノの調律のとりこになった一人の青年が調律師を志し、さまざまな人々との交流や、挫折を経験しながら成長していくさまが描かれていきます。
あらすじ
北海道育ちの外村直樹(山崎賢人)は、高校でピアノの調律師・板鳥宗一郎(三浦友和)と出会い、板鳥の調律したピアノの音色がきっかけで調律師を目指すことに。やがて板鳥のいる楽器店で調律師として働き始め、先輩に同行した仕事先で高校生の姉妹ピアニスト和音と由仁に出会う。
(シネマトゥデイより)
第13回本屋大賞に輝いた宮下奈都の小説を実写映画化。
ピアノの調律に夢中になる青年を四月は君の嘘』などの山崎賢人が演じ、実の姉妹である上白石萌音と上白石萌歌の初共演も見どころ。
Amazonプライムビデオにて鑑賞。
初めての鑑賞になります。
間もなく見放題終了とのことで、本作を選びました。
原作は未読です。
将来の夢もなく生きていた外村は、高校でピアノ調律師の板鳥と出会い、板鳥の調律したピアノの音色に魅せられ、その日から自身も調律の世界を目指すことを決意する。
専門学校を出て新米調律師として働くようになった外村は、調律師の先輩・柳やピアニストの高校生姉妹・和音と由仁ら、調律を通して知り合う人々とのかかわりによって、調律師として、そしてひとりの人間として成長していく・・・。
”文部科学省選定”を受けた作品です。
そういう映画は「毒にも薬にもならない」(少なくても毒にはならない)映画が多いです。
日本映画のレビュー記事を書くとき、毎回思うのですが、○○原作の映画化、○○コミックの実写映画化など、原作があるものがほとんど。
映画オリジナルシナリオの作品に巡り会えません。
タランティーノほどのものは期待しておりませんが、出来れば日本映画ですばらしいオリジナルシナリオの作品の映画が観たいですね。
ピアノの調律師というあまり多くを知られていない人たちにスポットライトをあてたところは良かったと思いましたが、少し気になるところも。
ピアノの弾く人と調律師の関係は、ここまで踏み入ったものとは思えませんでした。
それは自動車で例えるとマイカーを持った人とメンテナンスを行う業者くらいのものだと思います。
多少「高い音がいい」などのカスタムを要求する客がいるくらい。
自分が調律したピアノの姉妹のお一人がリサイクルで突然ピアノが弾けなくなったと聞き、「僕のせいだ。僕の調律したピアノのせいで・・・」などと言う主人公の外村のセリフには「・・・?はっ、あんた、何言っているの」とツッコミ入れたくなりました。
終盤、上白石萌音さん(お姉さん?妹?どっちか分からない。『ちはやふる』に出た人)が外村の調律したピアノで覚醒するシーン。
水中深く沈む上白石萌音さん。
そこに頭上から光が差し込む。
「どっかで観たシーン」と思っていたら、『シェイプ・オブ・ウォーター』と『Fate stay night/HF(第一章)』のセイバーのシーンそっくり。
そう思ったの自分だけかと思っておりましたら、ほかにもレビューで同じことを書かれていた人がおりました。
日本贔屓のギレルモ・デル・トロ監督と心の広い奈須きのこ氏は訴訟はしないと思いますが、あまりにそっくり過ぎて失笑もん。
世が世ならエクスカリバー(約束された勝利の剣)で真っ二つですよ。
「良いお話し」&「良い人たち」=いい映画なら、本作は満点になるのですが、残念ながら映画とはそんな単純なものではありません。
北海道の小さな町を舞台にしているので、悪人が出てこないのは仕方ないのですが、出てくるキャラクター全員善人、それもみんな同じタイプだとメリハリがありません。
そこが残念に思いました。
北海道(旭川市と書いてあったかな?)の美しいロケーションは絶品でした。
青年の成長物語としてもまずまずだと思いましたが、ラストの外村のセリフでその成長物語は終わりを告げるのではなく、これからが始まりだと知り、2時間14分、「何を観せられていたんだオレは?」と言う気持ちになってしまいました。
山崎賢人さんの演技は相変わらずでした。(これ以上ツッコまないですが)
セリフの無い役でこの酷さ。
これならエキストラ映した方が良かったのでは・・・。
ピアノの奏でる旋律。
その美しさは伝わる映画だったと思いました。
ピアノの奏でる音は多くの人が携わった音色なんだと感じました。