『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』
原題:Mr. Jones
2019年製作/ポーランド・イギリス・ウクライナ合作映画/上映時間:118分/PG12/2020年8月14日日本公開
監督:アグニエシュカ・ホランド
出演:ジェームズ・ノートン
ピーター・サースガード ほか
世界恐慌下の1930年代、スターリン体制のソ連で決死の潜入取材を行ったイギリス人ジャーナリストの実話に基づく社会派ドラマです。
あらすじ
1933年、かつてヒトラーにも取材したことがあるイギリス人記者ガレス・ジョーンズ(ジェームズ・ノートン)は、世界恐慌の中でソ連だけが好景気であることに疑念を抱いていた。その謎を探るため単身モスクワへ向かった彼は、当局の監視を避けながら全ての鍵を握るウクライナを目指す。極寒のウクライナにたどり着いたジョーンズは、過酷な生活を強いられ飢えに苦しむ人々を目撃する。
(シネマトゥデイより)
スターリン体制のソ連という大国にひとり立ち向かったジャーナリストの実話をもとにした歴史ドラマです。
2019年・第69回ベルリン国際映画祭コンペティション部門出品作品。
Amazonプライムビデオにて鑑賞。
初めての鑑賞になります。
予告編を観て興味を持ち、期間限定レンタル¥100を払い鑑賞いたしました。
1933年、ヒトラーへの取材経験を持つ若き英国人記者ガレス・ジョーンズは、世界中で恐慌の嵐が吹き荒れる中、ソビエト連邦だけがなぜ繁栄を続けているのか、疑問を抱いていた。
ジョーンズはその謎を解くため、単身モスクワを訪れ、外国人記者を監視する当局の目をかいくぐり、疑問の答えが隠されているウクライナ行きの汽車に乗り込む。
しかし、凍てつくウクライナの地でジョーンズが目にしたのは、想像を超えた悪夢としか形容できない光景だった・・・。
世界恐慌の中、景気が良いソ連を探るべく、単身潜り込む英国人記者が目の当たりにしたもの。
それは人為的飢饉=ホロモドールだった・・・。
とても社会勉強になった作品ですね。
今も残るロシアとウクライナとの溝の深さ。
自分たちの都合の悪いことをすべて”フェイク・ニュース”にしてしまう当時のスターリンとトランプ前大統領との恐ろしい共通点など。
インターネットの発展で、情報量は増す一方です。
それらは本当に正しいものなのだろうか?
自分たちに耳辺りのいいものこそ、疑わなければいけない。
そんな気持ちになってしまいました。
恐怖が世界を覆っていた、それこそ闇の時代に正義というものを振りかざすことは無力なのでしょうか?
自分を犠牲にしてでも真実を世の中に伝えることがジャーナリズムと思い、ウクライナで目の当たりにしたことを伝えたジョーンズ。
彼の勇気ある行動は今、こうして映画として観ると「すばらしい」と言えるものになっておりますが、当時は単なる無謀としか思えない行動で、彼の末路を知ると救いが無いのが辛いです。
お腹いっぱいご飯食べられる幸せ。
暖かいお布団で眠れる安らぎ。
そんな当たり前と思っていたことが、本当はとても幸福なことだとしらされました。
映画はモノクロに近い色調で全体的に暗いです。
内容はさらに暗い。
・・・ただ、近年のリアリティで表現する映画界において、その部分が少し弱かったのは残念に思いました。
ベッドの上で餓死した夫婦は健康そうに見え、私はてっきり寝ているだけだと思ってしまいました。
先日鑑賞したトム・クルーズ主演映画に登場するミイラのように痩せこけていれば、より怖さが増したように思いました。
子どもたちの歌う歌の歌詞があまりにも暗く、切なかった・・・。