『インセプション』
原題:Inception
2010年製作/アメリカ映画/上映時間:148分/G/2010年7月23日日本公開
監督:クリストファー・ノーラン
出演:レオナルド・ディカプリオ
マリオン・コティアール ほか
『ダークナイト』などのクリストファー・ノーラン監督が、オリジナル脚本で描くSFアクション超大作です。
人の夢の世界にまで入り込み、他人のアイデアを盗むという高度な技術を持つ企業スパイが、最後の危険なミッションに臨む姿が描かれます。
あらすじ
コブ(レオナルド・ディカプリオ)は人が夢を見ている最中に、その潜在意識の奥深くにもぐり込んで相手のアイデアを盗むことのできる優秀な人材だった。彼は、企業スパイの世界でトップの腕前を誇っていたが、やがて国際指名手配犯となってしまう。そんなある日、コブの元に“インセプション”と呼ばれるほぼ不可能に近い仕事が舞い込む。
(シネマトゥデイより)
気鋭の映像作家、クリストファー・ノーラン監督がオリジナル脚本で挑む、想像を超えた次世代アクション・エンターテインメント大作です。
主演にレオナルド・ディカプリオ。
共演に渡辺謙、ジョセフ・ゴードン=レヴィット、マリオン・コティヤール、エレン・ペイジなど。
第83回(2011年)アカデミー賞では作品賞をはじめ8部門にノミネートされ、撮影賞、視覚効果賞、音響編集賞、音響録音賞 と技術系の4部門を受賞しております。
4K UltraHD BDにて鑑賞。
映画館、衛星放送に次いで3回目の鑑賞になります。
新年、一発目ということで、お気に入りの作品をと思い、4K UltraHD BDを購入していた本作を選びました。
人が眠っている間にその潜在意識に侵入し、他人のアイデアを盗みだすという犯罪分野のスペシャリストのコブは、その才能ゆえに最愛の者を失い、国際指名手配犯となってしまう。そんな彼に、人生を取り戻す唯一のチャンス「インセプション」という最高難度のミッションが与えられる・・・。
もう12年前も前の作品になるのですね。
前回の寅年に公開された映画です。
初めて映画館で観たときの衝撃は忘れられず・・・と言うのはウソで、予想以上に難解で、途中から睡魔に襲われ、見事(?)映画の登場人物のように自分の潜在意識の中に入ってしまいました。
約2時間半の映画で1時間半は寝てしまったでしょうか?
人生で観た映画でもかなり寝てしまった映画でした。
・・・しかし、このままでは終われない(?)と思い、WOWOW放映で、今度は分かりやすい吹き替え版で鑑賞いたしました。
100%理解したとは言えないかもしれませんが、この映画は間違いなく「凄い」映画だと感じました。
3回目の鑑賞の今回は字幕版での鑑賞です。
この映画が複雑に思えるのが、夢の中に入るための「決まりごと」のようなもので、物語自体はそれほど難しいものでは無かったように(今回鑑賞して)思いました。
サイトー(渡辺謙)はライバル企業の次期社長にあることを”植えつける”(インセプション)こと。
簡単に言ってしまえば、それだけのことなのですが、少し意地悪な(?)ノーラン監督は、これを壮大なスケールと複雑なプロットを織り交ぜながら映し出していきます。
映画の楽しみ方は人それぞれだと思います。
(1)物語を楽しむ。
(2)俳優の演技を楽しむ。
(3)ヴィジュアルを楽しむ。
(1)に重点を置く人には本作はあまり向いていないかもしれません。
間違いなく(3)が当てはまる映画です。
この驚愕の映像体験は、活字やラジオでは伝わらない凄いものがあります。
しかも、このCG全盛のご時世に極力実写で作り上げたノーランの手腕には驚くばかりです。
夢を見ているとき、それを人は現実だと錯覚する。
この誰もが見る夢を上手く題材にして、観客を現実か夢か分からない”潜在意識の中”へ送り込む映画です。
『マトリックス』と比較する人が多い本作ですが、自分は『ディレクターズ・カット版 ブレードランナー最終版』を観たときの印象が蘇りました。
ディカード(ハリソン・フォード)がユニコーンの夢を見るシーン。
このシーンが加えられたことで、彼はレプリカントなのではという疑問が生まれるようになりました。
映画は夢の奥底、そこから、また深層へと進んでいきます。
これを観ている観客も、どんどん現実世界から引き離されることとなります。
この映画を観て、自分は「夢の中の出来事が現実に思えるのであれば、今我々がいる世界も夢なのかもしれない」という気持ちを抱くように思えてしまいました。
自分はかなり悪い夢を見ることが多く、自分が殺されたり、逆に人を殺したりするような夢が多いです。
目が覚めて、「夢で良かった」と思うのですが、もしかすると、今ブログを書いている自分が夢の存在で、この悪夢こそ現実世界なのではということも本作を観ると考えてしまいます。
レオ様をはじめ、俳優の演技が最高にすばらしいです。
また世界中のロケーションもノーランの世界観を映し出す見事なものになっていたと思います。
ノーランの映画は色気が無いので嫌い。
そのような意見がありました。
たしかに、どの作品もロマンチックとはほど遠いストーリーです。
しかし、今回3回目の鑑賞で、本作の根本的なテーマは普遍的な”家族への愛”だったように思います。
自分は正直ノーラン信者ではありません。
一番高評価の『ダークナイト』もそれほど好きではありませんし、『ダンケルク』、『TENET/テネット』も「一度観れば十分」と思っております。
しかし、本作は2010年代ベストテンに入るくらい大好きな作品です。
ムダの無い映像。
俳優陣の最高の演技。
練りに練ったストーリー展開。
マリオン・コティアール出演で、エディット・ピアフの歌を起用する憎さ。
12年前の作品ですが、今観ても十分楽しめる作品だと思います。
ラストシーン、テーブルに映し出されるものを観て、「今まで私たちは何を観てきたのだろうか?」と思わさせる、最後の最後まで「凄い!」映画です。
ご挨拶が遅くなりましたが、本年もよろしくお願いいたします。
今年の初夢も富士山も茄子も出てこなかった・・・。