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『ふたりのJ・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏』

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『ふたりのJ・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏』

原題:JT LeRoy

 

2018年製作/アメリカ映画/上映時間:108分/PG12/2020年2月14日日本公開

 

監督:ジャスティン・ケリー

出演:クリステン・スチュワート

   ローラ・ダーン

   ジム・スタージェス ほか

 

アメリカ文学界に突如現れ世間を騒がせた作家J・T・リロイに迫る問題作です。

架空の美少年作家に成り済ますことになった女性の姿が描かれます。

 

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あらすじ

 

2001年、実家を出てサンフランシスコに住む兄ジェフ(ジム・スタージェス)の近くに移ったサヴァンナ(クリステン・スチュワート)は、ジェフのパートナーでバンド仲間でもあるローラ(ローラ・ダーン)と出会う。実は、女装の男娼(しょう)だった過去を描いたベストセラー小説の作者として注目を浴びていた美少年J・T・リロイは、ローラが作りだした架空の人物だった。

シネマトゥデイより)

 

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美少年作家としてアメリカの文壇に登場し、またたく間に時代の寵児となったものの、実は2人の女性が作り上げた架空の作家だったことから一大スキャンダルとなったJ・T・リロイにまつわる事件を映画化。

『トワイライト』サーガのクリステン・スチュワートが架空の美少年作家を演じております。

 

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BDにて鑑賞。

初めての鑑賞になります。

 

クリステン・スチュワートお目当てで鑑賞いたしました。

J・T・リロイという作家の存在は、まったく知りませんでした。

 

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娼婦として生きる母と息子を描いた映画「サラ、いつわりの祈り」の原作者として知られ、その才能と美貌から多くのセレブを魅了したリロイ。

 

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しかし、後にローラという女性が50ドルで雇った女性サヴァンナにリロイを演じさせていたことが明らかになり、リロイが架空の人物であることが判明。サヴァンナはなぜ、ローラの言われるままに数年もの間リロイを演じ続けたのか・・・。

 

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(写真左がJ・T・リロイを演じたホンモノのサヴァンナ。右がクリステン・スチュワート

 

アメリカ文学界に現れた美少年作家は、実は男装した女性だったという、手塚治虫先生の『リボンの騎士』もビックリの実話を基にした映画です。

 

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1980年、ウエスバージニア州で生まれた男性で、実の母親に男娼になることを強制され育ち、18歳のときに、実体験を下に『サラ、神に背いた少年』を発表し、その過激な内容から世間に衝撃を与えた。

シャイな性格で公の場では長い金髪のカツラと黒い帽子、大きなサングラスをかけていた。

ウィノナ・ライダーコートニー・ラヴら有名人との交流もありました。

しかし、2005年10月、リロイのソーシャルワーカーとして作品にも登場していたローラ・アルバートという女性が創りあげた架空の人物であることが発覚。

 

本作はこの事の顛末を描いた作品です。

Wikipediaを参考にさせていただきました)

 

『サラ、神に背いた少年』は日本にもファンが大勢いると知りました。

 

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比べてはいけないと分かって、あえて書きますが、徹底的に女装に力をいれたダスティン・ホフマンの名作『トッツィー』に比べ、バレバレ感全開のクリステン・スチュワートの男装でしたが、予想以上に似合っておりました。

 

しかし、それ以上に気になっていたのが髪の色。

ジョーカーを意識した・・・ワケでは無いと思うのですが。

 

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かましい、ウザい、嫌~な女性・ローラ・アルバートを演じたローラ・ダーンがすばらしい演技を披露しておりました。

 

親子揃ってすばらしい俳優ですね。

2世俳優は成功しないみたいなことを言われますが、彼女の場合は当てはまらないようです。

 

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公開規模が小さく、あまり観た人も多くない本作ですが、レビューの評価も低め。

「つまらない」という意見が多かったです。

 

本作は実話を基にした作品で、それほど脚色していないのが理由だと思いますが、自分はストーリーでは無く、人間の内面やエゴなどを描いた、なかなか良くできた映画だと思いました。

 

オバちゃんの書いた空想物語より、美少年の実体験の方が話題性もあり衝撃も大きいという出版業界の内幕。

また、人は偽りの仮面を被る生き物であること。

化粧やヘアスタイルなど、他人に映る自分をどう見せたいかという、普通の人なら当たり前に思う心情を上手く描いていたと思いました。

 

クリステン・スチュワート演じるサヴァンナはこれまで誰からも頼られることが無かった。

生まれて初めて「あなたしかいない」と思われたとき、自分の気持ちや良心に背いてまでも、その思いに応えたいという姿が切なく感じました。

 

ただ、映画はサヴァンナとローラの視点から描かれているので、どうしてもふたりに同情的に思える作りになってしまっているのは事実。

三者の目線で作っていれば、もっと深みが出たように思えるのは間違いありません。