『レッド・ドーン』
原題:Red Dawn
2012年製作/アメリカ映画/上映時間:96分/G/2013年10月5日日本公開
監督:ダン・ブラッドリー
出演:クリス・ヘムズワース
ジョシュ・ペック
エイドリアン・パリッキ ほか
冷戦真っただ中の1984年に製作された『若き勇者たち』をリメイクした戦争サバイバル映画です。
主演は『アベンジャーズ』シリーズのクリス・ヘムズワース。
あらすじ
アメリカの田舎町にパラシュート部隊が襲来し、瞬く間に町を制圧。 休暇で帰郷していた海兵隊員ジェド(クリス・ヘムズワース)は弟やその友人たちと共に森に逃げ込み、アメリカ全土が北朝鮮軍に占領されたことを知る。やがて敵の襲撃に遭い目の前で兄弟の父を殺されたことから、愛する人々を守り祖国を取り戻すため、若者たちは徹底抗戦を決意する。
(シネマトゥデイより)
自分の大切な人々を守り祖国と自由を取り戻すため、強大な敵との戦いに挑む若者たちの姿を描いた戦争映画です。
監督は『ボーン・アルティメイタム』や『ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル』などのアクション大作でスタントコーディネーターや第2班監督を務めたダン・ブラッドリー。
Amazonプライムビデオにて鑑賞。
初めての鑑賞になります。
間もなく見放題終了の作品から上映時間短めという理由で本作を選びました。
ある日突然、北朝鮮の侵略を受けたアメリカは、なすすべもなく占領されてしまう。からくも敵の手を逃れた若者たちは、家族や大切な人を守り、祖国を取り戻すためレジスタンスとして立ち上がるが・・・。
1984年、反共産主義者で超・タカ派として知られる、ジョン・ミリアス監督(『ダーティハリー2』、『地獄の黙示録』の脚本家として有名)の青春戦争映画(?)として作られた『若き勇者たち』のリメイク作品です。
オリジナルは未見。
キャストに後に有名になるパトリック・スウェイジ、チャーリー・シーン、リー・トンプソンらが出演。
オリジナル版ではソ連、キューバ、ニカラグアの共産圏連合だった敵国が、本作では北朝鮮に変更されております。
オリジナルが公開された1984年12月というと、『ゴーストバスターズ』、『グレムリン』(共に1作目)が公開された時期で映画ファンはみんなそちらへ気持ちが行っていて、タカ派の反共産主義映画など話題にならなかったのですが、(後の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を観て、リー・トンプソンが出ているからビデオで観ようかな?と思ったこともありましたが、やっぱりやめました)今回、リメイク版を観て、どれだけオリジナルに近いかは分かりませんが、なるほど、かなりの好戦的な映画だと思いました。
ある日突然、平和な町に侵略者が現れ、町を占拠されてしまう・・・という物騒な物語であるのですが、もうあまりにあり得ない設定の連発にアホらしさが炸裂しまくっていて、最後まで笑いながら観ておりました。
本当に地上波でやっているくだらないお笑い芸人の番組より何倍も笑えました。
荒唐無稽なのは結構なのですが、ここまですべてにリアリティが無いと厳しい。
1984年のオリジナルなら、当時の旧ソビエト連邦のような大国なら、アメリカ本土上陸も不可能では無いかもしれませんが、9.11以降のアメリカで、北朝鮮が単独で(ロシア軍に協力者がいた設定になっておりましたが)上陸してくるなど、どう考えても不可能でしょう。
そこを目をつぶったとしても、上陸したら、即、住民虐殺でしょう。
しかも、住民から反乱軍のようなものが誕生したにもかかわらず、住民たちに手を出さない優しい北朝鮮の軍人さんたち。
ソーを演じた俳優が主演なのに、反乱軍の名称が”ウルヴァリンズ”とは、これ如何に。
クリス・ヘムズワースが海兵隊員という設定なのですが、町が支配されたとき、近くにいた弟さん(高校生だと思います)たちに戦争(人を殺す戦術など)を教え込みます。
アッと言う間に海兵隊員のお兄ちゃんと同じくらい戦えるようになっちゃう弟さん。
・・・な、なんか凄いな~とポカーンとして観ておりました。
お兄ちゃんは叫びます。
「イラクでは俺たちは正義だった」。
まるでランボーが乗り移ったかのような弟さんは、囚人になったガールフレンドを助けようと大活躍。
ほかにも囚人になった人もいたのですが、ガールフレンドだけを助ける弟さん。
うん、やっぱりアメリカは正義だ。
本作はG指定。
本作は子どもに観せても問題ないと映倫が判定したのですが、かなり頭を撃たれるシーンがありますし、アメリカンJKが銃片手に戦争しております。
(橋本環奈ちゃんの『セーラー服と機関銃-卒業-』は一応PG12指定を受けました)
飲酒をするシーンもあります。
どういう基準でレーベルを決めているのか知りたいですね。
荒唐無稽は問題ではありません。
映画にはそういうものが多く存在いたします。
しかし、大きなウソを描く場合、細かいところをリアルに描かないと、本当にシラける作りの映画になってしまいます。
一例を少し。
真っ暗の夜の森。
「寒いだろ」とたき火をする少年。
おいおい、敵に居場所教えるんかいな?
同じく夜の森。
弟さんの同級生のJKに愛を語るお兄ちゃん。
あんた、リーダーだろ?
そんなことしている場合かよ?
などなど、ツッコミどころ満載でした。
オリジナルでは後に有名になる若手俳優を生み出したという評価するところがありますが、本作はそれも無し。
当初は北朝鮮では無く中国の設定だったらしいのですが、スポンサーの都合で変更になったそうです。
そして、今やハリウッドはチャイニーズ・マネーに占拠されてしまっております。
10年前の映画ですが、こんな作品作っている暇があれば、そちらを心配した方が良かったように思います。
『ニューヨーク冬物語』以来の珍品映画に出会えました。
クリス・ヘムズワースは『アベンジャーズ』以外は当たりの無い俳優さんですね。
空腹から、町のサンドイッチ店を襲撃し、食料を強奪したウルヴァリンズ。
食い散らしたあと、それらを粗末に捨てる少年たち。
さすが、アメリカは正義の国です。
北朝鮮ではお腹を空かせた人たち、たくさんおりますよ。