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『散り椿』

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散り椿

 

2018年製作/日本映画/上映時間:112分/G/2018年9月28日日本公開

 

監督:木村大作

出演:岡田准一

   西島秀俊

   黒木華 ほか

 

直木賞作家・葉室麟の同名小説を名カメラマンの木村大作が、『劔岳 点の記』、『春を背負って』に続く映画監督第3作として手がけた時代劇です。

永遠の0』などの岡田准一が主演を務め、共演に西島秀俊黒木華池松壮亮奥田瑛二ら。

 

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あらすじ

 

享保15年、藩の不正を告発した瓜生新兵衛(岡田准一)は、追放の憂き目に遭う。藩を追われた後、最愛の妻・篠(麻生久美子)は病魔に侵され、死を前に最後の願いを夫に託す。それは、かつては新兵衛の友人で良きライバルでもあり、篠を奪い合った恋敵でもあった榊原采女西島秀俊)を助けてほしいというものだった。

シネマトゥデイより)

 

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『駅 STATION』などで知られる撮影監督で、『劔岳 点の記』で監督もこなした木村大作が監督・撮影を務めた時代劇です。

葉室麟の小説を基に、『明日への遺言』などで監督としても活躍する小泉堯史が脚本を担当。

 

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BDにて鑑賞。

初めての鑑賞になります。

 

前回鑑賞の日本映画がラブロマンス系だったので、そのジャンルとR15+指定の映画は避けようと思い、行き着いた作品がこちらでした。

わざわざ書く必要は無いと思いますが、岡田准一さん主演ということで、製作に藤島ジュリーKさんが携わっております。

 

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享保15年。藩の不正を訴え出たために藩を追われた瓜生新兵衛。追放後も連れ添い続け、病に倒れた妻・篠は、死の床で最期の願いを新兵衛に託す。それは、新兵衛のかつての友にしてライバルであり、藩追放に関しても大きな因縁を持つ人物・榊原采女を助けてほしいというものだった。

 

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妻の願いをかなえるため故郷へ戻った新兵衛は、やがてある確証を得て采女と対峙する。過去の不正事件の真相や妻の本当の思いを知る新兵衛だったが、その裏では大きな力が彼を襲おうとしていた・・・。

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木村大作氏の撮影監督としての手腕は評価しております。

しかし、初監督作品『剱岳 点の記』はキネマ旬報日本映画ベストテンに入っていたので、「監督としても凄いんだ」と期待して観たら、壮絶なまでにつまらなかった。

続く『春を背負って』はさらに酷く、もう観ているのが辛くなるほどのお粗末さ。

 

監督は違いますが、岡田准一さんと時代劇。

関ヶ原』の悪夢が頭をよぎりながらの、かなりハードルを下げての鑑賞。

 

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映像は美しい。

しかし、お話しが分かりづらい。

 

監督は黒澤明の撮影監督の助手出身、脚本が助監督出身の小泉堯史氏。

黒澤を真似るのは「おやめなさい」と心でつぶやきながら観ておりました。

同じ『椿』とタイトルにつく、あの名作の、後の映画に大きな影響を与えたバイオレンスの美学。

それを二流の監督と脚本家で作りあげるのはムリなお話し。

いくら、そっくり(でも無かった気も)でもにせウルトラマンザラブ星人

ホンモノのウルトラマンには敵いません。

 

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音楽も黒澤に影響を受けたフランシス・フォード・コッポラのあの名作マフィア映画の”愛のテーマ”そっくりで、いつマイケルとアポロニアが踊り出してもおかしくないと思いながら観ておりました。

こちらも真似するの「おやめなさい」と思いました。

いくらサロメ星人がモロボシ・ダンからすべての情報を聞き出しても、こちらもホンモノのウルトラセブンには敵いませんでした。

 

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池松壮亮さんは演技力もあり、すばらしい俳優さんだと思っております。

彼が本郷猛を演じると聞いて(浜辺美波ちゃんの次に)嬉しく思いました。

しかし、本作は4年前の映画なので、出ていたら後の祭りなのですが、時代劇はこれが最後にした方がいいですね。(レビューを読んで、同意見の方、多かったです)

チョンマゲも似合っておりませんし、セリフまわしが時代劇に合っておりません。

 

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やたら雨や雪が降るシーンが多いのですが、降らせ過ぎでしょう。

岡田さんと池松さん、2人の映っているシーンはかろうじて見分けつきましたが、豪雨のシーンで4人くらい人がいると誰が誰だかサッパリ分からなかったです。

 

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クライマックスの殺陣のシーンも突然のゲリラ豪雨

血しぶきが飛び散る中の岡田准一さんの殺陣もよく表情が観えない。

オマケに血しぶきもよく観えない・・・。

 

これが木村大作撮影監督の描きたかった美学なんでしょうか?

撮影監督の作品の中では一番ダメな映画でした。

 

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近年、映画でもテレビドラマでも時代劇が作られなくなりました。

日本人の本来持っていた(?)武士道精神は『キル・ビル』のユマ・サーマンに持って行かれてしまいました。

 

原作はすばらしいと聞いております。

そんないい食材がありながら、ほとんど素人の人に作らせてしまったのがもったいなかった。

日本人はまだまだ美味しい時代劇に飢えているはずです。

 

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しかし、岡田准一さんの殺陣は本当にすばらしいものがありました。

このおかげで、本作は木村大作映画監督としての3本の中で一番まともな作品に思えました。

監督は岡田准一さんに感謝すべきですね。

 

エンドクレジットのバックに美しい草花が映りますが、植物に詳しい方の話しですと、それらは明治以降に日本にやって来たものらしいです。(苦笑)

 

木村大作氏のような大ベテランカメラマンとなると、自分より若い監督の下で撮影監督を務めるのは苦痛なのは分かります。

ですが、やはり”餅は餅屋”。

若手の映画監督たちに、これまで自分が培ってきたものを教えることも、これからの日本映画界のプラスになると私は思います。