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『聖杯たちの騎士』

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『聖杯たちの騎士』

原題:Knight of Cups

 

2015年製作/アメリカ映画/上映時間:118分/G/2016年12月23日日本公開

 

監督:テレンス・マリック

出演:クリスチャン・ベイル

   ケイト・ブランシェット

   ナタリー・ポートマン ほか

 

ツリー・オブ・ライフ』などの名匠テレンス・マリックが監督・脚本を手がけた人間ドラマです。

成功を手にしたものの心にむなしさを抱える脚本家が、6人の女性たちとの出会いを通じ、自らの過去と向き合うさまが描かれます。

 

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あらすじ

 

気鋭の脚本家として注目を浴びるリック(クリスチャン・ベイル)は、ハリウッド映画の脚本執筆を引き受けたことから華やかな生活に溺れ、自分を見失っていく。その一方で、心の奥底にあるむなしさを払拭(ふっしょく)できず、自分が進むべき道を求めてさまよう日々を送っていた。そんな彼が、巡り合った6人の女性たちに導かれるように、自らの過去と向き合い始める。

シネマトゥデイより)

 

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世界が注目する巨匠、テレンス・マリック監督が、クリスチャン・ベイルケイト・ブランシェットナタリー・ポートマンら豪華実力派キャスト共演で描く恋愛ドラマです。

ゼロ・グラビティ』、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』『レヴェナント 蘇えりし者』で3年連続アカデミー撮影賞を受賞したエマニュエル・ルベツキが撮影を手がけております。

 

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BDにて鑑賞。

2度目の鑑賞になります。

 

今日は特に観る作品を決めておりませんでしたが、いつも通りTwitterで映画サイトからスターの誕生日を知らせが届き、本日1月30日がクリスチャン・ベイル、48歳のお誕生日と知り、彼の出演作品を選ぼうと思いました。

 

普通なら『ダークナイト』になるのですが、こちらは3部作ですし、新年にノーランの映画観ているので別の作品を。

あまり古いのはと思い、2010年以降の作品から選ぼうと思い、そこから消去法で選ぶことに。

アメリカン・ハッスル』、『マネー・ショート 華麗なる大逆転』、『バイス』の実話ものはあまり観る気がおきず、オスカー受賞の『ザ・ファイター』は正直、マーク・ウォールバーグが好きでは無いので、こちらもパス。(わがままやな~)

エクソダス:神と王』、『フォードVSフェラーリ』はBD持っておらず、Amazonプライムビデオ見放題にありませんでした。

・・・で、行き着いたのが、一番万人向けで無い本作。

 

ちなみに名誉のため書いておきますが、『ディパーテッド』、『テッド』と”テッド”とタイトルにつく作品は大好きです。

 

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気鋭の脚本家リックは、ハリウッド映画の仕事を引き受けたことをきっかけにセレブな生活を送るようになるが、その一方で心の奥底に怯えや虚しさを抱えていた。進むべき道を見失ったリックは、6人の女たちとの出会いと愛を通して自分の過去と向きあっていく・・・。

 

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息を呑む美しい映像を詩的に描き、一部の映画評論家と映画ファンに指示されておりますが、描いている内容、テーマは正直分かりづらい作品ばかりのテレンス・マリック監督。

 

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映画レビューではyahoo!が平均点2.53点、映画.comが2.4と観客から嫌われまくっている本作。

「退屈」。

「ワケ分かんない」。

「時間を返して欲しい」。

「最後まで観た私は偉い」など散々な評価。

 

「こんな映画を高評価している評論家は腹立たしい」という意見もありましたが、本作は評論家にも、あまり好かれておりません。

 

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ツリー・オブ・ライフ』でカンヌを征し、間違いなく現代最高の映画監督と言えるテレンス・マリック

徹底的にインタビューは拒否しているそうですが、自身の心の言葉を本作のように詩のような美しいセリフで表現しております。

 

自分が変わり者なのかもしれませんが、今回2度目の鑑賞ですが、正直な気持ち、本作がとても好きです。

映画を観終わったあとの感想は「良かった」、「感動した」というものでは無く、「美しかった」というものが強く残りました。

 

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明確な答えを見つけるのが困難な映画(そもそも、そのようなものも存在しないかもしれません)なので、もう自分の勝手な妄想的な感想を書き綴りたいと思います。

 

・・・ただ、批判的レビューの中に「ドラッグの見せる幻覚症状」というものがありましたが、それは違うと思います。

主人公がドラッグをやるシーンは一切ありません。

 

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評論家はフェデリコ・フェリーニ監督の『甘い生活』のマリック版と書かれている人が多いですが、残念ながら、この作品未見なので、自分は、同じフェリーニの『81/2』や、スタンリー・キューブリックの『2001年宇宙の旅』に似ていると思いました。

 

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人間の生命の起源。

 

人はどこから生まれ(母親の胎内という意味では無く、生命はどこからやって来るのかという意味です)、そしてどこへ向かって行くのか?

人は最期に自分の生まれた場所へ戻っていくものなのではないかというメッセージが込められていたように思いました。

 

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自分が本来いるべきところへ戻るまで、人は何をすべきなのか?

悩み、もがき、苦しむ。

人間の持つ苦悩を詩的なセリフと映像美で描いた作品ではないでしょうか?

 

1シーンだけ登場する神父のセリフが心に残ります。

「神の愛は苦難から救うものでは無く、苦難を与えるもの。それが神の贈り物なのである」。

 

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劇中、ワンちゃんをはじめ、人間以外の生き物が映りますが、これにも意味があるような気が。

生命を持つもので、人間だけが死を恐れている生き物だと聞いたことがあります。

なぜ神は人にだけ死ぬことを教えたのでしょうか?

この疑問に先ほどの神父のセリフが甦ります。

人の持つ時間は永遠ではない。

だからこそ、人には成すべきことが必ずあるはず。

 

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ツリー・オブ・ライフ』でも描かれた父親との葛藤が本作でも描かれております。

そして、様々な女性との間を行き交う主人公の愛。

母親という存在が一切登場しないのは、これらの女性が主人公にとっての母親代わり的な存在なのかもしれません。

 

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タイトルはタロットカードにちなんでおります。

 

・・・わざわざ書くまでもありましたが、本作は”聖杯戦争”とは無関係で、サーバントは一切登場いたしません。

 

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クリスチャン・ベイルも、もうすぐ50歳という年齢になられたのですね。

デビュー作『太陽の帝国』を観ているので、「もうそんな時間が経つのか」と思ってしまいます。

 

4000人のオーディションから選ばれ、以降、様々な作品、様々な役柄を演じ、見事アカデミー賞も受賞いたしました。

 

大の動物好きで知られ、愛護運動に参加されているそうです。

Wikipediaを参考にさせていただきました)

 

クリスチャン・ベイル、デビュー作で共演した「笑点」の座布団を運ばれているお方、覚えているでしょうか?

 

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ロケーションが驚くべきほどすばらしく、圧倒されます。

美術も絶品で、コンクリートとガラス窓と観葉植物しか無い主人公の部屋ですら、芸術的に思えます。

ケイト・ブランシェットナタリー・ポートマンも美しかった。

 

「他者の目に宿る光こそが求めるべき”真珠(宝)“」というセリフが示すように目の前に映し出される映像美に酔いしれることが一番ベターな鑑賞方法の映画ではないでしょうか?

物語は無いに等しいので、そこは期待してはいけません。

 

「観れば分かるよ」と言ったストーリーに、ご丁寧にナレーションで説明までしてくださる「橋田壽賀子ドラマ」が大好きな方は、間違っても観てはいけない(?)映画です。

 

HappyBirthday!