『サウスポー』
原題:Southpaw
2015年製作/アメリカ映画/上映時間:124分/G/2016年6月3日日本公開
監督:アントワン・フークア
出演:ジェイク・ギレンホール
フォレスト・ウィテカー ほか
愛する妻がこの世を去り、娘とも引き離され全てをなくしたボクシングの元世界チャンピオンが、再び頂点を目指し娘との絆を取り戻すため奮闘する人間ドラマです。
監督を、『トレーニング デイ』、『イコライザー』などのアントワーン・フークアが務めております。
あらすじ
怒りを力に変える過激な戦闘スタイルのボクサー、ビリー・ホープ(ジェイク・ギレンホール)は、試合にまつわるいざこざが原因で妻を亡くす。生きる気力をなくした彼は世界チャンピオンの座から転落し、まな娘とも離れ離れになってしまう。全てをなくしたビリーはアマチュアボクサーのトレーナーを務めるティック(フォレスト・ウィテカー)の協力を得て、栄光と娘の信頼を取り返すため再起を図る。
(シネマトゥデイより)
ボクシング元世界チャンピオンの再起と家族の絆を描いたヒューマン・ドラマです。
『ナイトクローラー』などのジェイク・ギレンホールが本作出演のため、6カ月におよぶトレーニングによりボクサー体型を作り上げ、主人公を演じております。
共演にオスカー俳優フォレスト・ウィテカー、『007』シリーズなどのナオミ・ハリス、『スポットライト 世紀のスクープ』などのレイチェル・マクアダムスら。
キャンペーン中で、dTVとDisney+、今後中に両方加入するとかなりのポイントがもらえるということで、思いっきり釣られ加入してしまいました。
そのdTVにて鑑賞。
初めての鑑賞になります。
ボクシングを題材にした映画は傑作が多いことと、ジェイク・ギレンホール、レイチェル・マクアダムスが好きなので、「ぜひとも」と思い本作を選びました。
怒りをエネルギーに相手を倒すというスタイルでボクシング世界チャンピオンにまで上り詰めたビリー・ホープ。しかし、自身が起こした乱闘騒ぎの結果、妻を死なせてしまい、さらにはボクサーライセンスまで剥奪されてしまう。
失意のどん底にあったビリーだったが、育ての親であるトレーナー,ディックの元を訪れ、過去の自分と向き合いながら、再びリングへ上がる道を模索していく・・・。
驚くべきほど、ある意味忠実にボクシング映画というものをアントワン・フークア監督が手がけており、逆に驚きました。
ストーリーはお約束の展開が多く、ラストも簡単に読めてしまいます。
しかし、それでも熱く胸に突き刺さるものがあるのはなぜでしょうか?
1976年、1本の映画の登場が人々に勇気を与えました。
フィラデルフィアのチンピラボクサーが世界チャンピオンに挑戦するというアメリカン・ドリームを描いた『ロッキー』です。
当時のアメリカは合衆国建国100年の記念の年でありながら、泥沼のベトナム戦争の影響で人々の心は疲れ果てておりました。
希望など見えない中、このチンピラボクサーのシンデレラ物語は多くの人のハートを掴み、「まだアメリカには夢も希望も残っている」と知らしめました。
映画は見事アカデミー賞を受賞。
さらに翌年公開の『スター・ウォーズ』の大ヒットで、アメリカの人たちは絶望を希望に変えていきました。
話しが脱線してしまいましたが、本作も主人公の名前のようにHope(希望)を持たせてくれる映画になっていると思いました。
レイチェル・マクアダムスが綺麗でステキでした。
出演シーンは少なめでしたが、とても印象に残る演技でした。
・・・ただ、彼女が殺されてしまうエピソードが今ひとつ分かりづらい描写になっていて、申し訳ない書き方をすると、主人公を不幸にするための犠牲者にされたという印象が残ってしまいました。
「人は這い上がる生き物」であるというメッセージが強く、特にこれはボクシング映画によくマッチしております。
叩きのめされても、血へど吐いても、ゴングが鳴るまで勝負は分からない。
絶望の淵にいても、一発逆転のストレートがある。
まさに、それはボクシングに限らず、転落してしまった人の人生にも当てはまるもののように思います。
細かいところの描写が雑で、シナリオに少し問題がありますが、ラストはしっかり泣かせてくれるボクシング映画の定義を示してくれた映画でした。
ジェイク・ギレンホールが本当にすばらしい。
「ボクシングは顔面の殴り合い」などとほざいていた日曜日の朝のワイドショーに出演していた老害プロ野球解説者に観せてやりたいと思う、ボクシングのすばらしさを描いた作品です。(この発言が原因で降板させられめでたしめでたしでしたが)