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『ハリエット』

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『ハリエット』

原題:Harriet

 

2019年製作/アメリカ映画/上映時間:125分/G/2020年6月5日日本公開

 

監督:ケイシー・レモンズ

出演:シンシア・エリヴォ

   レスリー・オドム・Jr

   ジョー・アルウィン ほか

 

奴隷解放運動家として知られ、アフリカ系アメリカ人で初めて20ドル紙幣の肖像に採用されることが決まったハリエット・タブマンの伝記ドラマです。

第92回(2020年)アカデミー賞において、主演女優賞(シンシア・エリヴォ)、主題歌賞にノミネート。

 

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あらすじ

 

19世紀半ばのアメリカ、メリーランド州ドーチェスター郡。小さいころからブローダス一族が所有する農園の奴隷として生きてきたアラミンタ・ロス(シンシア・エリヴォ)は、奴隷主のエドワード・ブローダス(マイケル・マランド)が急死して売られることになる。二度と家族に会えなくなると考えた彼女は、奴隷制が廃止されたペンシルベニア州に逃げる。そこで運動家ウィリアム・スティル(レスリー・オドム・Jr)と出会い、ハリエット・タブマンという新しい名前で人生の再スタートを切る。

シネマトゥデイより)

 

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アフリカ系アメリカ人女性として初めて新20ドル紙幣に採用された奴隷解放運動家ハリエット・タブマンの激動の人生を映画化した作品です。

「プレイヤー 死の祈り」の女性監督ケイシー・レモンズがメガホンをとり、ミュージカル女優シンシア・エリボが主演を務め、主題歌も担当しております。

 

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Amazonプライムビデオにて鑑賞。

初めての鑑賞になります。

 

間もなく見放題が終了ということと、アカデミー賞ノミネートが気になり本作を選びました。

 

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1849年、メリーランド州。ブローダス家が所有する農園の奴隷として幼い頃から過酷な生活を強いられてきたミンティは、いつか自由の身となって家族と一緒に人間らしい生活を送ることを願っていた。

 

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ある日、奴隷主エドワードが急死し、借金の返済に迫られたブローダス家はミンティを売ることに。家族との永遠の別れを察知したミンティは脱走を決意し、奴隷制が廃止されたペンシルベニア州を目指して旅立つが・・・。

 

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映画の冒頭に”実話に基づく”などのテロップが無かったので、ずっとフィクションだと思いながら観ておりました。

エンドクレジットで初めて実話と分かりました。

アフリカ系アメリカ人女性として初めて新20ドル紙幣になるほど有名な人とは知らなかったので、アメリカではわざわざ”実話”と表記する必要が無かったのかもしれませんが、この偉業を達成した女性を知らない私のような日本人にはどうしてもフィクションに観えてしまう映画でした。

 

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アメリカ南部のアフリカ系アメリカ人奴隷制度を描いた映画と言うと、近年ではアカデミー賞作品賞受賞の『それでも夜は明ける』という作品があります。

かなり生々しく奴隷制度の恐ろしさを描いた『それでも夜は明ける』に比べると、本作は比較的ソフトなタッチで描かれ、グロいシーンなど一切ありませんでした。

 

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このアメリカ人は知らない人はいないとされる勇敢な女性の紹介映画的役割が強い作りになっていたように思いました。

奴隷にされている人たちを多く解放させ、任務に失敗することは一度も無く、同士からは聖人である”モーゼ”と呼ばれております。

 

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奴隷制度を描いた『それでも夜は明ける』、南部の人種差別を描いた『グリーンブック』などと比較すると、もちろん人種差別は描かれておりますが、その部分より、一人の女性、奴隷から戦士に覚醒する、ヒーロー映画のような作りになっているのが本作の特徴だと思いました。

 

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ただ、実話なのでウソは無いのでしょうが、ハリエットのあまりに桁外れの活躍が「えっ?」と思わせてしまうのも事実。

またハリエットという女性は芯が強く映し出されておりますが、映画は本当にあっさり・さっぱりした感覚で、白人雇い主が黒人奴隷を虐殺するような描写が一切無いので、彼女たちの怒りというものが今ひとつ伝わりづらいものになってしまったように思いました。

 

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「自由か死か」。

その二択しか無いと思い闘い続けたハリエットという女性の人生には頭が下がる思いでした。

 

この映画の物語から約200年、今も残る人間の持つ差別意識

それは永遠に消えることは無いのかと思うと切なく感じます。

これは対岸の火事では無く、日本にも言えることだと思います。

「170cm以下の身長の男に人権は無い」などという恐ろしい思想を平然と公の場で言える人間が存在することを考えると、日本にも差別意識というものがあると言っても過言ではないでしょう。

 

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アメリカの歴史が好きで、学生時代から少し勉強させていただいておりますが、そういう意味では学ぶものが多い映画でした。

また、自由とは「好き勝手」することでは無く、ほかの人と「対等」の立場に立てることなのだということを知ったように思いました。

 

ですが、映画の出来として観ると、至って平凡。

映画サイト、映画.comでは「主演女優賞はシンシア・エリヴォで決まり」と予想されておりましたが、結果はレニー・ゼルウィガーに敗れてしまいました。

(そちらの映画も見放題にあるので、いずれ鑑賞したいと思っております)