原題:Rebel in the Rye
2017年製作/アメリカ映画/上映時間:109分/G/2019年1月19日日本公開
監督:ダニー・ストロング
出演:ニコラス・ホルト
ゾーイ・ドゥイッチ ほか
「ライ麦畑でつかまえて」の著者J・D・サリンジャーの知られざる半生を描いた伝記ドラマです。
『マッドマックス 怒りのデス・ロード』などのニコラス・ホルトが演じております。
監督は『大統領の執事の涙』などの脚本を手がけ、本作が長編監督デビュー作となったダニー・ストロング。
あらすじ
1939年、コロンビア大学に編入した作家志望のサリンジャー(ニコラス・ホルト)は、自分の作風を確立するために試行錯誤していた。恩師の指導の下で執筆した短編を出版社に売り込むがことごとく断られ、ようやくニューヨーカー誌に掲載が決まった矢先、太平洋戦争開戦により掲載は見送られてしまう。そして招集され戦地へ赴いた彼は、交際中の恋人が結婚することを知る。
(シネマトゥデイより)
20世紀のアメリカ文学に残る傑作と言われる「ライ麦畑でつかまえて」の著者J・D・サリンジャーの半生を描いたドラマです。
名声を手にしながら表舞台から姿を消した謎がひもとかれます。
Amazonプライムビデオにて鑑賞。
初めての鑑賞になります。
間もなく見放題終了とのことで、本作を選びました。
サリンジャー、「ライ麦畑でつかまえて」は聞いたことがありますが、読んだことはありません。
ケヴィン・スペイシーの例の一件に関しては、触れずにレビューしたいと思っております
1939年、作家を志しコロンビア大学の創作学科に編入した20歳のサリンジャーは、大学教授ウィット・バーネットのアドバイスで短編小説を書き始める。出版社への売り込みを断られ続ける中、ようやく掲載が決定するが、太平洋戦争のぼっ発によって、その掲載は見送られてしまう。
召集により戦地に赴いたサリンジャーは戦争の最前線で地獄を経験し、終戦後もそのトラウマに悩まされながら、初長編「ライ麦畑でつかまえて」を完成させる。この作品の成功により、突如として名声を手に入れたサリンジャーだったが・・・。
日本でも出版されている「ライ麦畑でつかまえて」の著者であるJ・D・サリンジャーの半生を描いております。
映画の中で”事実に基づく”などの表記が無かったので、どこまでが事実なのか分かりませんが、文学を愛する青年が己を曲げない姿が映し出された映画だと思いました。
少し残念に思ったところは、本作も『ポップスター』同様、低予算の映画で、サリンジャーが「ライ麦畑でつかまえて」を執筆するきっかけになった戦場での体験、ノルマンディー上陸作戦や戦場での仲間たちの死というものがフラッシュバックくらいにしか描けていなかったことです。
『プライベート・ライアン』ほど忠実に・・・とは言いませんが、この部分の描写の弱さは物足りなさを感じてしまいました。
ビックリしたのが、自分が付き合っているカノジョが戦地へ赴いている間に、映画スターのチャップリンと結婚しちゃったというエピソード。
チャップリンは50歳くらいで、カノジョは18歳。
これっ、事実ならチャップリン凄いな~などと思ってしまいますが、カレシのいる女性シンガーに手を出してはいけません。
・・・と言いたいところですが、映画スターと売れない小説家では勝ち目無いですからね。
サリンジャーが気の毒でした。
出版社の気に入るようなものを書くよう命じられ、仕方なく従うサリンジャー。
しかし、自分にウソをつくのは耐えられない。
やがて彼は出版社に反抗するようなテーマのストーリーを書き始める・・・。
このエピソードが”反逆児”とタイトルについている所以かと思いますが、自分は活字に弱いので、彼の姿がいろいろな映画監督とダブって見えました。
ジョージ・ルーカスの出世作、『アメリカン・グラフィティ』はどこの映画会社も相手にせず、ユニバーサル映画が『ゴッドファーザー』で大ヒットを飛ばしたコッポラを製作者にするという条件でGOサインを出しました。
映画は大ヒット。
アカデミー賞作品賞にノミネートされました。
同じく『スター・ウォーズ』もたらい回し。
また、完成した「ライ麦畑でつかまえて」を分かりやすくしろと命じられるシーンはリドリー・スコット監督の『ブレードランナー』を連想してしまいました。
『ボヘミアン・ラプソディ』でも「クイーンなど売れるか」と言うプロデューサーの姿がありましたが、本当にいいものは、紆余曲折を得て生まれるものだと痛感いたしました。
自分の信念を曲げず、書きたいものを書き、出版はしない。
たった1冊の、自分の偽らざる気持ちを綴った小説だけで終わった作家だったからこそ、彼は伝説的な存在になったのだと思いました。
もし出版社の言いなりのものを書き続けていたら、彼の名声に傷がついていたかもしれません。
監督がデビュー作なので、力量が足りない分、セリフと俳優の演技が補っていた映画だと思いました。
ケヴィン・スペイシーは本当に上手いです。
それだけにとても残念ですね。(これ以上は書きませんが)
名作『フィールド・オブ・ドリームス』でジェームズ・アール・ジョーンズ演じる作家テレンス・マンはサリンジャーがモデルで、原作ではサリンジャーの名前が使われているそうです。(Wikipediaより)