原題:Star Wars: The Last Jedi
2017年製作/アメリカ映画/上映時間:152分/G/2017年12月15日日本公開
監督:ライアン・ジョンソン
出演:デイジー・リドリー
マーク・ハミル ほか
『スター・ウォーズ』の10年ぶりの新作として大ヒットを記録した『スター・ウォーズ /フォースの覚醒』に続く3部作の第2部で、『スター・ウォーズ』サーガのエピソード8にあたる作品です。
『LOOPER/ルーパー』のライアン・ジョンソンが監督と脚本を担当しております。
あらすじ
ついにフォースが目覚めたレイ(デイジー・リドリー)は、伝説のジェダイ、ルーク・スカイウォーカー(マーク・ハミル)のもとで修行に励む。やがてレイは、ダース・ベイダーを受け継ごうとするカイロ・レン(アダム・ドライヴァー)との決戦に臨むことになる。一方、銀河の戦いは激しくなっていき、銀河を支配しようとする組織ファースト・オーダーは同盟軍レジスタンスを追い込んでいくが……。
(シネマトゥデイより)
世界的な人気を誇る『スター・ウォーズ』シリーズの新たな3部作の第2章です。
前作に引き続きデイジー・リドリー、ジョン・ボイエガやマーク・ハミルらが出演しております。
Disney+にて鑑賞。
映画館に次いで2度目の鑑賞になります。
エピソード7の次は当然8なので、今回は本作を選びました。
映画館に比べ小さな画面の我が家のTVですが、あのキャラを観ると、やはり胃の調子が・・・。
最高指導者スノークが率い、ハン・ソロとレイア・オーガナの息子で祖父ダース・ベイダーからダークサイドの力を受け継いだカイロ・レンを擁する帝国軍残党ファースト・オーダーは、レイアの下に集ったレジスタンスと激しく交戦。レジスタンスは徐々に追い詰められていく。
一方、水の惑星オク=トーの孤島で隠遁生活を送っていた伝説のジェダイ、ルーク・スカイウォーカーを捜し当てたレイだったが、ルークはレイを拒絶し、島を去るように告げる。なんとかルークの力を借りたいレイは説得を続けるが・・・。
まず、自分の感想は後回しにし、世界的な評価などをWikipediaを参考に紹介したいと思います。
アメリカの映画評論サイト、RottenTomatoesにおいて支持率90%。
「『最後のジェダイ』は若干の驚くべき捻じれを加えながら、サーガの豊かな遺産を守っています。そして、ファンが望む全ての感情とアクションを描いています」と評価されております。
しかし、一部熱狂的ファンの否定的意見が多数を占め、インターネット署名サイトにおいて「『スター・ウォーズ』の正史から『エピソード8』を除外させよう」というキャンペーンが行われ、10万名の署名が集まりました。
監督のライアン・ジョンソンは電話取材で「批判を受けると傷つくこともあるが、一部のファンが喜んでくれなかったり、Twitterでけなしてきても根に持たないようにしている」とコメント。しかし、取材の話しとは異なり、Twitter上で「クソ野郎どものブロック開始。とてもーーー気持ちいい」と暴言を書き込んだほか、リメイクを呼びかけるファンに挑発的なTweetをしたとのこと。
『スター・ウォーズ』シリーズの生みの親であるジョージ・ルーカスは、代理人を通して「Beautifully Made.(見事な出来だ。)」とコメント。(?!)
本作にカメオ出演したジョゼフ・ゴードン=レヴィットはルーク・スカイウォーカーの扱いについて、「ファンが言うように、あれはルーク・スカイウォーカーではなく、酷いストーリーや大企業の利益優先がもたらした劣化かもしれない」と批判しております。
ジョージ・ルーカスの妻でオリジナル3部作の編集者であるマーシア・ルーカスは「ルーク像も崩壊させ、ハン・ソロも殺した。ルーク・スカイウォーカーも殺してしまって、レイア姫はもういない」と続け、「そんな映画を毎年吐き出している」と前作含め本作を酷評しております。
マーク・ハミルはライアン・ジョンソンが設定したルーク・スカイウォーカー像について、「僕が演じてきたルークとは違う」、「本当にこれが彼らの考えているルークなのか? 意見が合わないどころじゃない、侮辱されてる」、「こうなると、もうルークではなく別人の物語だ」、「彼はジェイク・スカイウォーカー」と不満を述べていたが、のちに発言を撤回し謝罪。
しかし、謝罪後もTwitter上でライアンやスタッフに対して皮肉とも取れる発言をしており、「エピソード9はパーフェクトで、誰の子供時代も壊しませんように」と意味深なコメントをしております。
ラッパーでラジオで映画評論をしている宇多丸氏は、アダム・ドライヴァーの演技は評価した一方で本作に対して「1個1個のクオリティが低すぎる」、「(反乱軍は)1から10までバカばっかり」、「レイとルークが結局まともな師弟関係を結ばない」、ルーク・スカイウォーカーの扱いの酷さ、フィンたちの無駄な行動、ローズ・ティコやホルド提督などの問題を多数指摘し、本作を酷評。
ここからは私の感想を。
ここまで評価が分かれた『スター・ウォーズ』はおそらく初めて(『ファントム・メナス』以来?)かもしれません。
宇多丸氏のおっしゃる通り、アダム・ドライヴァーの演技は良かったですね。
レイとフォースを使っての会話シーンは、とても印象に残りました。
ですが、演じられたマーク・ハミルが激怒している通り、ルーク・スカイウォーカーの扱いがあまりに酷すぎます。
ルークは『エピソード6』でフォースのバランスを保ち、銀河に平和をもたらした英雄。
それを世捨て人の引きこもりとして描いたところは、ライアン・ジョンソンからルーク=その分身である、現在第一線から退いているルーカスへのイヤミを込めたメッセージのように思いました。
「おいルーカス、これが今の貴様の姿だよ。この薄汚いルンペ○野郎!お前なんかいなくてもオレ様が新しい『スター・ウォーズ』作ってやるから安心しな」というルーカス&ルークへの侮辱たっぷりの表現だったような気がします。
気持ちの悪い生き物の乳を飲んでいるルークの姿はエピソード4~6のファンにはあまりに切なく辛すぎました。
本作の大ファン、擁護派でもさすがに擁護できないキャラクターが、こちらの”ローズ・ティコ”。
・・・な、何なんですか、これっ?
『スター・ウォーズ』はモンスター系のキャラクターも多く登場しているので、人間型のキャラクターはサイテーでも平均かそれ以上のルックスの人を出してもらいたい。
女性の外見のことなどを悪く書くと問題になるかもしれませんが、もうあえて書かせていただきますが、酷すぎます。
アジア系への侮辱とも思えるキャスティング。
キャリー・フィッシャー(若い頃)、ナタリー・ポートマンと来て、この人は無いでしょう!
ジャバ・ザ・ハットの娘という設定じゃないんだから。
このルックスでも魅力的なキャラなら救いがあるのですが、身勝手で高慢な態度は観ていてイライラしました。
終盤、フィンとのキスシーンというバケツが必要な恐ろしいシーンがあるのですが、あれ、間違いなく逆セクハラですよ。
ライアン・ジョンソンは有色人種が嫌い(KKK)?
オスカー俳優のベニチオ・デル・トロが出演しておりますが、これもまたつ、つ、つ、つまらないキャラクター。
ルーカスをバカにした作りをしたライアン・ジョンソンは偉そうなことを言っている割に自ら生み出した今回登場した新キャラは2人とも完全に死んでおります。
特にローズ・ティコはジャージャー・ビングスに匹敵する嫌われ者になっちゃいました。
前作で残した謎。
壊滅した帝国軍の残党で誕生したファースト・オーダーがなぜあれだけの軍勢を持っているのか?
それを率いている最高指導者、スノークとは何者なのか?
これらの謎にはまったく触れず、スノークはあまりにアホなヤラレ方であっさり退場してしまいました。(爆笑)
本作、かなりの数のくだらないギャグが取り入れられているのですが、全部滑っております。
『スター・ウォーズ』にはユーモアは必要かもしれませんが、お粗末な笑いは必要ありません。
ローラ・ダーン演じるホルド提督がバカ過ぎて・・・。
何で味方に秘密にしているのか?
このおバカのせいで多くのレジスタンス戦士が犠牲になってしまいました。
イウォーク系の愛らしさを持ったキャラクターとして登場したポーグ。
・・・くだらなかった。
結局ルーカス否定して新しい『スター・ウォーズ』作ると意気込んでいて、ほとんどが劣化コピー。
まだ長編映画2本しか作っていないライアン・ジョンソンに監督とシナリオを任せてしまったルーカスフィルムの無謀さは本作のどアホ行動連発のレジスタンスと同じ過ちと言えるかもしれません。
ジェダイが時代劇の”ジダイ”から来ているとおり、黒澤映画を意識して作られた『スター・ウォーズ』。
そうしたアジアンテイストの師匠と弟子との関係を描いてほしかったですね。
かつてのオビ=ワンとルーク。(アナキン)
ヨーダとルーク。
別の作品ですが、『ベスト・キッド』のミヤギとダニエル・・・みたいな。
結局いじけたルークが何も教えてくれないので独学でフォースを強めていくレイ。
宇多丸氏も話しておりましたが、フォースのインフレ感が半端ない。
誰の教えも無く無双になっていくレイ。
フォースを学んだシーン観たことの無いレイアも驚くべき曲芸を披露。
・・・もう、悲しくて泣きそう。
ただ、良かったと思えるところも幾つか。
ヴィジュアルは目を見張るものがあったと思います。
特に最終決戦の星の赤い土煙のようなものを舞い上げるシーンはカッコ良かったです。
※ネタバレあり※
ルーク、最後くらいはジェダイ・マスターらしく、かつての弟子と戦いを挑んでほしかった。
最期まで引きこもりで終わってしまった。
レイア「(ルークは)やってきてくれたわ」。
いえいえ、来ておりません。
まともな師弟関係じゃ無いので意味ないですが、オビ=ワンがルークへ後を託し消えるように、ルークもレイに同じ光景を見せて退場なら良かったですが、レイは見ていない、ルークは島に引きこもったまま笑点・・・じゃなく昇天では本当に最後の最後までルークは救いの無いキャラクターでTHE END。
久々にCGじゃないマスター・ヨーダを観れたのは良かった。
ですが、霊体でグレートマジンガー顔負けの物理的な攻撃ができるのなら、かつてシスの暗黒卿に殺されたジェダイ・マスターが全員霊体で戦えば、ファースト・オーダーなど簡単に倒せると思ってしまいました。
「ライアン・ジョンソンの卓越した演出はルーカスやJ・Jをも遙かに超えた」なる評論を書いている日本の批評家の皆さん。
Disneyに買収されているのは明白なので、あまり白々しいことは書かないでくださいね。読んでいて恥ずかしくなります。
その点、宇多丸氏は立派です。
今回2回目の鑑賞でしたが、どうなるか分かっていたので、映画館で観たときよりテンポ良く感じ、あまり長いとは思いませんでした。
デイジー・リドリーは結構タイプなので、彼女の出演シーンは天国、ローズの登場シーンは地獄でした。
そのデイジー・リドリーが泣いて喜んだというJ・J監督復帰の、次回エピソード9へ続く・・・。
遺作となったキャリー・フィッシャーへの哀悼の意を表して、「フォースと共にあらんことを」。