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『MOTHER マザー』

『MOTHER マザー』

 

2020年製作/日本映画/上映時間:126分/PG12/2020年7月3日日本公開

 

監督:大森立嗣

出演:長澤まさみ

   奥平大兼

   阿部サダヲ ほか

 

実際に起きた祖父母殺害事件をベースに、社会の底辺で生きる母親と息子を取り巻く過酷な現実を描いた人間ドラマです。

社会の闇へ落ちていくシングルマザーを長澤まさみが演じております。

 

あらすじ

 

男にだらしなく自堕落な生活を送るシングルマザーの秋子(長澤まさみ)は、息子の周平に異常に執着する。秋子以外に頼れる存在がいない周平は、母親に翻弄(ほんろう)されながらもその要求に応えようともがくが、身内からも絶縁された母子は社会から孤立していく。やがて、17歳に成長した周平(奥平大兼)は凄惨(せいさん)な事件を引き起こしてしまう。

シネマトゥデイより)

 

日日是好日』、『光』の大森立嗣監督が長澤まさみ阿部サダヲという実力派キャストを迎え、実際に起きた「少年による祖父母殺害事件」に着想を得て描いた人間ドラマです。

長澤まさみの息子を演技未経験ながら初めてのオーディションで選出された奥平大兼が演じるほか、夏帆、仲野太賀らが共演。

 

BDにて鑑賞。

初めての鑑賞になります。

 

同じ監督の『日日是好日』とこちら、どちらを観るか迷ったのですが、長澤まさみさんお目当てでこちらを選択いたしました。

 

男たちと行きずりの関係をもち、その場しのぎで生きてきたシングルマザーの秋子は、息子の周平に異様に執着し、自分に忠実であることを強いてきた。そんな母からの歪んだ愛に翻弄されながらも、母以外に頼るものがない周平は、秋子の要求になんとか応えようともがく。

 

身内からも絶縁され、社会から孤立した母子の間には絆が生まれ、その絆が、17歳に成長した周平をひとつの殺人事件へと向かわせる・・・。

 

く、暗い映画でした。

救いが無く、いろんな意味で神経を逆撫でされるようなストーリー。

 

人間のクズのようなダメな母親を長澤まさみさんが今まで観たことの無い演技で演じております。

 

長澤まさみさん演じる秋子の息子を演じる奥平大兼さん。

オーディションで選ばれたそうですが、映画初出演で頑張っていたと思いました。

ほかの方のレビューですと、長澤まさみさんのオーラが強すぎて印象に残らなかったなどとありましたが、自分は良かったと思いました。

見事なまでのイケメンぶりも発揮しておりました。

 

ダメ男を演じさせたら天下一品の阿部サダヲさんが本作でも本領発揮。

こういう役は本当に上手です。

 

お恥ずかしながら自分は観ていないのですが、『誰も知らない』、『万引き家族』(←それでも映画ファン?)のような社会の底辺でうごめき、苦しんでいる人たちをしっかりと捉えている作品だと思いました。

ただ、その姿はあまりに切なく残酷なため、好き・嫌いは分かれるところだと思います。

 

秋子らを保護する福祉施設の職員を演じた夏帆さん。

海街diary』の姉妹がここまで両極端なキャラクターに・・・。

夏帆さん演じる亜矢の子どもたちを見つめる温かい瞳は冷たい空気しか流れていなかった映画の中で唯一と言える陽の光のように感じました。

 

亜矢の保護を受けていれば、寝るところもあれば、教育を受けることもできる。

しかし、それでもダメ母と離れられない周平。

理由は「お母さんが好きだから」。

 

映画が実際に起こった事件をベースにしたということは鑑賞後知りました。

なぜ、このようなことが起こってしまったのか?

明快な問題定義の解決案が存在しないことのため、観ていてイライラが積もるかもしれません。

 

「触らぬ神に祟りなし」。

まさにそれが少年を犯罪へ導いてしまったように思います。

 

働かず親や妹から多額の借金をしている秋子。

その秋子と息子の周平に深く関わろうとせず、二人との間にボーダーラインのようなものを引いてしまった親類の行動。

もちろん、この人たちを責めることはできませんが、もし、真剣に「救いたい」という気持ちを持てていたら、違っていたかもしれません。

 

シネマトゥデイの短評でも「長澤まさみを観る映画」と賞賛している方と、「キレたように叫ぶだけが熱演じゃない」と賛否分かれている長澤まさみさんの演技。

あの『セカチュー』のヒロインが汚れ役を演じることは、長澤まさみさんの意気込みや作り手の熱意が感じられ良かったと思います。

・・・ただ、えっつぃシーン(←それを期待していたワケではありません)はほとんどありませんし、17歳くらいの息子を持つ母親としては綺麗過ぎるかな~とも思いました。

長澤まさみがここまでの汚れ役を演じた」とところは評価できますが、「ここまでしかやりません」と一線引いてしまったところは少し惜しい気がいたします。

 

「舐めるように愛して育てきた・・・」。

秋子の言葉は彼女なりの真実であり、その言葉を重く感じていた周平は結局彼女の言いなりになるしか無かった・・・。

救いの無い映画でしたが、あるとしたら、歪んでいても愛という絆がそこに存在したことでしょうか?