『ローマンという名の男 -信念の行方-』
原題:Roman J. Israel, Esq.
2017年製作/アメリカ映画/上映時間:129分/日本劇場未公開作品
監督:ダン・ギルロイ
出演:デンゼル・ワシントン
カルメン・イジョゴ ほか
デンゼル・ワシントンが約18キロ増量するなど、徹底的な役作りで主人公を熱演し、第90回アカデミー賞で主演男優賞にノミネートされたサスペンスドラマです。
『ナイトクローラー』で注目されたダン・ギルロイが監督と脚本を担当しております。
あらすじ
長年法律事務所で裏方の仕事をしてきた、有能だが見た目のさえない人権弁護士ローマン・J・イズラエル(デンゼル・ワシントン)。ある日、パートナーで事務所代表のウィリアムが倒れたことを機に帳簿を調べる内に、事務所の資金調達に不正があったことを知り信念を大きく揺さぶられていく。さらに、利益優先の凄腕弁護士ジョージ・ピアス(コリン・ファレル)に雇われ、殺⼈事件を担当することになるが、その裁判で不正が⾏われていると知り、自分の人生を変える大きな問題に足を踏み入れていく・・・。
(ソニー・ピクチャーズ、ホームページより)
デンゼル・ワシントンが有能でありながら見た目の冴えない人権弁護士を演じた社会派ドラマです。
役作りのために体重を18キロ増やし、サイズの合わないスーツやパンツを着て、アフロ頭にすることで個性的な外見を考案。歩き方にもこだわるなど、徹底したアプローチで第90回アカデミー賞主演男優賞候補に。
共演に『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』のコリン・ファレルら。
BDにて鑑賞。
初めての鑑賞になります。
「観たい」と思っていたのですが、なかなか機会が無く、今回本作を選ぼうと思いました。
日本劇場未公開作品なので、資料などが少ないことをご了承ください。
有能だが見た目の冴えない人権弁護士ローマン・J・イズラエルは、法のもとに正義を実現するべく長年にわたって奔走してきた。ある日、一緒に法律事務所を構えるウィリアムが倒れたことをきっかけに帳簿を調べはじめた彼は、事務所の資金調達に不正があったことに気づき、信念を大きく揺さぶられる。
そんな中、敏腕弁護士ピアスからの依頼で殺人事件を担当することになったローマンは、その裁判で不正が行われていることを知り・・・。
近年、なぜか主演映画が軒並み日本劇場未公開になってしまっているデンゼル・ワシントン主演の社会派サスペンスです。
デンゼルは主演のほか、製作も兼任しております。
有能でありながら見た目の冴えない人権弁護士のローマン。
安物のサイズの合わないスーツを着て、時代遅れのヘッドフォンでiPadを聴いている。
片や、敏腕弁護士ジョージ。
高級スーツを身にまとい、スマートさを全面に出しております。
この2人のギャップが面白く感じました。
己の正義や信念を貫いていた男・ローマンが「自分がこれまで信じていたもの」が音をたてて崩れ落ちたとき、彼に劇的な変化が訪れます。
残念ながら、正義や信念ではお腹は膨れない。
『イコライザー』に主演したデンゼル・ワシントンに、ここまで人間的に弱い男を演じたところに惹かれました。
優秀でありながら「古き、良き」法を信じ続け、結局地位も名誉も無い人権弁護士のローマンの姿が痛々しくもあり、切なく感じます。
どんなに頑張っても報われないローマンはとうとう弁護士としてはやってはいけない禁じ手を使ってしまいます。
そして人生は一変いたします。
しかし、不正で得たものに価値はあるのか?
心は満たされるのだろうか?
彼は今まで多くの被告人を守ろうとしていたが、彼自身が犯罪者=被告になってしまう。
『ナイトクローラー』の監督作品なので、楽しみにしておりましたが、あまり毒は無く、ロサンゼルスの夜景もそれほど多く登場しませんでした。
映画はどちらかと言うと優等生タイプの作りになっていたように思いました。
デンゼル・ワシントンの演技は本当にすばらしいです。
・・・が、映画として観ると日本人には公民権運動や司法などあまり縁の無いものが多いので、そこが本作を劇場未公開作品にしてしまった理由かもしれません。
有罪・無罪を決める法廷ものでもありませんし・・・。
築き上げるのは並大抵のことではありませんが、壊れるのは一瞬。
そして司法とは弱者のために存在するものでは無い・・・。
そのような辛い現実を見つめる作品です。
楽しい気分になる映画ではありませんが、テーマはしっかりしていると思います。
デンゼル・ワシントンが食べていたドーナツが美味しそうだった。