『ミスター・ガラス』
原題:Glass
2019年製作/アメリカ映画/上映時間:129分/G/2019年1月18日日本公開
監督:M・ナイト・シャマラン
出演:ジェームズ・マカヴォイ
アニャ・テイラー=ジョイ ほか
『シックス・センス』などのM・ナイト・シャマラン監督が、『アンブレイカブル』の後日譚(たん)を描いたサスペンスです。
自分をスーパーヒーローと信じて疑わない3人の男性が集められ、禁断の研究が始まります。
あらすじ
ある施設で、特殊能力を有する3人を対象にした研究が始まる。そこには、悪を察知する力と不死身の体を持つデヴィッド(ブルース・ウィリス)、24種類の人格が同居する多重人格者のケヴィン(ジェームズ・マカヴォイ)、ハイレベルなIQと94回も骨折した繊細な肉体を持つミスター・ガラス(サミュエル・L・ジャクソン)が集まっていた。
(シネマトゥデイより)
M・ナイト・シャマラン監督がブルース・ウィリス&サミュエル・L・ジャクソン共演で送り出した『アンブレイカブル』のその後を描いたサスペンススリラーです。
同じくシャマラン監督作でジェームズ・マカヴォイ主演の『スプリット』とも世界観を共有します。
Disney+にて鑑賞。
初めての鑑賞になります。
前回の記事で書いた通り、「毒食わば皿まで」精神で鑑賞いたしました。
この映画の感想によって、今度こそ正真正銘シャマランとお別れになります。
フィラデルフィアのとある施設に、それぞれ特殊な能力を持つ3人の男が集められる。不死身の肉体と悪を感知する力を持つデヴィッド、24人もの人格を持つ多重人格者ケヴィン、驚くべきIQの高さと生涯で94回も骨折した壊れやすい肉体を持つミスター・ガラス。
彼らの共通点は、自分が人間を超える存在だと信じていること。精神科医ステイプルは、すべて彼らの妄想であることを証明するべく、禁断の研究に手を染めるが・・・。
2000年に製作された『アンブレイカブル』の続編と言っていいストーリーだったと思います。
劇中、サミュエル・L・ジャクソン演じるミスター・ガラスが「ここまで19年かかった」というセリフが登場しておりました。
『アンブレイカブル』でブルース・ウィリスの息子を演じた子役の人がそのまま出演していたのには驚きました。
『スプリット』に引き続き、ジェームズ・マカヴォイとアニャ・テイラー=ジョイが出演。
アニャ・テイラー=ジョイは本作でも美しさを披露しておりました。
ジェームズ・マカヴォイは今回も多重人格の男を好演していたと思います。
・・・と、褒められるところはここまで。
シャマラン、どうしたら、こんなに酷いシナリオが書けるのか教えてください。
『スプリット』は私財を投げ打って製作されたと今知りました。
長年ヒット作に恵まれず経済的に困っていたからでしょう。
その『スプリット』が世界的に大ヒットし、調子の乗って自作で一番の大ヒット作『アンブレイカブル』の続編を作った。
製作の理由だけは分かりました。
『アンブレイカブル』が製作された2000年にはヒーロー映画は『バットマン』シリーズくらいしかありませんでした。
しかし、本作が製作された2019年には『ダークナイト』3部作がすでに公開され、同じ年に『アベンジャーズ/エンドゲーム』が公開されております。
映画における”スーパーヒーロー”像が確立された今、なぜ『アンブレイカブル』に出てきた「コミックのヒーローは実在するか?」というテーマをふたたび描く理由が自分には分かりませんでした。
シャマランのDCやMCUへのアンチテーゼとして観れなくも無い作品ですが、あまりに細かい描写にツッコミどころが多すぎて笑いを通り越して呆然となりながら観ておりました。
19年間ボケ~と施設で暮らしていたミスター・ガラスがマカヴォイが来た途端、水を得た魚のように蘇り、スイッチが入り超人的行動に走る姿は「・・・」でした。
サラ・ポールソン演じるステイプル医師の目的はまったくの意味不明。
「自分を特別だと思っている人間を治療する」などと言っておりますが、ブルース・ウィリスの弱点やマカヴォイが凶暴にならない特殊な光を用意しているなど、しっかりご自身特別な能力を認めちゃっているという、いかにもシャマラン的バカバカしさ。
マカヴォイの父親とミスター・ガラスとの関連があまりにこじつけでガッカリ。
彼の最凶モードのビーストもただの怪力と壁歩きくらいで、せめて目からビ~ムくらいやってもらいたかった。
本当のヴィラン(悪役)はどこに存在するのか?
それ(だけ)はしっかり描いていたと思います。
最終決戦地に予定されていたフィラデルフィアにできた”オオサカ・タワー”はナカトミ・ビルのパロディですよね?
大列車事故でも死ななかったブルース・ウィリスが一般人の警官に殺されてしまう有様は、最後までブルース・ウィリス、コケにされたまま終わってしまいました。(涙)超人には人権は無いのね。
サミュエル・L・ジャクソンが出演した真のヒーロー映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』のエンドクレジット後の映像で消えていくニック・フューリーが「Mother F×××」と言うシーン、韓国では「お母さん」と翻訳されたそうです。(全然違うよ)
今こそ、シャマランに言いましょう。
「お母さん」と。
「さよなら」。
(でもAmazonプライムビデオで新作『オールド』配信しているんですよね。やっぱり観ちゃうかも・・・)