『コーダ あいのうた』
原題:CODA
2021年製作/アメリカ・フランス・スイス合作映画/上映時間:112分/PG12/2022年1月22日日本公開
監督:シアン・ヘダー
出演:エミリア・ジョーンズ
トロイ・コッツァー
マーリー・マトリン ほか
家族の中でただひとり耳の聞こえる少女の勇気が、家族やさまざまな問題を力に変えていく姿を描いたヒューマンドラマです。
2014年製作のフランス映画『エール!』のリメイク。
タイトルの「CODA(コーダ)」は、「Children of Deaf Adults=“耳の聴こえない両親に育てられた子ども”」のことを言います。
本年度、2022年・第94回アカデミー賞において、作品賞・助演男優賞(トロイ・コッツァー)・脚色賞の3部門にノミネートされ、同3部門受賞。
あらすじ
とある海辺の町。耳の不自由な家族の中で唯一耳が聞こえる女子高生のルビー(エミリア・ジョーンズ)は、幼少期からさまざまな場面で家族のコミュニケーションを手助けし、家業の漁業も毎日手伝っていた。新学期、彼女はひそかに憧れる同級生のマイルズと同じ合唱クラブに入り、顧問の教師から歌の才能を見いだされる。名門音楽大学の受験を勧められるルビーだったが、彼女の歌声が聞こえない両親から反対されてしまう。ルビーは夢を追うよりも家族を支えることを決めるが、あるとき父が思いがけず娘の才能に気付く。
(シネマトゥデイより)
耳の不自由な家族の中で唯一耳が聞こえる少女が歌の才能を認められたことをきっかけに、夢と現実のはざまで葛藤する感動のドラマです。
『タルーラ ~彼女たちの事情~』などのシアン・ヘダーが監督・脚本を務めております。
Amazonプライムビデオにて鑑賞して鑑賞。
初めての鑑賞になります。
本年度アカデミー賞最優秀作品賞受賞の映画がこんな早く見放題で観れると知り、同部門ノミネートのスピルバーグの『ウエスト・サイド・ストーリー』、デル・トロの『ナイトメア・アリー』より先に(こちらはすでにDisney+で配信中)鑑賞いたしました。
海の町でやさしい両親と兄と暮らす高校生のルビー。彼女は家族の中で1人だけ耳が聞こえる。幼い頃から家族の耳となったルビーは家業の漁業も毎日欠かさず手伝っていた。
新学期、合唱クラブに入部したルビーの歌の才能に気づいた顧問の先生は、都会の名門音楽大学の受験を強く勧めるが、 ルビーの歌声が聞こえない両親は娘の才能を信じられずにいた。家業の方が大事だと大反対する両親に、ルビーは自分の夢よりも家族の助けを続けることを決意するが・・・。
聴覚障がい者の家族の中、唯一耳の聞こえる少女・ルビーが自分の夢と家族の生活との狭間で揺れ動く心をコミカルかつ感動的に描いた映画です。
今年のアカデミー賞は授賞式で別のことの話題が持ちきりで、作品賞や日本映画の受賞がまったく話題にならなかったある意味不遇な作品かもしれません。
・・・ちなみに、ビンタのリチャード王の映画も最近レンタルで配信スタートいたしました。
まず邦題ですが、さすがGAGAさんと言わざるを得ません。
『コーダ』は原題通りなので問題ないのですが、サブタイトルの『あいのうた』が問題。
わたしは邦楽はまったく聴かない・・・ワケでは無いのですが、この方の歌は聴いたことの無い、羊水(ひつじみずと読んでしまった)発言で有名な倖田來未さんの曲に「愛の歌」という作品があり、映画ファンの間から「倖田來未の映画と思われてしまう」と言われております。
もうGAGAさん(配給会社)に「いい邦題つけろ」と言うのは選挙に当選した議員に「公約守れ」と言うくらい不可能なことだと分かってはおりますが(そこまで酷くは無いかもしれませんが)アカデミー賞受賞するくらいの映画なので、もっと考えてもらいたかったですね。
倖田來未さんも寝耳に羊水だったかもしれません。
映画を観ていて驚いたのが、かなり下ネタのオンパレードだったこと。
我が家の風習からかもしれませんが、この手の話しは私の家庭では御法度で、家族揃ったところで○ックス(サックスではありません)という言葉を言っただけで父親から「そんな言葉を言うな!」とウィル・スミスを通り越し、星一徹のようなビンタが飛んで来たくらいでした。
そんな家庭環境で育ったせいか、あまり下ネタは好きではありません。
ですが、この映画の下ネタはかなり自分の中では笑えるレベルで、結構大声を出して笑ってしまいました。
ここまで下ネタ連発の映画で笑ったのは『メリーに首ったけ』以来ですね。
出演者は知らない人ばかりでしたが、お母さん役の方はもしかして・・・と思ったらエンドクレジットでマーリー・マトリンと知り、懐かしさと嬉しさを覚えました。
1987年の『愛は静けさの中で』に主演し、聴覚障がい者の女性で初のアカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞。
翌年、プレゼンターとして登壇した彼女は振り絞るように自分が出せる最大の声でアカデミー賞主演男優賞ノミネートされている俳優の名前を読み上げ感動を呼びました。
そして本作でアカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞したトロイ・コッツァー。
このお父さんがいい味を出しているんですよね~。
アカデミー賞に相応しい演技だったと思います。
お二人のようにハンディキャップ=マイナスではない。
障害があっても、それを負にしないパワーがあることをお二人は証明したと思います。
高い崖から池に飛び込むという勇気を示すシーンがあります。
まさに人生と同じ。
立ち止まって震えていたって何も始まらない。
一歩踏み出すことで先に進める。
ありきたりな描写かもしれませんが、このシーンも良かったです。
青春映画としてのツボもしっかり押さえております。
とにかくルビーの姿が常に前向きで思わず応援したくなってしまうんですよね。
吹き替え無しのエミリア・ジョーンズの歌声に感動。
家族の温かさ、ルビーに情熱に胸が熱くなり、音楽の先生の思いやりに涙。
「泣ける」というコピーの映画で泣けることはまれですが、この作品は本当に笑って泣ける映画でした。
ハンディキャップを持つ人は他者より不幸では無い。
彼らも同じように懸命に前へ進み、そして力強く活きている。
そのようなことを教えられた映画でした。
昨夜鑑賞したのですが、まだ胸が熱く高鳴っております。
ここ数年、『パラサイト 半地下の家族』、『ノマドランド』と玄人向けの作品がアカデミー賞作品賞受賞しておりますが、本作は比較的万人向けのタイプの映画ではないかと思いました。
その代り毒は少なめです。
ぜひ、多くの方に観てもらいたい1本です。