『ある女流作家の罪と罰』
原題:Can You Ever Forgive Me?
2018年製作/アメリカ映画/上映時間:106分/日本劇場未公開作品
監督:マリエル・ヘラー
出演:メリッサ・マッカーシー
リチャード・E・グラント
ドリー・ウェルズ ほか
有名人の手紙を偽造していた女性作家リー・イスラエルの自伝を、『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』などで知られるメリッサ・マッカーシーの主演で映画化した作品です。
第91回(2019年)アカデミー賞で主演女優賞、助演男優賞、脚色賞の3部門にノミネート。
あらすじ
かつてベストセラー作家だったリーも、今ではアルコールに溺れ、仕事も続かず、家賃も滞納、愛する飼い猫の病院代も払えない。どん底の生活から抜け出すため、大切にしていた大女優キャサリン・ヘプバーンからの手紙を古書店に売ると、意外な高値で売れたことから、セレブの手紙はコレクター相手のビジネスになると味をしめたリーは、有名人の手紙を偽造しはじめたが…。
(紀伊國屋書店ウェブストア・オンラインより)
著名人たちの手紙を捏造していた女流作家の自身の体験記を映画化し、アカデミー賞で主演女優賞・助演女優賞・脚色賞にノミネートされた実録ものです。
監督は『ミニー・ゲッツの秘密』のマリエル・ヘラー。
Disney+にて鑑賞。
初めての鑑賞になります。
Disney+は見放題終了は無いと思っていたのですが、最近、「観たい」と思っていた映画が突然配信終了してしまいました。
少し危機感が芽生え、同じサーチライト・ピクチャーズのこちらは日本劇場未公開作品なので、一刻も早く観ておこうと思い、今回は本作を選びました。
かつてベストセラー作家だったリーは、今ではアルコールに溺れて仕事も続かず、家賃も滞納するなど、すっかり落ちぶれていた。
どん底の生活から抜け出すため、大切にとっていた大女優キャサリン・ヘプバーンからの手紙を古書店に売ったリーは、セレブからの手紙がコレクター相手に高値で売れることに味をしめ、古いタイプライターを買って有名人の手紙の偽造をはじめる。
さまざまな有名人の手紙を偽造しては売り歩き、大金を手にするリーだったが、あるコレクターがリーの作った手紙を偽者だと言い出したことから疑惑が広がり・・・。
作家で生活していくことの大変さがとてもよく伝わってくる映画でした。
かつてはベストセラーも生み出したいたが、近年はサッパリダメになり、アパートの家賃も払えない。
人間嫌いでネコちゃんの方が好き。
でも、そんな愛猫も年老いて病気に。
しかし、病院の支払いも滞納している始末・・・。
こで大切にしていた女優キャサリン・ヘプバーンが書いた手紙を古書店に売ると、有名人のスキャンダラスな手紙がコレクターに高く売れることを発見。
そして、リーは著名人たちの手紙を捏造しては古書店に売り、ひと稼ぎするようになります。
被害者のいる犯罪ドラマに「面白かった」と評価すると不謹慎かもしれません。
ですが、主人公がどんどん捏造の手紙の執筆に没頭していく姿が痛々しくもあり、ユーモラスでもありました。
ゲイの友人で相棒のジャックとのコンビぶりが面白かったです。
彼女もシングルで(彼女も同性愛者なのかな?そこは詳しく描かれませんでしたが)やたら息がピッタリなのが楽しめます。
2人ともオスカーノミネートは納得です。
ベストセラー作家から詐欺師へ転落していく人生。
しかし、そのような底辺を彷徨う人を描いた映画ほど不思議と共感できてしまいます。
かつてヒットした自分の本は書店で75%OFFでセール中。
それを見ただけで、気持ちも沈んでしまいます。
しかし、過去の栄光が邪魔し、下働き的な仕事もできない。
最初は出来心で始めた捏造の手紙ですが、次第に自分がその著名人のような気持ちでタイプライターを打ち続けます。
それは、皮肉にもリーが女流作家としての生き甲斐をふたたび生み出すことになります。
メリッサ・マッカーシーの演技が本当にすばらしいです。
本職はコメディみたいですが、堕ちていく彼女の姿には胸が痛みました。
(『ソー:ラブ&サンダー』に出演とありますが、どこに出ていたのか分かりません)『女王陛下のお気に入り』が受賞した年のアカデミー賞授賞式でパロったウサギのドレスを着ていた女優さんです。(あれは笑った)
相棒のリチャード・E・グラントも良かったです。
時代が1990年代初頭ということもあり、HIVに犯されてしまう姿が悲しかったです。
彼女の才能を見込んでいるから、自作の短編を彼女に読んで感想を求める書店の女性店員。
社会からつまはじきのような扱いを受けていたリーですが、何々、人間、捨てたものでは無いと感じされるシーンでした。
誰もやったことの無い犯罪を自伝で執筆し、それが爆発的に売れてしまう。
「事実は小説よりも奇なり」。
芸術性より、面白さを描いた実録ものがウケてしまうという皮肉がまたいいです。
サーチライト・ピクチャーズ、またも傑作を生み出しました。