『アンビュランス』
原題:Ambulance
2022年製作/アメリカ映画/上映時間:136分/PG12/2022年3月25日日本公開
監督:マイケル・ベイ
出演:ジェイク・ギレンホール
ヤーヤ・アブドゥル=マティーン二世
エイザ・ゴンザレス ほか
『トランスフォーマー』シリーズなどのマイケル・ベイ監督によるノンストップカーアクション映画です。
瀕死の警察官を乗せた救急車を銀行強盗が逃走のためにジャックしたことで、街中を巻き込む追走劇へと発展します。
あらすじ
妻の手術費を用意するため、元軍人のウィル(ヤーヤ・アブドゥル=マティーン二世)が血のつながらない兄ダニー(ジェイク・ギレンホール)に相談すると、3,200万ドルを奪う銀行強盗を提案される。襲撃当日、犯行は当初のもくろみ通りにいかず、警察に追われる事態になってしまう。追い詰められた二人は逃走用に救急車をジャックするが、そこにはウィルに撃たれて瀕死(ひんし)の警察官と、救命士キャム(エイサ・ゴンサレス)が乗り合わせていた。
(シネマトゥデイより)
『ザ・ロック』などのマイケル・ベイ監督がジェイク・ギレンホールを主演に迎え、強盗を働いた元軍人の主人公が、瀕死の警官を乗せた救急車で逃走劇を繰り広げる姿を描いたノンストップアクションです。
共演に『キャンディマン』などのヤーヤ・アブドゥル=マティーン二世、『ブラッドショット』などのエイサ・ゴンサレスら。
Amazonプライムビデオにて鑑賞。
初めての鑑賞になります。
期間限定レンタル¥100だったので、ジェイク・ギレンホールが出ているので借りてみました。
レンタル後、監督がマイケル・ベイと知り、もの凄い後悔の念が・・・。
アフガニスタンからの帰還兵ウィルは、出産直後の妻が病に侵され、その治療には莫大な費用がかかるが保険金も降りず、役所に問い合わせてもたらい回しにされるだけだった。なんとかして妻の治療費を工面しようと、血のつながらない兄のダニーに助けを求めるウィル。
犯罪に手を染めるダニーが提案したのは、3200万円ドル(約36億円)もの大金を強奪する銀行強盗だった。計画通りならば、誰も傷つけることなく大金だけを手にするはずだったが、狂いが生じて2人は警察に追われる事態に。
やむを得ず逃走用に救急車に乗り込んだ2人だったが、その救急車はウィルに撃たれて瀕死となった警官を乗せていた。乗り合わせた救命士キャムも巻き込み、ダニーとウィルはロサンゼルス中を猛スピードで爆走することになる・・・。
さすがマイケル・ベイ!
おバカ映画を撮らせたら右に出る者がいない(・・・いや、シャマランとローランド・エメリッヒがいるか)。
アフガニスタンからの帰還兵で黒人のウィリアムは妻の多額な手術代を工面するため、小さい頃に養子縁組で「兄」となったダニーに銀行強盗の手伝いを依頼され、計画の途中に誤って警官を撃ってしまい、救急車(アンビュランス)を強奪。
その負傷した警官と救命士を乗せて警察の追っ手から逃走・・・というだけのストーリーなのですが、何で2時間16分もあるの?と訊きたくなってしまいます。
ドローンを駆使したカメラがよく動き、ヴィジュアル的に迫力のあるものに仕上がっているのは間違いありません。
・・・なのですが、カーアクション映画としても犯罪ドラマとしても、すべてにおいて弱い印象が残りました。
比べても仕方ないかもしれませんが、ここから過去の傑作映画との比較で本作の弱点を書いていきたいと思います。
大勢のパトカーに追われてのカーチェイスだと『ブルース・ブラザース』を思い出します。
シカゴの街を疾走するあの醍醐味は残念ながら本作にはありません。
チェイスのシーンがワンパターンなんですよね。
メリハリがまったくありません。
またLAの街をノンストップで走ると言うと『スピード』という傑作映画がありますが、スリルがありません。
理由は簡単。
追いかけているLAの警官たちが、あまりにもおバカだからです。
ジェイク・ギレンホール演じるダニーは極悪非道の父親を持ち、その父を反面教師にして、「絶対人は殺さない」と誓う。
・・・って、それならまず犯罪に手を染めてはいけないでしょう?
銀行強盗を実行する。
当然、手にはマシンガン。
言っていることとやっていることが滅茶苦茶。
しかも、顔を隠さず素顔をさらしての実行。
ここが、いかにもマイケル・ベイらしい。
その父親とのからみでFBIの男と無線で話し合うシーンがあります。
銀行強盗と警察(FBIは警察とは違いますが)とのやり取りとなるとシドニー・ルメット監督の名作『狼たちの午後』を思い出します。
しかし、本作では、あの名作のような上手いと思わせるやり取りはありません。
強盗VS警官との銃撃戦。
この映画のヴィジュアルを観て、いかにマイケル・マンの『ヒート』が傑作だったか分かります。
とにもかくにもマイケル・ベイは映像のカッコよさばかり追求してしまい、その根底にあるものがまったく描けておりません。
劇中なぜか登場するピーマンそのものの映画でした。
どんな役、特に悪役、キレた役が上手いジェイク・ギレンホールをまったく活かしきれなかったのが、とてももったいないと思いました。
『ナイトクローラー』のような魅力がこの作品では発揮できず、「別にジェイクで無くていいんじゃない」と思うキャラクターでした。
100キロ以上のスピードで走る救急車の中で、医師の指示を受けながらですが、救命士が麻酔も無く手術してしまうシーンには目が点になってしまいました。
ロス市警やFBIがおバカに描かれるのは『ダイ・ハード』からのハリウッドの伝統なのでしょうか?
せめて救命士の女優さんが魅力的なら、少し評価を高くしてもいいと思ったのですが、「コードブルー~」のガッキーの方が数段ステキでした。
ラストの女の子とのエピソードが意味不明。
ムダに長い映画なのに肝心なものの説明は無いという、これまたマイケル・ベイ全開。
せめて、あと上映時間が30分短ければ・・・。
これだけ長い時間走ってガス欠しないアンビュランスに驚き。