『ビリーブ 未来への大逆転』
原題:On the Basis of Sex
2018年製作/アメリカ映画/上映時間:120分/G/2019年3月22日日本公開
監督:ミミ・レダー
出演:フェリシティ・ジョーンズ
ジャスティン・セロー ほか
『博士と彼女のセオリー』、『ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー』のフェリシティ・ジョーンズ主演で、実話をもとに史上初の男女平等裁判に挑んだ女性弁護士を描いた社会派ドラマです。
女性が働きにくかった時代に弁護士となり、女性の権利を訴え続けた主人公の姿を映し出します。
あらすじ
貧しいユダヤ人家庭出身のルース・ギンズバーグ(フェリシティ・ジョーンズ)は、必死に努力して名門ハーバード法科大学院に入学する。1956年当時在学していた女性は500人中たったの9人で、女子トイレすら設置されていなかった。家事と育児に理解のある夫マーティン(アーミー・ハマー)の助けもあり、ルースは首席で卒業する。しかし女性というだけで法律事務所に就職することができず、大学の教授になる。
(シネマトゥデイより)
80歳を超えてアメリカの最高裁判事を務めた(2020年9月18日他界)ルース・ベイダー・ギンズバーグ氏の半生に迫る社会派ドラマです。
『ペイ・フォワード 可能の王国』などのミミ・レダーが監督を務め、『博士と彼女のセオリー』などのフェリシティ・ジョーンズが主人公を演じ、アーミー・ハマー、キャシー・ベイツらが共演。
Amazonプライムビデオにて鑑賞。
初めての鑑賞になります。
見放題終了、6時間前にギリギリ鑑賞できました。
大好きなフェリシティ・ジョーンズ主演ということで、劇場公開時から気になっていた作品です。
のちにアメリカで最高裁判事を務めることとなるルース・ギンズバーグは、貧しいユダヤ人家庭に生まれ、努力の末に名門ハーバード法科大学院に入学する。
夫マーティの協力のもと彼女は大学院を首席で卒業するが、女性であることを理由にルースを雇い入れる法律事務所はどこにもなかった。やむなく大学教授となったルースは、男女平等の講義に力を入れながらも、弁護士への夢を捨てきれずにいた。
やがてある訴訟記録を目にし、それが歴史を変える裁判になると信じたルースは自ら弁護を買って出るが・・・。
・・・す、凄い邦題です。
原題は”On the Basis of Sex”(性別による差別。Sexとありますが、えっちぃ内容ではありません)
どこが「ビリーブ」で、どこが「大逆転」なのでしょうか?
GAGAのヘンテコ邦題には正直、もうウンザリです。
1993年クリントン政権から女性としては二人目の連邦政府最高裁判事に指名されたルース・ギンズバーグを描いた映画です。
彼女がハーバード法科大学院に入学したとき、生徒の男女比率は500:9。校内に女性用トイレすら無かったそうです。
努力の末、主席で大学院を卒業しても「女性」という理由だけでどこの法律事務所も採用してくれない。
女性の名義ではクレジットカードも作れず、家庭に入ることが強制されていた1970年に「男女平等」を訴え、勝ち目0%の裁判に挑む姿が描かれます。
昨今、「ジェンダー平等」という声が多く聞かれます。
男性も女性も隔たりなく、同じ立場でなければならない。
そのような意味はよく分かりますが、これは強制されてやるべきものでは無いような気がいたします。
宗教と同じで押しつけられるものでは無く、その気持ちを持たなければ何の意味も無いように思います。
50年前のアメリカの話しですが、日本などは未だに、日曜朝の情報番組内でオリンピック金メダリストに「嫁入り前のお嬢ちゃん」などという侮辱的発言が飛び出したり、映画館でも「レディース・デイ」と銘打って女性のみ割引料金というシステムが最近まで行われ、とてもではないですが「ジェンダー平等」とはほど遠い世の中のような気がいたします。
アメリカでは「男女」だけでなく、人種の差別が存在いたします。
男女差別と人種差別は別物として捉えられている作品なので、(劇中にも、そのようなセリフが登場いたします)
・・・ただ、平等という観念からすると、ハーバード大学法科大学院に女子生徒が少ないこと以上に黒人生徒が一人もいない光景の方が自分には異様に映ってしまいました。
弁護士・ルース・ギンズバーグの達成したことは、まさしくそれまで何百年続いた歴史を覆す偉業です。
・・・なのですが、なんと言いましょうか?同じ偉業を達成したアームストロングを描いた『ファースト・マン』を観たあとだっただけに、そこまでに至る過程の描き方が弱いような感じがいたしました。
オスカー女優のキャシー・ベイツが伝説の弁護士(?)として登場いたしますが、これと言った見せ場も無く退散。
もったいない使われ方だな~と思ってしまいました。
ギンズバーグという女性があまりにたくましく、これなら男どもも敵わないだろうというオーラが発生してしまい、これが逆に物語的にマイナス要素になってしまったように感じました。
”虐げられた者たち”の物語としては、傑作『ドリーム』には及ばない作品でした。
ラストにご本人登場いたしますが、こういう描写は自分個人的には、あまり好きでは無いんですよね。(『LION/ライオン 25年目のただいま』など)
これも、アームストロングご本人の顔写真すら登場させなかった『ファースト・マン』とは大分違います。
ギンズバーグを描いたドキュメンタリー映画があるそうなので、彼女を詳しく知りたいのであれば、そちらを観た方がいいかもしれません。
この作品は女性監督が作るべきだとは思いますが、なぜ20年近く映画界から離れていたミミ・レダーを引っ張り出してきたのが謎です。
フェリシティの演技は良かったです。
最終弁論(なのかな?)のシーンも力強さが感じられました。
・・・が、アメリカ映画の法廷ものとしては少し面白味に欠けるかな?
前を向き、間違った世界を変えることの勇気は十分伝わりました。