One today is worth two tomorrow.

当ブログへ起しいただき、心から感謝いたします。映画の感想やスポーツ観戦の記事、写真中心のブログです。

『タミー・フェイの瞳』

『タミー・フェイの瞳』

原題:The Eyes of Tammy Faye

 

2021年製作/アメリカ映画/上映時間:127分/日本劇場未公開作品

 

監督:マイケル・ショウォルター

出演:ジェシカ・チャステイン

   アンドリュー・ガーフィールド

   チェリー・ジョーンズ ほか

 

アメリカのテレビ伝道師夫婦の栄光と挫折を、実話を基に描いた人間ドラマです。

ゼロ・ダーク・サーティ』などのジェシカ・チャステイン、『アメイジングスパイダーマン』シリーズなどのアンドリュー・ガーフィールドらが出演。

本年度(第94回)アカデミー賞において、主演女優賞(チャステイン)とメインアップ&ヘアスタイリングの2部門を受賞。

 

あらすじ

1970年代から1980年代にかけて、ジム・ベイカー(アンドリュー・ガーフィールド)は、テレビ伝道師として活動していた。彼は妻のタミー・フェイ(ジェシカ・チャステイン)と二人で出演するテレビ番組を製作し、大きな成功を収める。やがてタミーが独特のメイクや歌い方、全ての人々を受け入れる寛容さで伝説のテレビ伝道師として有名になっていく一方で、二人の夫婦仲は冷めていく。

シネマトゥデイより)

 

1970年代から80年代にかけてアメリカで大きな成功を収めたテレビ伝道師タミー・フェイとジム・ベイカー夫妻の波乱万丈の人生を描いた実録ドラマです。

監督は『ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ』のマイケル・ショウォルター

 

Disney+にて鑑賞。

初めての鑑賞になります。

 

本日11月22日は「いい夫婦の日」だそうで、何か夫婦ものは・・・と探しておりましたら、行き着いたのが本作でした。

映画サイトなどのオススメは『ゴーン・ガール』が多かったですが、こちらはすでに観ておりましたし、「いい夫婦」と言えるか・・・。

 

キリスト教福音派のテレビ伝道師として愛にあふれたメッセージを発信するタミーと、その番組を製作するジム。視聴者は熱狂し、タミーは瞬く間に絶大な人気を得て成功を収める。

 

人々を幸せにすることが自分の使命であり、人々から募金を集めることは神の意志だと信じて疑わないタミー。しかし、金銭的な不正やライバルの陰謀、ジムのスキャンダルなどにより、2人の築いた栄光は次第に崩壊していく・・・。

 

絶賛するほどではありませんでしたが、面白かったですね。

 

自分は大げさに驚くうさん臭いと思いテレビショッピング番組などは一切観ませんが、それを上回るテレビ放映を使って宗教を広める「伝道師」として、TVスター的な存在になったカリスマ夫婦、その妻であるタミー・フェイの視線から物語が描かれていきます。

 

伝道師の娘に生まれたタミー・フェイは、ミネソタ州の聖書学校で知り合ったジム・ベイカーと恋に落ち、母親の反対を押し切って結婚し、夫婦でキリスト教の説教を行うようになります。

あるケーブルテレビの番組に出演したことで注目され、夫婦で新たなネットワーク、PTLを設立します。

 

サッカーでゴールを決めた選手、野球でホームランを打った選手が神に捧げるポーズを取る光景は海外や外国人選手では珍しくありません。

それだけ外国では「宗教」というものが根強くあり、信仰心が強ければ、その教えを他者に広めたいと思うのはある意味当たり前の行動かもしれません。

 

泣いても取れないつけまつげを武器(?)に、巧みな話術で多くの指示を集めるタミー・フェイ。

・・・ただ、寄付額が増えれば増えるほど、さらなる欲が出てきてしまいます。

どの神様もお金がかかるのは万国共通なのかもしれません。

 

 

ジェシカ・チャステインがオスカーに値いする名演でした。

この強烈なカリスマ伝道師を見事演じていたと思います。

独特の歌い方や軽快な話術など、観る人を惹きつけるものを持った女性というのは、この人物を知らない私でも見入ってしまいました。

 

(写真・左がジェシカ・チャステイン。右がタミー・フェイご本人)

また、こちらもオスカー受賞納得のメイクがすばらしかったです。

ジェシカ・チャステインはタミー・フェイのキワモノ的イメージのため、毎日4~7時間のメイクを施したそうで、ご本人曰く、「肌にダメージが残っても構わない」という女優根性を発揮。

 

このジェシカの頑張りもあり、この女性を好き・嫌いは別として考えても、彼女の独特のメイクと発声法には目を奪われてしまうのは間違い無いと思ってしまいます。

 

ですが、これだけ人気の出た人物を利用しようとするモノが次々と登場します。

 

彼女の宗教活動を利用しようとした人物として、当時のレーガン大統領の名前も登場いたします。

キリスト教の聖書で禁止され、共和党が嫌う同性愛者ですらタミー・フェイは自身のテレビ番組に起用します。

当時はタブーだったエイズ患者とのトークで視聴者の興味を引き、エンターテインメントとしての彼女の宗教活動は続いていきます。

 

彼女の夫、ジム・ベイカーを演じたアンドリュー・ガーフィールドも好演でした。

(彼も主演男優賞にノミネート。惜しくもビンタの俳優さんに敗れる)

 

彼女たち夫婦が純心にキリスト教の教えを伝えようとしたのは間違いないと思います。

しかし、どこからか歯車が狂い始め、誤った道へ行くことになる姿が少し切なく感じました。

 

旦那のスキャンダルなどで崩壊していく夫婦の姿を描いた映画なので、「いい夫婦の日」にピッタリとは言えないかもしれませんが、キリスト教の教えが”赦し”であるのであれば、彼女はどん底まで堕ちても、宗教心を守り貫いたと言えると思います。

そこだけは立派です。