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『ウエスト・エンド殺人事件』

『ウエスト・エンド殺人事件』

原題:See How They Run

 

2022年製作/アメリカ映画/上映時間:98分/日本劇場未公開作品

 

監督:トム・ジョージ

出演:サム・ロックウェル

   シアーシャ・ローナン

   エイドリアン・ブロディ ほか

 

1950年代のロンドンの演劇街・ウエスト・エンドを舞台にしたミステリーです。

アガサ・クリスティ原作の舞台が上演されている劇場で起きた殺人事件を凸凹コンビの警部と巡査を『スリー・ビルボード』のサム・ロックウェル、『レディ・バード』のシアーシャ・ローナンが演じております。

監督はこれが長編デビューとなるトム・ジョージ。

 

あらすじ

 

1950年代、霧深きロンドンの演劇街ウエスト・エンド。ある人気舞台を映画化する計画が進む中、スタッフが殺害される。一報を受けて駆け付けたのは、人生にくたびれたストッパード警部(サム・ロックウェル)と熱血が過ぎる新人ストーカー巡査(シアーシャ・ローナン)。取り調べで次々に明らかになる華やかな世界の“表”と“裏” 。浮かび上がる個性的な容疑者たち。複雑に絡み合った殺人事件の犯人はいったい誰なのか!?そして、2人が真相に迫ろうとした時…。

(ローチケHMVプレミアム クランクイン!ビデオより)

 

サム・ロックウェルシアーシャ・ローナン主演のミステリーです。

共演にエイドリアン・ブロディ、ルース・ウィルソン、シャーリー・ヘンダーソンら。

サーチライト・ピクチャーズ作品です。

 

Disney+にて鑑賞。

初めての鑑賞になります。

 

予告編を観て惹かれ、シアーシャ・ローナン主演とのこともあり、今回は本作を選びました。

 

1953年のロンドンのウエスト・エンドの劇場で、アガサ・クリスティの「ねずみとり」が100回目の上演を迎えようとしていた。その大勢の関係者が参加するパーティの最中、ハリウッドからやってきた監督が何者かに殺されてしまう。

 

まるでクリスティの創作のような事件だったが、スコットランドヤードの警部と巡査は捜査を開始。関係者からの聞き取りを重ねていくうちに、この事件は思わぬ方向に転がっていく・・・。

原題を直訳すると「彼らがどのように走るかを見てください」(Wikipediaより)。

1953年ロンドン、ウエスト・エンドで卑劣な映画監督が殺害される事件が起こります。

容疑者は舞台関係者全員。

まるで上演されているアガサ・クリスティ原作の舞台「ねずみとり」のような展開で映画の物語も進んでいきます。

 

アガサ・クリスティ原作の「ねずみとり」は実際にある小説でそうですが、この時期、本当にこの小説の舞台化が上演されていたのかは分かりません。

ですが、主演を務めていたのが、『大脱走』などで有名な、のちに映画監督になるリチャード・アッテンボローと実際の俳優名が使われているところが面白かったです。

 

冒頭のシーンでエイドリアン・ブロディ演じる嫌な映画監督がアガサ・クリスティの作品をバカにするところから物語は始まります。

「いつも同じ”犯人探し”。狭いところに必ず疑惑のある容疑者が固まっている。あんなものは二流の殺人ミステリーだ」。

 

・・・で、その映画監督が殺害されてしまいます。

誰もが動機を持っていると、まるっきりアガサ・クリスティのミステリーそのもの。

自分は映画化された作品しか知りませんが、この映画は上演されている「ねずみとり」のパロディになっているそうです。

 

事件を担当することになったストッパード警部(サム・ロックウェル)はまったくのやる気ゼロ。

対する新米のストーカー巡査(シアーシャ・ローナン)はバリバリやる気満々。

この、まったくかみ合わないコンビを2人の俳優は息ピッタリに演じております。

 

捜査する2人はスコットランドヤードという警察に所属しております。

実は、この警察は実在して、この映画の舞台になる1950年代に大問題を起こしております。

それが「リリントン・プレース事件」と呼ばれるものでロンドンのノッティングヒルに住む女性と幼い娘さんが殺害されるという事件が起こり、ある男が逮捕され、起訴され有罪判決を受け絞首刑になったのですが、この死刑から3年後、別の人物が怪しいという疑問が生じ、死刑になった男は実は無罪でえん罪だったということがあったとのこと。

つまり、この作品は「スコットランドヤードは無能」と遠回りに皮肉たっぷりに描いているというワケです。

 

アガサ・クリスティのミステリーがお好きな方にはオススメできる作品です。

ただ、全体的にコメディの要素が強く、肩に力を入れすぎて「真犯人は誰だ?」と構えてしまうと少し拍子抜けしてしまうかもしれません。

 

劇中、セリフで登場しますが、ちょうど、この頃はハリウッドは”赤狩り”真っ最中で、それを逃れロンドンへやって来た映画人も多かったという設定は「なるほど」と思いました。

 

シアーシャ・ローナン、どんな役柄もこなせる本当にすばらしい女優さんですね。

彼女のファンは観て損は無いと思います。