『ゴジラ キング・オブ・モンスター』
原題:Godzilla: King of the Monsters
2019年製作/アメリカ映画/上映時間:132分/G/2019年5月31日日本公開
監督:マイケル・ドハティ
出演:カイル・チャンドラー
ミリー・ボビー・ブラウン ほか
『GODZILLA ゴジラ』(2014)、『キングコング:髑髏島の巨神』(2017)に続く、“モンスター・ヴァース”シリーズの第3弾です。
監督は『スーパーマン リターンズ』などで脚本を担当したマイケル・ドハティ。
『ファースト・マン』などのカイル・チャンドラー、『マイレージ、マイライフ』などのヴェラ・ファーミガ、『シェイプ・オブ・ウォーター』などのサリー・ホーキンス、『沈まぬ太陽』などの渡辺謙らが出演。
あらすじ
神話の時代に生息していた怪獣のモスラ、ラドン、キングギドラが復活する。彼らとゴジラとの戦いを食い止め世界の破滅を防ごうと、生物学者の芹沢(渡辺謙)やヴィヴィアン(サリー・ホーキンス)、考古人類学者のアイリーン(チャン・ツィイー)らが所属する、未確認生物特務機関モナークが動き出す。
(シネマトゥデイより)
『GODZILLA ゴジラ』(2014)から5年後の世界を舞台に、復活した神話時代のモスラ、ラドン、キングギドラらの怪獣たちとゴジラの戦い、それによって引き起こされる世界の破滅を阻止しようとする特務機関・モナークの活躍を描くアドベンチャーです。
Amazonプライムビデオにて鑑賞。
初めての鑑賞になります。
間もなく見放題終了とのことで、今回は本作を選びました。
前作にあたる『GODZILLA ゴジラ』はWOWOWで、『キングコング:髑髏島の巨神』は劇場で観ております。
ゴジラ出現から5年後。神話時代の巨大生物モスラ、ラドン、キングギドラたちが現代に目覚め、地球の覇権をかけゴジラとバトルを繰り広げる。
一方、未確認生物特務機関・モナークは、ゴジラたちの戦いによって引き起こされる破壊を防ごうと奮闘するのだが・・・。
※かなり酷い個人攻撃を書くと思います。不快になられるかもしれません。※
1998年に製作された『GODZILA ゴジラ』。
監督は撮れば、その映画すべてが酷い出来になる、まさに”キング・オブ・駄作”のローランド・エメリッヒ。
コイツの撮ったこのゴジラもどきは、日本人はもちろん、アメリカでも「これは単なる巨大トカゲ」と批難轟々でした。
『インデペンデント・デイ』(1996)のときも怒り心頭だったのですが、これで頂点に。
コイツの映画は「2度と観るものか!」と思っていたのですが、『インデペンデント・デイ』の続編(2016)をたまたま時間が合うのがそれしか無く、しかもMX4Dと普通よりお高いお値段で観たとき、後悔と罪悪感に苛まれてしまいました。(涙)
・・・と同時にアメリカ人の作る『ゴジラ』は観ないと誓い(大げさ)、2014年の作品はスルー。
WOWOW放映でちょっと観てみよう(誓ってないじゃん)と思い観たところ、意外にもしっかりとした”怪獣映画”になっていた安心したと共に嬉しくも感じました。
元ネタと言っていい『三大怪獣 地球最大の決戦』(1964)は当然観ております。
生まれる前の映画なので、当然テレビ放映でですが。
それをハリウッドが作った本作。
2014年の作品もあり期待しても良かったはずなのですが、なぜか興味を抱かず、映画館はもちろん、配信でも終了されるとならなかったら観なかったかもしれません。
理由を考えると、この間に日本人による傑作ゴジラ映画『シン・ゴジラ』が作られたからかもしれません。
偉大な先人が作り上げたものを新たに作る人間は、少なからず、その偉大な先人に対し尊敬と感謝の念を抱かなければ、いい作品は作れないと自分は思っております。
この監督、やってくれました。
『シン・ゴジラ』の庵野秀明監督同様、伊福部昭先生のゴジラのテーマ曲を使用し、「これでもか!」と言うほど怪獣たちが暴れまくる映画を作ってくれました。
しかも、対ゴジラ用兵器にオキシジェン・デストロイヤーって、感涙ものッスよ。
「モスラの歌」は使われなかったか・・・と思ったらエンディングで流れました。
さすがに劇中、双子の姉妹は登場しませんでしたが・・・。
エンドクレジットの最後に2017年に他界されたゴジラのスーツアクターの中島春雄氏の追悼を写真付きで掲載したときは鳥肌ものでした。
ゴジラ愛にあふれた監督に作ってもらえたことが本当に嬉しかったです。
石ノ森章太郎先生を嫌う白倉Pや富野由悠季監督をバカにした「ガンダム種」を作った夫婦と大違い。
このような荒唐無稽な物語がウソっぽくなくなりました。
『スター・ウォーズ』シリーズやMCUの大ヒットなどが理由としてあげられますが、本作も怪獣誕生の理由であったり、その怪獣を退治する戦闘機などの動きなど、説得力のある作りになっていたところは良かったです。
我らが謙さん・・・こと渡辺謙さん、渋いです。
役名が芹沢博士というのも泣かせてくれます。
そして、人間以外のキャラクターとの共演が妙に板についてしまったサリー・ホーキンス。
ある理由から怪獣を復活させようとするエマ・ラッセル博士役のヴェラ・ファーミガ。
彼女の行動は人類に警笛を鳴らします。
ただ、人間ドラマの部分は少し弱いかな?と思いました。
逆にそれだけ怪獣たちの活躍が凄く、そちらに重点を当てている作品と言えるかもしれません。
最終決戦地はボストン・レッドソックスの本拠地フェンウェイパーク。
「ふむふむ、なるほど」と思ってしまいました。
アメリカ人からすると”キング・オブ・モンスター”はフェンウェイパークのグリーンモンスター(レフトの巨大フェンス)なんだな~と。
来年、この地でゴジラ同様日本から”吉田正尚”というスーパースターが暴れまくると思います。
偶然なのですが、本日12月16日は『ゴジラ』(1954)で芹沢博士を演じた平田昭彦さんのお誕生日です。(1927年生まれ)
平田さんと言うと『ゴジラ』を始め、「ウルトラマン」の岩本博士など、特撮作品に欠かせない俳優さんというイメージが強いです。
東大卒業後、東宝に入社。
人柄がとても良く、同じ東宝の『ゴジラ』で共演した宝田明氏や「ウルトラQ」の佐原健二さんとも交流があり、「愛の戦士レインボーマン」で共演した塩沢ときさんも「ステキでした」と話されていたエピソードが残っております。
(Wikipediaを参考にさせていただきました)
ある日本の映画監督が言いました。
「日本の映画人で世界に影響を与えたのは黒澤明と言われているけど、オレは円谷英二だと思う。円谷英二がいなかったら特撮というものが存在しなかったのだから」。
本多猪四郎監督と円谷英二監督の生み出した、このモンスター、そして伊福部昭先生の音楽は令和になった今も十分人々を楽しませるものだと思うと、あらためて先人たちの偉大さが分かります。
すべてにおいて「サイコー」とまでは言えませんが、先人たちの尊敬の気持ちが込められた昭和感漂うハリウッド版『ゴジラ』は観ていて気持ち良かったです。