『EUREKA/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』
2021年製作/日本映画/上映時間:116分/G/2021年11月26日日本公開
監督:京田知己
声の出演:名塚佳織
小清水亜美 ほか
2005年に放送開始されたテレビアニメ「交響詩篇エウレカセブン」を新たによみがえらせた劇場版3部作『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』の完結編です。
監督は第1作で総監督、第2作で監督を務めた京田知己。
ボイスキャストには名塚佳織、遠藤璃菜、小清水亜美、森川智之など。
あらすじ
エウレカが作った“スカブコーラル”の中の仮想世界が崩壊して10年後の地球。崩壊時に姿を現した仮想世界の人類と、旧来の地球人類の間では衝突が続いていた。混乱の元凶となったエウレカは国連の独立師団無任所部隊A.C.I.D.(アシッド)の上級戦闘員となり、世界の平和のために戦っていた。ある日、エウレカはかつての自分と同じように、スカブコーラルを操る能力を持つ少女アイリスに出会う。
(シネマトゥデイより)
『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』の第2作から10年後の地球を舞台とする最終章です。
かつて地球に混乱をもたらす元凶となったエウレカが過去の自分と同じ能力を持つ少女と出会い、世界と彼女を守るために奮闘する姿が描かれます。
dTVにて鑑賞。
初めての鑑賞になります。
新年一発目の日本映画は『シン・ウルトラマン』・・・のつもりでしたが、同じAmazonプライムビデオで「仮面ライダーBLACK SUN」も鑑賞中で頭の中が西島秀俊さん祭りになりそうなので、今月で解約するdTVで今月から配信されている本作を先にと選びました。
このブログの映画レビュー、初のアニメーション映画です。
よろしくお願いいたします。
エウレカが作り上げた情報生命体・スカブコーラルの中の仮想世界が崩壊し、仮想世界の人々が地球上に姿を現してから10年。
仮想世界の人類は「グリーンアース」、旧来の地球人類は「ブルーアース」を名乗り、水面下で衝突を繰り返していた。
グリーンアース軍の高官デューイ・ノヴァクは、仲間と共に大規模なテロ計画に乗り出す。
一方、混乱の元凶として世界中から憎まれるエウレカは、国連の独立師団無任所部隊A.C.I.D.の上級戦闘員となっていた。
ある日エウレカは、スカブコーラルを操る能力を持つ新たな“EUREKA”の少女アイリスを保護するよう命じられる・・・。
2005年に放送開始されたテレビアニメ「交響詩篇エウレカセブン」。
私は放映では無く、DVD-BOXを購入して鑑賞いたしました。
感想は正直、「新世紀エヴァンゲリオン」以降、多数作られた模倣作品の1本のように思えました。
・・・ですが、メカ、と言いますかロボットの動きが軽快で、空飛ぶスケートボード(『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』みたいな)に乗ったロボットが空を舞うシーンは美しさを感じました。
基本的に「ガンダム」などと同じロボットを使った戦争を扱った作品ですが、そんな中、レントン・サーストンという、どちらかと言うと三枚目の男の子がエウレカという美少女と出会い恋に落ち、「彼女を守ろう」というボーイミーツガールの面白さがありました。
シリーズは全50話と少し長め。
多少中だるみはありましたが、とにかくレントンとエウレカの清く美しい愛が心に染みる作品でした。
この時点で『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』はまだ製作されていなかったので、「新世紀エヴァンゲリオン」と比べ、清々しい気持ちの残る作品だった印象を受けました。
作品は大ヒット、高評価を受けました。
それに調子に乗ってやらかしてしまったのが、テレビシリーズのパラレルワールド的なストーリーの2009年製作の劇場用アニメーション『交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい』。
テレビシリーズにあった温かみが消え去り、レントンが乗るロボット=ニルヴァーシュはカッコ悪くなるという有様。
作品もつまらなかった・・・。
2012年から放映されたテレビシリーズの続編「エウレカセブンAO」は酷評の嵐のうえ、まったく話題にならず。(私も未見)
そして2017年、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』にあやかってとしか思えませんでしたが、テレビシリーズを再構築して新たな3部作として『ハイエボリューション』の製作が決まりました。
『ポケ虹』、「AO」の二の舞はご免(「AO」は観ていないので偉そうなことは言えませんが)と期待しての第1作鑑賞。
・・・こ、これは酷い。
ほとんどテレビシリーズの映像の使い回し。(テレビシリーズがまだ4:3サイズだったので、映画館でこのサイズは辛い)
しかもエウレカとの絡みの話し一切無し。
ほかの方の感想なども拝読いたしましたが、ほとんどの方が大ブーイングでした。
しかも映画は興行的に大コケ。
後2作、作られるのか不安になりました。
2作目、アネモネというキャラクターをメインにした『ANEMONE/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』が2018年に公開。
しかし、1作目の酷さから映画館へ行くのためらい、結局Amazonプライムビデオにて鑑賞。
全編書き下ろしになっていたのは良かったですが、今度はレントンがまったく登場せず。(死んじゃったことになっていた)
そして最終章となる本作。
今度こそ、今度こそ私たちが観たかった『エウレカセブン』を観せてくれ・・・と願う気持ちで鑑賞。
冒頭の配給会社や協賛メーカーの中にパチンコメーカーの名前があり、少し不安感が・・・。
最初の方にニルヴァーシュが登場いたしましたが、『ポケ虹』や全2作よりは近いものにはなっておりましたが、「これじゃ無い」感いっぱい。
作中、やたら登場する協賛メーカーの広告。
そちらが気になってストーリーに溶け込めないシーンもありました。
新たなEUREKAになる少女を追うデューイ・ノヴァク。
彼がターミネーターそっくり過ぎて笑うしか無かった。
1作目では辻谷耕史さん、2作目では藤原啓治さんが演じておりましたが、お二方とも亡くなられてしまい、本作では山寺宏一さんが演じております。
山寺さんの演技には問題ありませんが、玄田哲章さんの方が似合っていたのでは?と思ってしまいました。
新キャラのアイリスはそれなりに可愛かったですが、テレビシリーズのエウレカには及ばなかった。
映像は良かったと思いました。
ですが、全体的に画面は暗め。
強靱エウレカの活躍は面白さがありましたが、やはりレントン不在はストーリー的に盛り上がりません。
終盤になると「どこかで観た気が」と思うシーンの連発。
恋人のお腹に子どもを残し、特攻して自爆するホランド。
公開が同じ年なのでパクリでは無いと思いますが、『シン・エヴァンゲリオン~』のミサトさんそっくり。
巨大宇宙船を地球へ落下させる。
それが通過した都市は消滅してしまう。
・・・これっ、どう観ても『逆襲のシャア』のアクシズ落としでしょ?
当然、それは阻止されるのですが、その後登場する○ートがまんまサイコフレーム。
サンライズが参加していたから問題無かったのかもしれませんが、ここまでパクられると富野監督、相当お怒りなのではないでしょうか?
「交響詩篇エウレカセブン」で描かれたレントンとエウレカの愛はそれこそちっぽけでポケットに収まるくらいなものでありながら、優しさと温もりが感じられ、本当に大切にしたいと思う、そんなものが描かれた作品だったと思います。
ロン毛の綾波レイの登場だけでファン感涙ものだった『シン・エヴァ~』のように再構築して「良かったな~」と思えるものがこの3部作通じて1つも無かったのが悔やまれます。
やはり「エウレカセブン」はレントンとエウレカの物語であってもらいたかったです。
ですが、名塚佳織さん、小清水亜美さんの名演はすばらしかったです。
そして、惜しまれつつ亡くなられた辻谷耕史さん、藤原啓治さんに哀悼の念を込め、心からのご冥福をお祈りして、この記事を終えたいと思います。
とんでもなく長い記事になってしまいました。