One today is worth two tomorrow.

当ブログへ起しいただき、心から感謝いたします。映画の感想やスポーツ観戦の記事、写真中心のブログです。

『ビバリウム』

ビバリウム

原題:Vivarium

 

2019年製作/ベルギー・デンマークアイルランド合作映画/上映時間:98分/R15+/2021年3月12日日本公開

 

監督:ロルカン・フィネガン

出演:イモージェン・プーツ

   ジェシー・アイゼンバーグ

   ジョナサン・アリス ほか

 

新居を探すカップルが、奇妙な住宅地から抜け出せなくなるスリラー映画です。

グリーンルーム』などのイモージェン・プーツ、『ソーシャル・ネットワーク』などのジェシー・アイゼンバーグカップルを演じております。

プーツは第52回シッチェス・カタロニア国際映画祭で最優秀女優賞を受賞。

 

あらすじ

 

トム(ジェシー・アイゼンバーグ)とジェマ(イモージェン・プーツ)は、不動産業者に寸分違わず同じ作りの家が並ぶ住宅地を案内される。彼らが家の中をひと通り見学して帰ろうとすると、ついさっきまで一緒にいた不動産業者の姿はなく、二人は奇妙に思いながらも車を走らせる。しかしどこまで行っても同じ風景が続くばかりだった。さらに赤ん坊がダンボールで送られてくる。

シネマトゥデイより)

 

不動産屋に紹介された住宅地から抜け出せなくなったカップルの姿を描いたサスペンス・スリラーです。

全く同じ家が並ぶ住宅地を紹介された男女がいつの間にかそこから出られなくなってしまいます。

 

dTVにて鑑賞。

初めての鑑賞になります。

 

予告編を観て興味を持っていて、15日に配信終了とのことで、今回は本作を選びました。

 

新居を探すトムとジェマのカップルは、ふと足を踏み入れた不動産屋で、全く同じ家が建ち並ぶ住宅地「Yonder」を紹介される。内見を終えて帰ろうとすると、すぐ近くにいたはずの不動産屋の姿が見当たらない。2人で帰路につこうと車を走らせるが、周囲の景色は一向に変わらない。

 

住宅地から抜け出せなくなり戸惑う彼らのもとに、段ボール箱が届く。中には誰の子かわからない赤ん坊が入っており、2人は訳も分からないまま世話をすることに。追い詰められた2人の精神は次第に崩壊していき・・・。

 

近年流行(?)の不条理スリラーです。

まだ未見(怖そうで、なかなか観る気になれない)A24の『ミッドサマー』も同じような感じかもしれません。

 

ただ新居を探し物件を見学に来たカップルが、逃れられない地獄を味わうことになります。

 

偶然なのですが、本作でもカッコーという言葉が登場いたします。

こちらはスラングの「頭のおかしい」みたいな意味では無く、実際のカッコーという鳥の生態系を映し出しております。

 

私は野鳥の会の人間ではありませんので、鳥のことは詳しくありませんでした。

 

カッコーという鳥はほかの種族の鳥の巣に卵を産み付け、生まれたヒナは本来、その巣を作った鳥の子どもであるヒナを殺し、自分たちがその子どものようにその親鳥に育ててもらう。

実際卵を産んだカッコーは何もすることなく、ヒナは順調に成長する・・・。

 

それが自然の摂理だそうですが、何か嫌だな~と思ってしまいました。

本作は、そのカッコーの”托卵”というものを人間に置き換えた、かなり不気味に扱った映画だと思いました。

 

作家のスティーヴン・キングが本作を気に入ったそうですが、なるほど、キングの映画のテイストが至るところで使われていたと思いました。

 

男女と子どもが密閉された空間に閉じ込められてしまう。=『シャイニング』。

ダンボールで送られてきた子どもをガールフレンドが「彼」と呼んだら、カレシは「彼じゃない、それ(ITと呼んでおりました)だ。人間じゃ無いんだから」と言う。

あまりに救いが無い。=『ミスト』。

 

穴を掘る。=『ショーシャンクの空に』・・・って、これだけは違う。

 

ちょっと怪しげな不動産業者の営業マンがキモ過ぎて逆に笑えます。

 

マジメな話し、不動産売買、ヘンな営業マンと出会ってしまうと、とんでもない大損こいてしまいます。

自分も今年、今住んでいるマンション売却しようかと思っておりますが、東京に住んでいた物件を売却するとき、酷い業者と営業マン(日本ではかなりの大手)と出会ってしまい、とんでもない経験したので、もう同じ失敗はしないと気をつけております。

皆さんも、もしそのような計画があるのでしたら、本当に慎重な営業マン選びを。

 

少しネタバレになってしまいますが、海外にも「墓穴を掘る」という諺は存在するのかな?と思ってしまいました。

 

カッコーの托卵のように、他者によって利用されるだけに人生を過ごすことになってしまうカップル。

何か「ウルトラQ」や「ウルトラセブン」のエピソードや「トワイライト・ゾーン」を思い出してしまうようなストーリー展開でしたが、そんな中、現代社会の独特な風刺

が込められていたところが面白いと感じました。

 

ヒロインのジェマは幼稚園(だと思う)の教師をやっております。

子どもたちに「風の動きをやってみて」と言うと、どの生徒もまったく同じ動きをする。

そして、案内される物件のある住宅地に並ぶ家はどれも同じ形で同じ色。

 

スマホなどで様々な情報を手に入れられる現代社会において、その得た情報から誰もが同じ行動をしてしまうロボット化してしまった人たちをある意味あざ笑うかのような筋書きはなかなか観る価値のあるもののように思いました。

 

送られた来た子どものヘアスタイルと服装で正体が分かるという意見がありましたが、それは観れば誰もが分かるものです。

自分も分かってはおりましたが、だからこそのあのエンディングの恐ろしさがあるような気がいたしました。

そんな得体の知れない子どもでも男性と女性では、やはり接し方が違うんだな~という見方もできます。

 

気分悪くなる映画なので、オススメは難しいです。

今回製作総指揮も兼任しているジェシー・アイゼンバーグ、彼の演技はいつ観てもいいですね。

相手役の女優さんも良かったです。