原題:Black Panther: Wakanda Forever
2022年製作/アメリカ映画/上映時間:161分/G/2022年11月11日日本公開
監督:ライアン・クーグラー
出演:レティーシャ・ライト
ダナイ・グリラ ほか
マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の一作として世界的大ヒットを記録し、コミックヒーロー映画として史上初めてアカデミー作品賞を含む7部門にノミネート、3部門で受賞を果たした『ブラックパンサー』の続編です。
国王であり、ヒーローでもあるティ・チャラを失ったワカンダに、新たな敵が迫ります。
本年度・第80回ゴールデングローブ賞において、アンジェラ・バセットが最優秀助演女優賞を受賞。
本年度・第95回アカデミー賞でも助演女優賞、視覚効果賞、衣装デザイン賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞、主題歌賞の5部門にノミネート。(発表は日本時間3月13日)
あらすじ
アフリカの秘境にあるワカンダ国には、平和な日々が訪れたかに思われた。だが、若き国王ティ・チャラを失ったワカンダである事件が起きる。遺(のこ)されたティ・チャラの妹シュリ(レティーシャ・ライト)、母親ラモンダ(アンジェラ・バセット)、国王親衛隊を率いる女性戦士オコエ(ダナイ・グリラ)らの前に、新たな脅威が現れる。
(シネマトゥデイより)
超文明国家ワカンダの国王とヒーローの二つの顔を持つティ・チャラが主人公の『ブラックパンサー』の続編です。
前作でも監督などを務めたライアン・クーグラーが今回もメガホンを取っております。
Disney+にて鑑賞。
初めての鑑賞になります。
特別『ブラックパンサー』の大ファンというワケではありませんが、やはりMCUの最新作となると期待度高くしての鑑賞でした。
国王ティ・チャラが病により命を落とし、悲しみに包まれるワカンダ。先代の王ティ・チャカの妻であり、ティ・チャラの母でもあるラモンダが玉座に着き、悲しみを乗り越えて新たな一歩を踏み出そうとしていた。そんな大きな岐路に立たされたワカンダに、新たな敵となる海の帝国タロカンの脅威が迫っていた・・・。
(写真は『ブラックパンサー』より)
主人公ティ・チャラ/ブラックパンサーを演じたチャドウィック・ボーズマン氏が2020年8月に亡くなられました。
43歳という若さでした。
主人公を演じる俳優不在の中での続編製作。
代役を立てずに撮影されることになりました。
冒頭のマーベル・スタジオのロゴで目がうるうるしてしまいました。
映画本編も国王ティ・チャラ/ブラックパンサーが病に倒れ、命を落とすという設定になっておりました。
映画の世界と現実が重なり、最初はかなり切ない気持ちになりながらの鑑賞でした。
ワカンダ国は鎖国のような制度を取っているからか、あのサノスとの死闘を共にしたアベンジャーズの仲間たちが誰ひとり国王の葬儀に参列しなかったのは少し寂しかったです。(別のシーンでも本作ではほかのマーベルヒーロー、誰ひとり登場いたしません)
・・・しかし、主人公のヒーロー無しで161分というMCU史上2番目の長さの上映時間、どうやって物語を作っていくのかという不安もありました。
そこで思い出されるのが私の世代では「仮面ライダー」第1作。
こちらも主人公のヒーローを演じる藤岡弘、さんが大ケガをされてしまい、主役不在で撮影が進み、限界を感じた製作陣は新たな主人公として”仮面ライダー2号”を誕生させることにいたしました。
はたして『ブラックパンサー』は・・・?
と、なると2代目ブラックパンサーはあの人しかいないと思いながら観ておりましたが、正確に言うとチャドウィック・ボーズマン氏演じたブラックパンサーは初代では無く、ワカンダ国の先人から受け継がれてブラックパンサーになったとのことで、新しいブラックパンサーは何代目になるのでしょうか?
女王を演じたアンジェラ・バセットは圧倒的存在感があり良かったですね。
ゴールデングローブ賞受賞は文句なし。
アカデミー賞も狙えるのではないでしょうか?
ただ、映画として観ると、ツッコミ入れたくなる描写や設定は多いです。
ワカンダ国はアメリカ、フランスと言った国が羨む超文明を持っていながら、なぜか住民は電気も通っていないような藁葺きの家に住んでいるんですよね。
そのことをウジウジ悔やむ妹のシュリの姿が1時間近く描かれ、ここは正直しんどかった。
この映画に登場するワカンダの女性戦士は、ほとんどの方がスキンヘッド。
こちらの方はオコエさんと言うのですが、記憶違いで無ければ『インフィニティ・ウォー』にも出演していたような気が。
劇中、「オコエ」、「オコエ」と何度も名前呼ばれるのですが、わたくし、違う”オコエさん”を思い出してしまい、「・・・」な気持ちになってしまいました。
これだけスキンヘッドの女性が大活躍すると、ウィル・スミスの奥様、アカデミー賞授賞式であのようにからかわれること無かったように思ってしまいます。
そんな悲しみに暮れるシュリに新たな問題が。
ワカンダが所持する特殊な金属ヴィブラニウムが狙われることに。
事件の真相を追って、オコエさんとアメリカ、ケンブリッジ大学へ・・・。
スキンヘッドでサングラス。
とても隠密行動には見えない。
事件の黒幕が海底に住むタロカン軍のネイモアだと知るシュリ。
一応、この人が本作のヴィランなのですが、何となく笑いを取っているとしか思えないような風貌はキャラクター本人は真剣なのですが、苦笑してしまいました。
彼らの海底基地に招待されるシュリ。
何か、どこかで観たような・・・と思ったら、「ウルトラセブン」の傑作エピソード「ノンマルトの使者」そっくり。
お互い理解することができたシュリとネイモア。
しかし、そこにいらぬ加勢でワカンダの女性兵士が攻めてきて、戦争に発展してしまいます。
逆襲に出るタロカン軍。
クジラに乗って(この辺りがイルカとの違いはありますが、「海のトリトン」そっくり)ワカンダ国へ乗り込み、女王を暗殺。
この勢いに乗って完全制圧できたものの、「一週間の猶予をやる」と言う何と心優しいネイモア。
そして、タロカン軍に対抗すべく(かなりの時間くれたので)新たなブラックパンサーが誕生します。
しかし、ここまでですでに上映時間2時間以上経過。
ち、ちょっと登場まで長すぎないか?
ワカンダ国とタカロン軍との死闘のゆくえはネタバレになるので書きませんが、この戦闘で登場するアイアンマンもどきのケンブリッジ大学の天才少女が装着するスーツのデザインの「・・・」に、国王だけでなく、トニーも泣いているよと思ってしまいました。
前作もそうでしたが、「黒人による黒人のための黒人ヒーローの映画」なので、白人の描き方のテキトーさが気になりました。
ワカンダ国と内通しているCIAの男性、私はミスター・ビーン?かと思っちゃいましたら、『ホビット』3部作で主演をしていた人でした。
監督の黒人だけをカッコよく見せたかったという気持ちは分かりますが、もう少しキャスティング、気を遣ってもらいたかったです。
タロカン軍の人たちはかかとのところにプロペラのような羽があり空を飛ぶことができます。
その姿が脚にタケコプター着けているように見えて仕方ありませんでした。(笑)
映画は全体的にチャドウィック・ボーズマン氏への追悼の気持ちが強すぎる出来で、その気持ちが無い人や彼が亡くなられたことを知らない子どもたちは置いてけぼりを喰らってしまうような映画だと感じました。
「ブラックパンサーは帰ってくる」とラストに出たので、またこのヒーローの活躍は観れると思いますが、単独作品ではこれがラストかな~?
エンドクレジット後に「続き」を感じされるようなMCU恒例の映像もありませんでした。
2時間40分はそれほど長く感じませんでした。
今さらですが、改めてチャドウィック・ボーズマン氏のご冥福をお祈りいたしまして、この記事を終えたいと思います。