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『クライ・マッチョ』

『クライ・マッチョ』

原題:Cry Macho

 

2021年製作/アメリカ映画/上映時間104分/2022年1月14日日本公開

 

監督:クリント・イーストウッド

出演:クリント・イーストウッド

   エドゥアルド・ミネット

   ナタリア・トラヴェン ほか

 

グラン・トリノ』などのクリント・イーストウッドが監督と主演などを務め、N・リチャード・ナッシュの小説を原作に描くヒューマンドラマです。

落ちぶれた元ロデオスターの男が、親の愛を知らない少年とともにメキシコを旅する中で「本当の強さ」の新たな価値観に目覚めていく姿が描かれます。

 

あらすじ

 

ロデオ界の元スターのマイク・ミロ(クリント・イーストウッド)は、落馬事故をきっかけに家族とも別れ、今は競走馬の種付けの仕事をしながら一人で暮らしている。ある日、彼は元雇用主にメキシコにいる息子のラフォ(エドゥアルド・ミネット)を誘拐するよう頼まれ、単身メキシコに向かう。マイクは少年ラフォと出会い、二人でテキサスを目指すが、その道のりは困難なものだった。

シネマトゥデイより)

 

許されざる者』、『アメリカン・スナイパー』など数々の名作を生み出してきたクリント・イーストウッドが監督・製作・主演を務めたヒューマンドラマです。

グラン・トリノ』などのニック・シェンクが脚本を担当し、『ミリオンダラー・ベイビー』などのアルバート・S・ラディらが製作を手掛け、共演にエドゥアルド・ミネットやナタリア・トラヴェンをはじめ、カントリー歌手としても活動するドワイト・ヨーカムら。

 

BDにて鑑賞。

初めての鑑賞になります。

 

映画界で一番尊敬する監督、クリント・イーストウッドの監督&主演作なのですが、あまり評価が芳しくなく少し鑑賞するのをためらっておりましたが、昨日発表された2022年・第96回キネマ旬報ベストテンで外国映画で4位にランクインしていたのを知り、ようやく重い腰が上がりました。

 

1980年代初旬、アメリカ、テキサス。ロデオ界のスターだったマイクは落馬事故以来、数々の試練を乗り越えながら、孤独な独り暮らしをおくっていた。そんなある日、元雇い主から、別れた妻に引き取られている十代の息子ラフォをメキシコから連れ戻すという依頼を受ける。

 

犯罪スレスレの誘拐の仕事。それでも、元雇い主に恩義があるマイクは引き受けた。男遊びに夢中な母に愛想をつかし、闘鶏用のニワトリとともにストリートで生きていたラフォはマイクとともに米国境への旅を始める。

 

そんな彼らに迫るメキシコ警察や、ラフォの母が放った追手。先に進むべきか、留まるべきか?少年とともに、今マイクは人生の岐路に立たされる・・・。

 

クリント・イーストウッドという人はいろんな意味でクソ野郎です。

若い頃から女性にモテモテを鼻にかけ、人種差別主義者でもあります。

そんなイーストウッドが91歳になっても己の信念(?)を曲げず作り上げたのが監督40作目という節目の本作です。

 

原作は知りませんが、おそらくイーストウッド向けにかなり脚色されたシナリオになっていたのではと思いました。

91歳にして女性とのロマンスのシーンは「オレの下半身の44マグナムは今も健在だぜ」(女性の皆さん申し訳ありません)と言いたげに思ってしまいました。

本当にどうしようもないスケベジジイ・・・。

 

本作への低評価の理由のほとんどは、91歳という高齢のイーストウッドが主演のところだと思います。

声はかすれてしまっております。

年齢的に当たり前ですがヨボヨボ。

腰の引けたパンチで相手を倒すところには少しムリを感じてしまいます。

 

ハリウッド映画お得意のロードムービーの面白さも少し欠ける気がいたしました。

盛り上がるような展開にもなりません。

 

監督作としては、2012年の『J・エドガー』から前作、2020年の『リチャード・ジュエル』までの7作品、実話、または実在の人物を描いたイーストウッドがなぜ、この原作を自身主演で映画化しようとしたのか?

そこが、興味深くもあり、観終わったとき、その答えのようなものが、うっすらではありますが、感じとることができた気がしました。

 

”マッチョ”と聞くと、筋肉ムキムキみたいなイメージがありますが、本来の意味は「強さ」や「強靱さ」と言うような意味があるそうです。

 

知り合いの父親の頼みから、メキシコに住んでいる少年をアメリカへ連れ帰る。

道中、その少年の自分の若かりし頃の話しをして、”マッチョ”とはということを教えこむ・・・みたいな典型的な物語では無く、本当の”マッチョ”の意味を少年と同じようにイーストウッド演じる主人公は知っていくことになります。

 

許されざる者』でオスカー受賞後、「西部劇はこれが最後。おそらく監督と出演の兼任も最後になるだろう」と言っておきながら、次回作で、主演はケヴィン・コスナーでしたが、しっかり出演もして、さらに、その次の作品『マディソン郡の橋』で監督&主演しちゃっているイーストウッド

本作は西部劇ではありませんが、カウボーイハットを被り乗馬するイーストウッドの姿が本当に似合っていてカッコ良すぎです。

 

70歳過ぎて、ステロイド使い筋肉ムキムキな活躍を披露したスタローンと真逆を行く、本当の”マッチョ”を描いたイーストウッド

(スタローンはスタローンなりのポリシーがあるので悪くはありません)

ド派手なアクションシーンもありません。

物語は淡々としております。

でも、その中にイーストウッドにしかできない味つけがされており、それが絶妙なものを醸し出しているように思います。

 

本当の”マッチョ”は肉体では無く、精神の強さと言いたげに思う、イーストウッド節の効いた1作でした。

91歳でラブシーンやりたがっちゃうイーストウッド、やはり憎めません。

近年の作品で家族を描いたものが多い理由は若い頃、ないがしろにしてしまった子どもたちへの贖罪の意味も込められているのかもしれません。

 

まだまだ引退しないでもらいたい。

次回作も観たい。

そう思わせてくれました。

ありがとう、イーストウッド