『プロミシング・ヤング・ウーマン』
原題:Promising Young Woman
2020年製作/アメリカ映画/上映時間:113分/PG12/2021年7月16日日本公開
監督:エメラルド・フェネル
出演:キャリー・マリガン
ボー・バーナム
アリソン・ブリー ほか
ドラマシリーズ「ザ・クラウン」などで知られる女優、エメラルド・フェネルが監督と脚本を務めたサスペンスドラマです。
明るい未来を約束された若い女性(=プロミシング・ヤング・ウーマン)を歩もうとしていた女性が、ある出来事を契機に思わぬ事態に直面する姿が映し出されます。
2021年・第93回アカデミー賞において、作品賞、監督賞、主演女優賞など全5部門にノミネートされ、最優秀脚本賞を受賞。
あらすじ
明るい未来が約束されていると思われていたものの、理解しがたい事件によってその道を絶たれてしまったキャシー(キャリー・マリガン)。以来、平凡な生活を送っているように思えた彼女だったが、夜になるといつもどこかへと出かけていた。彼女の謎めいた行動の裏側には、外見からは想像のできない別の顔が見え隠れしていた。
(シネマトゥデイより)
ある不可解な事件によって約束された未来をふいに奪われたことから、復讐を企てる姿を描くサスペンスです。
『わたしを離さないで』のキャリー・マリガンが主演と製作総指揮を担当。
『アムステルダム』などのマーゴット・ロビーが製作を担当しております。
Amazonプライムビデオにて鑑賞。
初めての鑑賞になります。
大好きな女優のキャリー・マリガン主演、2021年・第95回キネマ旬報外国映画ベストテンでも3位にランクインされており、かなり期待値あげて鑑賞いたしました。
アカデミー賞作品賞ノミネートは鑑賞後知りました。
キャシーは明るい未来が約束された若い女性(プロミシング・ヤング・ウーマン)だと誰もが信じて疑わなかった。ある不可解な事件によって不意にその有望な前途を奪われるまでは。
平凡な生活を送っているかに見えるキャシーだったが、実はとてつもなく頭がキレて、クレバーで、皆の知らない“もうひとつの顔”を持っていた。夜ごと出掛ける彼女の謎の行動の、その裏には果たして一体何が・・・。
まず、本作とはまったく関係ないネタから・・・。
イオンシネマ岡崎の公式Twitterで2月17日、上記のようなものが。
・・・”炊いた肉”とは、はたして何なのであろうか?
実は『タイタニック:ジェームズ・キャメロン25周年3Dリマスター』の誤変換で、ツイートの8時間後、「映画『タイタニック』を「炊いた肉」と誤変換してしまいました。お詫びして訂正いたします。当館では炊いたお肉はご用意しておりません。『タイタニック』を上映しております」とお詫びのツイート。
わたくしもこの映画が大好きで、映画館、DVD、BDと10回以上観ておりますが、たしかに炊いた肉は登場しなかった気が・・・。
でも、レオ様とケイト・ウィンスレットのステキなロマンスも魅力的ですが、”炊いた肉”も美味しそうですね。
粋なダジャレに「いいね」がかなりの数ついたイオンシネマ岡崎の公式Twitterでした。
これは期待値あげて鑑賞でしたが、それをも上回る快心の出来だったと思います。
#MeTooが叫ばれている時代であっても、やはり、まだ女性は低い位置で見られている。
その怒りの見事描いた作品でした。
本作の日本公開が元東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長のおバカ議員のハラスメント発言で揺れていた時期でもあり、男性の女性への差別的意識に対し「立ち上がれ、女性たち!」のようなメッセージが伝わってきて、男性の自分も面白いと感じました。
某橋田ドラマのように、本作に登場する男性はまるで下半身だけで生きているかのようなバカしか登場いたしません。
ただ、ミヤギ師範の言うように「やるならやる、やらないならやらない。中途半端が一番ダメ」という言葉が当てはまるようにあのドラマはダメ男を描いて何がやりたいのか分からないところがよろしく無いところでした。
前途有望の若者の将来のため、踏みにじられてしまった女性の人生。
それに対する怒りと復讐のドラマと言えます。
やるならとことん。
相手のすべてを奪うまで・・・。
それが描けているから、とてもリアリティを感じる出来になっております。
キャリー・マリガンが最高の演技を披露しております。
『未来を花束にして』、『ワイルドライフ』と優等生的なキャラが続いておりましたが、本作は猛毒をもったキャラクターを実に見事に演じております。
受賞がすべてではありませんが、フランシス・マクドーマンド、3回目なので、今回は彼女にオスカーを取ってもらいたかったと思ってしまいました。
キャシーは愛する友人のニーナが男性たちの理不尽な行動によって命を奪われた復讐の鬼と化します。
しかし、ニーナとはどのような人物なのか?
映像は一切登場せず、何が行われたのかも映し出されません。
観客に想像させるという手法ですが、ハッキリと映すより面白味のある作りだったように思いました。
若者、誰もが希望や夢を持って生きております。
それを奪われた怒りと憎しみ。
本作は女性版『ジョーカー』とも言えるかのような映画になっていたように思いました。
某読売の遊撃手にも観てもらいたい、女性を性の道具としか見ていない男性への痛快な復讐ドラマです。
男性俳優がいい人そうな顔をしている方を集めているのも面白かったです。
どんな悪事も許されるものではありません。
それに対し、何もしない傍観者であることも悪しきことであるというテーマもしっかりと描かれております。
「世の男性すべてが悪」という橋田ドラマのような描き方をしていないところも良かったです。(それをやったら、逆にそちらも性差別になりますので)
とにもかくにもキャリー・マリガン。
傑作が多い彼女の出演作にまた1本代表作が加えられたと思います。
必見の作品です!