『クルエラ』
原題:Cruella
2021年製作/アメリカ映画/上映時間:134分/G/2021年5月27日日本公開
監督:クレイグ・ギレスピー
出演:エマ・ストーン
マーク・ストロング ほか
ディズニーアニメ『101匹わんちゃん』に登場する悪役クルエラの誕生秘話を『ラ・ラ・ランド』などのエマ・ストーンを主演に映画化した作品です。
1970年代のロンドンを舞台に、ディズニー史上最もファッショナブルで、最も悪名高きヴィラン“クルエラ”の誕生秘話が描かれます。
2022年・第94回アカデミー賞において、最優秀衣装デザイン賞を受賞。
あらすじ
1970年代、パンクムーブメント真っただ中のロンドン。デザイナー志望のエステラ(エマ・ストーン)は、夢と希望を胸にデザイン画の制作や裁縫に全力で取り組み始める。しかし、カリスマ的なファッションデザイナー、バロネス(エマ・トンプソン)との出会いをきっかけに、エステラは狂気に取りつかれた“クルエラ”へと変貌していく。
(シネマトゥデイより)
ディズニーアニメ『101匹わんちゃん』に登場した悪役クルエラの誕生秘話を、『ラ・ラ・ランド』のエマ・ストーン主演で実写映画化した作品です。
共演に『いつか晴れた日に』などのエマ・トンプソンや『キングスマン』シリーズなどのマーク・ストロングら。
監督は『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』などのクレイグ・ギレスピー。
Disney+にて鑑賞。
初めての鑑賞になります。
大好きな女優、エマ・ストーン主演ということで、今回は本作を選びました。
『101匹わんちゃん』は子どもの頃、観たような記憶があるのですが、まったく覚えておりません。(汗)
これから少し、洋画はDisney+で鑑賞する作品が多くなると思います。
理由ですが、3月いっぱいでDisney+を解約することを決めたからです。
パンクムーブメント吹き荒れる70年代のロンドンに、デザイナーを志す少女エステラがやってくる。情熱と野心に燃える彼女は、裁縫やデザイン画の制作に打ち込み、デザイナーへの道を駆けあがるため切磋琢磨する。
そのままデザイナーへの道を進んでいくと思われたエステラだったが、カリスマ的ファッションデザイナーのバロネスとの出会いが、エステラの運命を大きく変えることとなる。夢と希望にあふれた若きエステラが、なぜ狂気に満ちたクルエラとなったのか。その秘密が明らかにされる・・・。
※かなり愚痴が入ります。※
自分がDisney+に加入した理由ですが、本作や『ブラック・ウィドウ』など、コロナ禍で劇場へ観に行けなかった作品が観れるという理由が一番ですが、Disney傘下になった名作映画の宝庫、20世紀フォックス製作の映画が見放題(・・・だと思っていた)という理由も大きかったです。
・・・ですが、蓋を開けてみてビックリ。
近年の作品は数多く配信しておりますが、古い(’40~’80年代)の名作映画はほとんどありませんでした。
自分の20世紀フォックス製作の映画でベストフィルムの西部劇『明日に向かって撃て!』(写真)はおろか、アカデミー賞作品賞受賞の『イブの総て』、『紳士協定』、『フレンチ・コネクション』(『2』はなぜか配信中)、パニック映画の金字塔『ポセイドン・アドベンチャー』、老人とネコちゃんのロードムービーの傑作『ハリーとトント』などが加入して1年以上経ちますが、まったく配信されておりません。(終了したのだと思います)
フレッド・ジンネマン監督の傑作『ジュリア』(1977)は昨年11月から配信と知り、「観よう」と思っていたら、12月には配信終了しておりました。(涙)
メリル・ストリープのデビュー作なのですが・・・。
では、近年の作品は問題無く配信しているかと言えば、私の2010年代ベストワン映画のアカデミー賞受賞作『スリー・ビルボード』(加入したときは配信していたのですが)も知らぬ間に配信終了しておりました。
ほかにも、今回紹介する『クルエラ』の主演女優、エマ・ストーン主演の『バトル・オブ・セクシーズ』(2018)も知らぬ間に配信終了。
1982年のアカデミー賞作品賞受賞のスポーツ映画の名作『炎のランナー』も知らぬ間に配信終了しておりました。
ロバート・レッドフォード主演の刑務所を描いた『ブルベイカー』、ポール・ニューマン主演の法廷ドラマ『評決』と言った’80年代の傑作も配信終了されてしまいました。
Disney+に加入する人の多くは『スター・ウォーズ』、MCU、ピクサーなどがお目当てだと思います。
特に最近、リーアム・ニーソンにクレームつけられている『スター・ウォーズ』のスピンオフ作品の「マンダロリアン」はファンから傑作の呼び声が高いです。
これらのDisney+でしか観れないものは人気が高いと思います。
ほとんどが自社製品なので契約の問題は無いと思う(実際1月のケヴィン・コスナー誕生日に鑑賞しようと思っていた映画はDisney製作)ので、不人気=打ち切りだと思います。
それは仕方ないことですが、せめてAmazonプライムビデオのように○月○日で終了と知らせてもらいたいです。
観たい映画が少なくなっちゃったのが解約の理由ですが、これは自分の勝手な言い分ですが、MCUやピクサーお目当ての方にこそ、『明日に向かって撃て!』のような男の美学、カッコよさを観てもらいたいな~と思っております。
~1969年の20世紀フォックス製作の映画で2023年2月28日現在、配信されている映画は『クレオパトラ』と『サウンド・オブ・ミュージック』の2本だけです。(寂しい)
ただ、解約を決めたからには、あと1ヶ月でできるだけ観たい映画を観ておきたいと思っております。
映画の感想へ戻ります。
もはや原型をとどめていないと言って過言では無い『101匹わんちゃん』の再実写映画化です。
最初の実写映画化は1996年の『101』でクルエラ役はグレン・クローズが演じておりました。(こちらは未見)
ちなみに吹き替えの話しですが、今回、エマ・ストーンの声は柴咲コウさん。
日本版のエンディングテーマも担当しております。
今回は字幕版で鑑賞して本当に良かったと痛感しております。
『101』のクルエラ役の山田邦子起用のひんしゅくの経験を活かせていないDisneyに頭が痛い・・・。
ですが、本作は正直お子さま向け映画では無く、かなりダーク、そしてブラックなテイストの映画だと思いました。
鑑賞後、『アイ、トーニャ~』の監督と知り納得。
悪役(=ヴィラン)誕生の秘話。
底辺に住む人の上流社会の人間への反逆など、『ジョーカー』と共通するところが多い作品です。
『プラダを着た悪魔』的な要素もあります。
『プラダ~』のシナリオを担当した人が本作の原案に参加しております。
ただ、R15+指定の『ジョーカー』のような猛毒を入れられないところがG指定のDisney映画のある意味辛いところ。
ヴィランであるはずのクルエラが憎み復讐しようとする人物は彼女の母親を殺した人物です。
つまり彼女の憎むべき相手こそが本当の悪ということになります。
クルエラももちろん善とは言えない。
つまり、”悪VS悪”の対決的な展開に発展していきます。
ここでクルエラにどこまで感情移入できるかで映画の評価が分れるような気がいたします。
「またかよ」ですが、Disneyお得意のポリコレ満載の映画でした。
トランジェンダーの登場や、’70年代ロンドンとは思えないほど上流階級にいる黒人。
もうDisneyはポリコレ描かないと気が済まないのは分かりますが、映画として観るとリアリティに欠けるような気がいたします。
・・・しかし、Disneyのポリコレは日本人だけは例外で「凄い小さなテレビがあった。日本人が入っていたぞ」なる侮辱的なセリフが。
2人のエマが本当にすばらしい演技を披露しております。
エマ・ストーンは製作総指揮も兼任(ちなみに『101』のグレン・クローズも)しております。
それだけこの役に打ち込む姿勢が伺え、『ラ・ラ・ランド』に負けない名演だったと思います。
エマ・トンプソンもイヤミな女性を怪演。
オスカー受賞の衣装デザインもすばらしかったです。
アニメーション映画ではダルメシアンの皮を剥いで服を作る役だったように記憶しておりますが、もちろん本作のクルエラはそのようなことはいたしません。
テンポ良く物語は進んでいきます。
が、後半、いかにもなマーク・ストロングがいかにもで、予想どおりの役柄。
そして、アッと驚かないダース・ベイダー的告白。
この辺りから少し物語はトーンダウンしてしまったのがもったいない気がいたしました。
『ムーンライト』のニコラス・ブリテルの音楽はノリノリで良かったです。♪~
劇中7匹しか登場しないワンちゃん。(ダルメシアンは5匹)
『101匹わんちゃん』への思い入れが強い人には物足りないかもしれません。
誰ひとりワンちゃん殺さない映画ですが、ネズミ駆除のシーンがあります。
「えっ、Disney映画でネズミ駆除」と思われたかもしれませんが、こちらは”マウス”では無く”ラッツ”の方でした。
オリジナルとは別ものの、とにもかくにもエマ・ストーンを楽しむ映画として観ましょう。
『バットマン リターンズ』のミシェル・ファイファー以来のうっとりする悪女でした。