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『メタモルフォーゼの縁側』

『メタモルフォーゼの縁側』

 

2022年製作/アメリカ映画/上映時間:118分/G/2022年6月17日日本公開

 

監督:狩山俊輔

出演:芦田愛菜

   宮本信子

   高橋恭平 ほか

 

このマンガがすごい!2019」オンナ編第1位を受賞するなど数々の漫画賞に輝いた鶴谷香央理のコミックを実写映画化した作品です。

7歳の女子高生と夫に先立たれた75歳の女性が、ボーイズラブ漫画を通じて交流を深めていく姿が描かれます。

 

あらすじ

 

人付き合いが苦手な17歳の女子高生・佐山うらら(芦田愛菜)は、ボーイズラブ(BL)漫画を読むのが何よりの楽しみだった。一方、夫を亡くし一人で暮らす75歳の女性・市野井雪(宮本信子)は、うららがアルバイトする書店でBL漫画を手に取り、未知の世界に驚きつつも男子たちの恋物語に魅了される。あるときBLコーナーで出会った二人は、BLの話題で意気投合する。それ以降、二人は雪の家の縁側で一緒に漫画を読んでは意見を交わすようになり、年齢や立場を超えた友情を育んでいく。

シネマトゥデイより)

 

鶴谷香央理の漫画「メタモルフォーゼの縁側」を芦田愛菜宮本信子の共演で実写映画化し、ボーイズラブ漫画を通してつながる女子高生と老婦人の交流を描いた人間ドラマです。

脚本を『阪急電車 片道15分の奇跡』などの岡田惠和が担当し、監督は『青くて痛くて脆い』などの狩山俊輔。

 

早いもので、もう3月ですね。

今月もよろしくお願いいたします。

 

BDにて鑑賞。

初めての鑑賞になります。

 

観たい日本映画が2時間超えが多く、夜遅かったので2時間以内の作品を・・・と思い、見つかったのが本作。

宮本信子さんが出演している・・・くらいの知識しか無いまっさらな状態での鑑賞でした。

 

毎晩こっそりBL漫画を楽しんでいる17歳の女子高生・うららと、夫に先立たれ孤独に暮らす75歳の老婦人・雪。ある日、うららがアルバイトする本屋に雪がやって来る。

 

美しい表紙にひかれてBL漫画を手に取った雪は、初めてのぞく世界に驚きつつも、男の子たちが繰り広げる恋物語に魅了される。BL漫画の話題で意気投合したうららと雪は、雪の家の縁側で一緒に漫画を読んでは語り合うようになり、立場も年齢も超えて友情を育んでいく・・・。

 

鑑賞後知りましたが、のんさんも大好きらしい、鶴谷香央理の同名コミックの映画化です。

ちなみにメタモルフォーゼとは”変身”という意味らしいのですが・・・

こちらの方たち全般のかけ声を英語で翻訳すると「メタモルフォーゼ」より「トランスフォーム」の方が多いです。

「メタモルフォーゼ」は全体的に変形させることを指すのに対し、「トランスフォーム」は外見だけ変形する違いです。

「Yes!プリキュア5」の変身のかけ声が「プリキュアメタモルフォーゼ!」と言うことが(一部のファンに)有名です。

 

日テレ製作、コミックス原作の実写映画化、期待値ゼロと『ちはやふる 上の句』と同じ状態での鑑賞でしたが、本作も見事やられちゃいましたね~。

まさか、ここまで感動し、涙がこぼれてしまうとは思いませんでした。

 

夫に先立たれた老婦人・雪がふと書店で見かけたコミック。

その内容はBL(ボーイズ・ラブ)。

同じ趣味を持つ書店でバイトをしている女子高生・うららは引くこと無く、同じBL愛を語り合います。

この姿がとても自然でいいです。

そうです、ヲタク文化に年齢も国境もありません。

 

あのデル・トロの作品出演経験もある芦田愛菜ちゃんですが、意外なことに宮本信子さんとは初共演ではありません。

本作の脚本の岡田惠和氏の『阪急電車 片道30分の奇跡』ですでに共演されております。

2011年の作品なので、愛菜ちゃんは7歳でした。

 

登場人物が全員リアルに描かれていたと思いました。

誰もが一歩を踏み出す勇気を持てずにいる。

そのような弱さは誰しもが持ち合わせているものなので、共感できる部分が多く感じました。

 

うららの幼なじみを演じた人がなにわ男子の方とエンドクレジットで知りました。

ひじょ~に申し訳ない言い方になりますが、ご不幸があったことが映画には幸いし、本作にメ○ーさん(の羊ではありません)一切関わっていないので、でしゃばることも無く、エンディングテーマも担当することも無く、良かったです。

 

それだけ雪とうららの友情物語が美しく、観ていて心地良さがあるんですよね。

少し生き甲斐を失いかけていた雪の前に現れたBLコミック。

人は本当に年齢関係なく、何かに熱中することが生きる活力になると教えられます。

 

光石研さんが出ていない日本映画を探す方が難しいほど、多くの作品に出演しております。

そして、どの映画でも味のある演技を披露しております。

日本映画界に欠かせない脇役俳優さんですね。

 

・・・ただ、後半のストーリー展開には少し不満も。

自分もマンガを書きたいと思っていたうららが、いよいよ同人誌販売会に。

当然、雪も同行するはずでしたが、腰痛が酷くなり行けなくなります。

一人では何もできずにいるうらら。

何とか彼女の元へと光石研さん演じる印刷会社の自動車で急げ!東京ビッグサイトへ・・・。

と、思ったら、昔のホラー映画を観ているかのようにお約束のエンジン故障。

 

終盤のメインイベント。

2人を結びつけたBLコミックの原作者のサイン会のシーンなのですが、本来ならもの凄く感動的なシーンになるはずなのですが、演出がこのシーンがしょぼく、まったく盛り上がらないものになってしまったのが、とても残念でした。

ここだけ、本当にもったいなかった。

 

本作を観て、”縁側”って、とてもステキな場所だな~と思いました。

温かい陽の光に照らされて、人と人を結びつける、まさに”縁”を生み出す場所。

 

17歳と75歳の優しさに包まれた友情物語。

宮本信子さんの活き活きとした演技は、こちらも年齢は関係ないものなのだと感じさせてくれました。

 

派手さはありませんが、ほんわかした気持ちにさせてくれる、ステキな日本映画に出会えて良かったと思っております。