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『任侠学園』

『任侠学園』

 

2019年製作/日本映画/上映時間:119分/G/2019年9月27日日本公開

 

監督:木村ひさし

出演:西島秀俊

   西田敏行

   葵わかな ほか

 

社会奉仕がモットーの地元密着型ヤクザたちの奮闘を描いた今野敏の人気小説「任侠」シリーズを映画化したコメディです。

西島秀俊西田敏行がダブル主演を務め、共演に伊藤淳史葵わかな葉山奨之など。

 

あらすじ

 

経営難の仁徳京和学園高校に、昔気質のヤクザ一家・阿岐本組の阿岐本組長(西田敏行)やナンバー2の日村(西島秀俊)らが新しい理事としてやってくる。見た目が怖く荒っぽいが、義理人情を重んじる彼らの言動に、少しずつ周囲の空気が変わっていく。あるとき、学校の乗っ取りをもくろむ欲深い連中が策略を仕掛けてくる。

シネマトゥデイより)

 

今野敏の小説「任侠」シリーズの一作「任侠学園」を原作にしたコメディです。

ヤクザ一家が経営難に陥った高校の再建に挑む姿が描かれます。

監督は『屍人荘の殺人』などの木村ひさし。

 

Netflixにて鑑賞。

初めての鑑賞になります。

 

間もなく配信終了とのことと、少し映像を観て(予告編ほどの長さはありません)、なかなか面白そうと思い、今回は本作を選びました。

 

困っている人は見過ごせない、義理と人情に厚すぎるヤクザ”阿岐本組”。組長は社会貢献に目がなく、次から次へと厄介な案件を引き受けてしまう。

 

今度はなんと、経営不振の高校の建て直し。いつも親分に振り回されてばかりの阿岐本組NO.2の日村は、学校には嫌な思い出しかなく気が進まなかったが、“親分の言うことは絶対”!

 

子分たちを連れて、仕方なく学園へ。待ち受けていたのは、無気力・無関心のイマドキ高校生と、事なかれ主義の先生たちだった・・・。

 

絶賛するほどの映画ではありませんが、シンプルに面白く、最後まで楽しめる映画でした。

自分は正直、あまり任侠もの、任侠映画は好きでは無く、これまで敬遠していたところもありました。

北野武監督の『アウトレンジ』も観たことがありません。

 

何やら無数(?)に小ネタが散りばめられている映画で、鑑賞後、映画サイトで教えてもらったのですが、劇中やたらと目立ったブタの頭の丸焼き。

これには意味があり、本作の出演者、高木ブーさん、西田敏行さん、伊藤淳史さんと3人とも”猪八戒”を演じているからとのこと。

 

経営不振の私立高校を再建しようと、「スクールアイドル」を生み出す・・・ワケでは無く、「戦車道で優勝」・・・するワケでも無く、義理人情に厚すぎるヤクザの組長が立ち上がるというストーリーは多少ムリはあるものの、結構面白く感じました。

 

その組長に振る舞わされ続ける、ナンバー2の日村の苦悩が笑えます。

彼自身も少年時代にいい思い出が無く、高校の理事なる仕事に抵抗を感じております。

 

その高校は可もなく不可もなしと言った、飛び抜けたものも無い代わりに底辺を彷徨っているというワケでも無い、至って普通の学園。

そこで、唯一問題点な行動を起こす女子高生と出会い、自分の苦かった高校時代を思い出す日村。

 

”まさかり投法”、”幸田シャーミン”などなどの昭和ネタ満載の少し古臭さも感じる義理と人情の任侠映画なのですが、そのスタイルが死んだ目をしていたこの学園の生徒を生き返らせるという筋書きはありきたりではあるのですが、観ていて気持ち良かったです。

 

日村の舎弟の二宮を演じる伊藤淳史さん。

猪八戒以外で、知る人ぞ知る、フジテレビ系「とんねるずのみなさんのおかげです」のコーナーで放映された「仮面ライダー」のパロディ「仮面ノリダー」のチビノリダー(当時4~5歳)を演じておりました。

このコーナーはパロディと侮れない、かなり本格的なもので、ナレーションに昭和ライダーのナレーターを務めた故・中江真司氏、立花藤兵衛役をオリジナルの故・小林昭二氏が演じるております。(小林氏は第2期のオファーで「もう、卒業したのやらない」と言っていたのですが・・・)

・・・ですが、今では考えられないことなのですが、このコーナー、石森プロや東映に無許可で製作&OA。

当然、当時の東映の「仮面ライダー」プロデューサーは大激怒。

しかし、このコーナーを観た石ノ森章太郎先生は爆笑していたという先生の心の広さを感じます。

 

お世辞にも演技が上手とは言えませんでしたが、熱っ苦しいヤクザばかりの中で清涼剤的キャラクターを演じられた葵わかなさん。

『サバイバルファミリー』に出演してそうですが、まったく覚えておりません。(汗)

映画出演はこの作品が今現在最後になっていたので、もしかして引退されてしまったのかと思いましたが、テレビドラマには出演されているみたいで、良かったです。

 

反社会勢力を美化するのはいかがなものかという評論家の意見もありましたが、物事にきっちり筋を通す姿勢で、人を騙したりはしない日村たちの姿と、一見真面目そうに思えて裏でとんでもない企みをしている人物・・・というあらすじも、本当にありきたりではあるのですが、悪く感じられないものがありました。

 

それは西島秀俊さんのすばらしい演技力が説得力を持たせているからだと思います。

本当にどんな役柄もこなせる俳優さんですね。

 

校長先生が「私は教師として最低限の仕事はしております」という発言に、「最低限?最高の仕事をしてください」と言うセリフはとても良かったです。

 

西田敏行さんの演技は「・・・」なところもありますが、西島秀俊さんがインタビューで語られておりましたが、たしかにアドリブが本当にすばらしい。

なので、この人から最大の長所のアドリブを奪った『大怪獣のあとしまつ』の監督がいかに無能だったのか、改めて良く分かりました。

 

夢も希望も無かった学園に生きる喜びを置いていって去って行く阿岐本組の皆さん。

とても胸アツな物語ですが、似たタイプですと、やはり『いまを生きる』には遠く及びません。

 

ですが、木村ひさし監督ということを考えると、かなりいい拾いものだったと思いました。

脚本が第96回(2022年)キネマ旬報・日本映画ベストテンで1位になった『ケイコ 目を澄ませて』の酒井雅秋氏。

シナリオの出来の良さは『アントマン&ワスプ:クアントマニア』の倍以上だったように思いました。

本当に大丈夫か、Disney?