『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』
原題:Zack Snyder's Justice League
2021年製作/アメリカ映画/上映時間:241分/日本劇場未公開作品
監督:ザック・スナイダー
出演:ベン・アフレック
エイミー・アダムス ほか
2017年に公開された『ジャスティス・リーグ』を制作中に降板したザック・スナイダー監督が抱いていた構想に基づき、追加撮影や再編集を施したディレクターズカット版です。
バットマンやワンダーウーマンたちがチームを結成し、世界の存亡を懸けた戦いに挑みます。
あらすじ
世界を破滅させる陰謀が動き出しているのを知ったバットマンことブルース・ウェイン(ベン・アフレック)は、ワンダーウーマン(ガル・ガドット)と共に超人たちのチームの編成に取り掛かり、アクアマン(ジェイソン・モモア)、サイボーグ(レイ・フィッシャー)、フラッシュ(エズラ・ミラー)を仲間に引き入れようとする。しかし、それぞれがつらい過去と苦悩を抱えていたことから動き出せずにいた。紆余(うよ)曲折を経て結成されたチームは、陰謀の裏に潜むステッペンウルフたちに立ち向かう。
(シネマトゥデイより)
バットマン、スーパーマン、ワンダーウーマンなど、DCコミックのスーパーヒーローが集結したアクション大作『ジャスティス・リーグ』の新バージョンです。
バットマン役のベン・アフレック、スーパーマン役のヘンリー・カヴィル、ワンダーウーマン役のガル・ガドットらが出演。
4K Ultra HD BDにて鑑賞。
初めての鑑賞になります。
少し時間があったことと、『ザ・フラッシュ』公開前に観ておこうと思い(『ザ・フラッシュ』を映画館で鑑賞するかは微妙ですが)、今回は上映時間4時間超えの本作を選びました。
究極の犠牲を払ったスーパーマンの遺志を継ごうとブルース・ウェインが、ダイアナ・プリンスと協力し、ある計画に着手する。迫り来る破滅的な脅威から世界を守るため、メタヒューマンによるチームを組織しようとしていた。
ところが、チームの結成はブルースの想像以上に難航する。前代未聞のヒーロー連合を組むためには、各々が自分自身の過去と向き合い、迷いを断ち切る必要があったからだ。
ようやく、バットマン、ワンダーウーマン、アクアマン、サイボーグ、フラッシュが一堂に集結するが、ステッペンウルフやデサード、ダークサイドの恐るべき野望が、もう目前に迫っていた・・・。
2017年に公開された『ジャスティス・リーグ』の製作を途中で降板したザック・スナイダー監督が、当初思い描いていた構想を実現させるため、追加撮影も行って完成させた新バージョンです。
劇場公開版には使われなかった大量の蔵出し映像や新規撮影の映像も加え、再編集などを施し、約4時間にわたる大ボリュームになっております。
自分も劇場版は一度しか観ていないので、変わった箇所すべては分かりませんが、明らかに違うと感じたのが、この『ジャスティス・リーグ』から登場するキャラクター、アクアマン、フラッシュ、サイボーグが深掘りして描かれていたところです。
特に劇場版ではあまりパッとしなかったキャラクターだったサイボーグ。
彼の存在価値がグッと上がった感がありました。
彼を殺さないようサイボーグ化した父親との葛藤や、サイボーグとなってしまった体に悩み、苦しむビクター=サイボーグの姿は石ノ森章太郎先生の作品のようなテイストを感じました。
バリー=フラッシュと服役中の父親との交流のシーンも増え、彼の人間性も厚みを増したように感じました。
マントもスーツも黒一色のブラック・スーパーマンが登場。
・・・なぜ黒くなっちゃったかはネタバレになるので書けませんが。
アクアマンの奥様(で、いいのかな?)役のアンバー・ハードの出演シーンも増えたように思いました。
劇中では私生活と違い離婚裁判にはなりませんでした。
(左がスナイダーカット、右が劇場版)
敵キャラのステッペンウルフのVFXのクオリティも高くなりました。
そして、個人的に一番違う、そして見どころと思えるのが・・・
ジャレッド・レト演じるジョーカーの登場シーン。
これはもの凄くインパクトありました。
そのジョーカーに痛い所を突かれ、ヘトヘトになって疲れているバットマンが少し哀れに思えてしまいました。
思いっきり続編を意識した作りでありながら、その可能性が無くなってしまった本作。
そこが残念に思います。
DCコミックスの映画化で大成功と言える、1978年のリチャード・ドナー監督の『スーパーマン』。
この作品が無ければ、今日(こんにち)のアメコミ映画の存在も無かったかもしれません。
それくらい完成度の高い作品だったと思います。
そのリブート的作品の2013年の『マン・オブ・スティール』。
この作品にかなり多くの人が失望してしまいました。
リチャード・ドナー作品にはあった「スーパーマン=超人の活躍」という面白さがそがれ、終始ダークな展開に・・・。
その続編の2016年の『バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生』は2017年のゴールデンラズベリー賞において、最低リメイク・続編・盗作賞、最低助演男優賞(ジェシー・アイゼンバーグ)を受賞してしまいました。
ベン・アフレック、ヘンリー・カヴィルは最低主演男優賞にノミネート。
ストーリーも画面も暗いと散々な評価を受けてしまいました。
続く『スーサイド・スクワット』(2016)も興行・評価とも大ハズレ。
どの作品も「暗い、暗すぎる」という声が圧倒的でした。
しかし、2017年の『ワンダーウーマン』は興行・評価とも大成功を収め、そして製作されたのが『ジャスティス・リーグ』でした。
当初、ザック・スナイダーが監督予定だった『ジャスティス・リーグ』でしたが、彼の娘さんの突然の死に降板。
製作元のワーナー・ブラザースは暗すぎる2作品のザック・スナイダーを降ろせると「これ幸い」と思い、監督に『アベンジャーズ』のジョス・ウェドンを起用。
上映時間を大幅に短縮するよう命じ、スナイダーが撮影したシーンの約90分がカットされて公開されることに。
ですが、このジョス・ウェドン版『ジャスティス・リーグ』は不評を買い、これまでのDCコミックスの映画化作品で最低の興行成績になってしまいます。
さらに出演者からウェドンへの批判が相次ぎ、ファンの間では”ザック・スナイダーカット”の存在があるというウワサが広まり、公開を求める要望が寄せられます。
そして、日の目を見ることが出来たのが、この『ザック・スナイダーカット』です。
ちょうど、この次期はマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)が何をやっても成功し、DCコミックスは何をやっても失敗しているような時期でした。
ただ、MCUの真似事で『ジャスティス・リーグ』が作られたのでは無いことが、今回『ザック・スナイダーカット』を観て分かった気がいたしました。
デッドプールにディスられるように、DCユニバースのヒーローはシビアでダークな一面を持つキャラクターが多いと思います。
壮大なパワーも味方なら頼もしいが、敵に回すとこれ以上無い恐怖になってしまう。
そんな二面性を持ったヒーローを描いた映画だと思いました。
4時間はまったく長く感じませんでした。
スーパーマンの超人的パワーでもエイミー・アダムスのオバサン化は防げなかったのは、とても残念でした。(←失礼やろ!)