『ある画家の数奇な運命』
原題:Werk ohne Autor
2018年製作/ドイツ映画/上映時間:189分/R15+/2020年10月2日日本公開
出演:トム・シリング
パウラ・ベーア ほか
芸術家ゲルハルト・リヒターの半生をモデルにした人間ドラマです。
ナチス政権下から激動期のドイツを舞台に、芸術の自由と自分だけの表現方法を追い求める芸術家の姿が描かれます。
あらすじ
芸術を愛する叔母(ザスキア・ローゼンダール)の影響で絵画に興味を抱くクルト(トム・シリング)は、精神を病んだ彼女をナチス政権の安楽死政策によって殺されるというつらい過去を抱えていた。彼は東ドイツの美術学校で叔母を思わせる面持ちのエリー(パウラ・ベーア)と恋に落ちるが、彼女の父(セバスチャン・コッホ)は叔母の死に関わった元ナチス高官だった。その事実を知らないままクルトはエリーと結婚。芸術の自由を求めて彼女と西ドイツに亡命し、創作活動に没頭する。
(シネマトゥデイより)
長編監督デビュー作『善き人のためのソナタ』でアカデミー外国語映画賞を受賞したフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督が、現代美術界の巨匠ゲルハルト・リヒターをモデルに、ドイツの激動の時代を生きた芸術家の半生を描いた人間ドラマです。
2018年・第75回ベネチア国際映画祭コンペティション部門出品。第91回アカデミー賞では外国語映画賞と撮影賞にノミネート。
dTVにて鑑賞。
初めての鑑賞になります。
予告編を観て興味を持ち、鑑賞いたしました。
ナチ党政権下のドイツ。叔母の影響で幼い頃から芸術に親しむ日々を送っていたクルトは、終戦後に東ドイツの美術学校に進学し、エリーと恋に落ちる。エリーの父親は、精神のバランスを崩して強制入院し、安楽死政策によって命を奪われた叔母を死に追いやったナチ党の元高官だった。
しかし、誰もそのことに気づかぬまま、2人は結婚する。やがて、東のアート界に疑問を抱いたクルトは、エリーと⻄ドイツへ逃亡し、創作に没頭するが・・・。
とても見応えのある作品でした。
ナチスの恐怖政治、東西分裂のドイツ、ひとりの画家の生きざまとこれらが上手く混ざり合い、主人公が真実の芸術を見出すまでを描いた濃厚な3時間でした。
1937年、ナチスの支配する世界。
幼い主人公は大好きな叔母に「目をそらさないで。真実はいつも美しい」という言葉をいつまでも心に残していた。
しかし、その叔母とは残酷な別れを告げることとなります。
終戦後、間髪を入れず東ドイツは社会主義に飲み込まれることになる。
大人になった主人公は美術学校に通い、そこで叔母の面影を持った女性と恋に落ちます。
その彼女の父親こそが、叔母の死に関わった元ナチスの高官だった。
ですが、この映画は復讐物語では無く、美術に目覚めた青年の「美」を追求する成長の物語と言った内容になっております。
パウラ・ベーアが綺麗でした。
『婚約者の友人』、『水を抱く女』もステキでしたが、本作も輝いておりました。
R15+指定の作品です。
理由はナチスの残虐さを描いたからと観る前は思っていたのですが、違いました。
かなりヌードシーンが多かったのが理由だと思います。
・・・何ですが、ヘンな意味では無く(と言ってもそう思われてしまいますが)、とにかくぼかしが多すぎます。
成人男女のアソコは致し方ないにせよ、生まれたばかりの赤ちゃんや絵画にまでぼかしを入れるというのはやり過ぎのような気がいたしました。
アートとは誰のために存在するのか?
そのようなテーマが描かれた作品のように思いました。
波乱の時代を駆け抜け、たどり着いた叔母の残した言葉「真実はいつも美しい」。
本当のアートはなかなか作者以外には分からないところがありますが、人の手に染まらない自分だけの描ける真実こそが芸術と呼べるのでは無いでしょうか?
しつこいですが、ポルノでは無いので、意味の無いぼかしは本当にやめてもらいたい。
作品に対する冒涜です。