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『コンカッション』

『コンカッション』

原題:Concussion

 

2015年製作/アメリカ映画/上映時間:122分/G/2016年10月29日日本公開

 

監督:ピーター・ランデズマン

出演:ウィル・スミス

   アレック・ボールドウィン

   ググ・ンバータ=ロー ほか

 

ウィル・スミスが引退したアメリカンフットボール選手の死とアメフトの因果関係を発見する実在の医師を演じたドラマです。

監督は『パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間』のピーター・ランデスマン。

ブレードランナー』のリドリー・スコットが製作を担当しております。

 

あらすじ

 

医師のベネット・オマル(ウィル・スミス)は、ナイジェリアからアメリカへと渡る。検死官としても働く彼は、アメリカンフットボールのリーグNFLを引退した元ピッツバーグ・スティーラーズのスター選手、マイク・ウェブスター(デヴィッド・モース)の変死解剖を担当することに。その結果、マイクの死が頭部への激しいタックルが原因で引き起こされる脳の病気・慢性外傷性脳症であることを突き止め、論文にして発表する。しかし、NFLはその見解を全面的に否定し……。

シネマトゥデイより)

 

引退したアメリカンフットボールの選手たちに頻発する、謎めいた死の真相に挑むナイジェリア人医師の姿を追うウィル・スミス主演による実録ドラマです。

共演に『ディパーテッド』などのアレック・ボールドウィン、『タクシードライバー』などのアルバート・ブルックスら。

 

Netflixにて鑑賞。

初めての鑑賞になります。

 

間もなく配信終了とのことで、ちょっと観ておきたいと思っていた作品なので、今回は本作を選びました。

・・・ただ、私アメリカン・フットボール、ほとんどルール知りません。

写真は劇中登場する実在するNFL(ナショナル・フットボール・リーグ)のピッツバーグ・スティーラーズの写真ですが、映画本編とは関係ありません。

 

今さらジロー(若い人は知らない)ですが、数年前のアカデミー賞授賞式でのウィル・スミスの闘魂(?)ビンタ事件の事の発端は本作にあると言われております。

 

本作が2015年製作なので、アカデミー賞にノミネートされるとすれば翌年の2016年、第88回アカデミー賞になります。

この年のアカデミー賞は『マッドマックス 怒りのデス・ロード』が最多10部門ノミネート、こちらも最多の6部門受賞しております。

作品賞は『マネー・ショート 華麗なる大逆転』と『スポットライト 世紀のスクープ』の一騎討ちと言われ、『スポットライト~』が最優秀作品賞を受賞しております。

 

・・・問題になったのが、この年のアカデミー賞の俳優部門、主演・助演・男女優全員白人で「白すぎたオスカー」などと言われました。

 

白人が映画賞を受賞するたびキレるスパイク・リーや女優のジェイダ・ピンケット=スミスが抗議の意味で授賞式をボイコット。

ジェイダの夫である本作の主演俳優のウィル・スミスもプレゼンターとして登壇する予定でしたが、ジェイダに追随するように授賞式に参加しないことを表明。

また、白人ですが、助演男優賞にノミネートされているマーク・ラファロも遺憾を表しながらも「聖職者に虐待された人や正義を貫いたジャーナリズムを支持する意味で出席する」とX(当時Twitter)で声明。

 

・・・う~ん、本当に10人全員白人だったのか、私も忙しいのですが(暇なくせに)調べてみまして紹介いたします。

レディファーストで助演女優賞からの紹介で、最優秀受賞者を先頭に、以下苗字アルファベット順で。

助演女優賞は、

アリシア・ヴィキャンデル(『リリーのすべて』)

ジェニファー・ジェイソン・リー(『ヘイトフル・エイト』)

ルーニー・マーラ(『キャロル』)

レイチェル・マクアダムス(『スポットライト 世紀のスクープ』)

ケイト・ウィンスレット(『スティーブ・ジョブズ』)

助演男優賞は、

マーク・ライランス(『ブリッジ・オブ・スパイ』)

クリスチャン・ベイル(『マネー・ショート 華麗なる大逆転』)

トム・ハーディ(『レヴェナント 蘇えりし者』)

マーク・ラファロ(『スポットライト 世紀のスクープ』)

シルヴェスター・スタローン(『クリード チャンプを継ぐ男』)

主演女優賞は、

ブリー・ラーソン(『ルーム』)

ケイト・ブランシェット(『キャロル』)

ジェニファー・ローレンス(『ジョイ』日本劇場未公開作品)

シャーロット・ランプリング(『さざなみ』)

シアーシャ・ローナン(『ブルックリン』)

主演男優賞は、

レオナルド・ディカプリオ(『レヴェナント 蘇えりし者』)

ブライアン・クランストン(『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』)

マット・デイモン(『オデッセイ』)

マイケル・ファスベンダー(『スティーブ・ジョブズ』)

エディ・レッドメイン(『リリーのすべて』)

 

「真っ白な灰」(若い人は知らない)じゃない、見事なほど真っ白な俳優10人勢ぞろいでした。

ただ、大女優のシャーロット・ランプリングが言っていたようですが、「黒人の演技がノミネートに値いするもので無かっただけでは」という意見が正論のように思います。

本当に”たまたま”で意図的に白人だけを選んだようには思えないですね。

 

むしろ、人種では無く『キャロル』の冷遇ぶりが気になりました。

作品賞候補にならず、監督賞候補にもならなかったのは原作者のパトリシア・ハイスミスと監督のトッド・ヘインズLGBTであるからという意見もあります。

差別など無いと思いたいのですが、あったとしたら人種では無く同性愛者へのもののように思います。

 

候補者で自分的に不満があるとすれば、『ルーム』の男の子はノミネートされても良かった(スタローンがはじき出される可能性がありますが)気もしますし、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』、最多ノミネートにもかかわらずシャーリーズ・セロンが候補にならなかったのは残念ですね。

 

・・・で、なぜこの作品がビンタ事件の発端と言われているかと言いますと、この年のアカデミー賞の総合司会がビンタ喰らったクリス・ロックでした。

授賞式ボイコットしたウィル・スミスに「『コンカッション』の演技良かったのにノミネートされなかったのは腹立つよね。でもオレは『ワイルド・ワイルド・ウエスト』(ウィル・スミス主演の記録的大コケ西部劇)で高額ギャラ貰った方が腹が立つよ」とウィルを挑発。

さらに、「(妻の)ジェイダもボイコットらしいけど、お前は始めから呼んでねぇから」と追撃の挑発。

これがスミス夫婦とロックの遺恨の始まりと言われております。

この日のロックは舌好調で、「アジア人は勤勉でマジメ。でも性器は小さい」なる発言も。

これには台湾出身でハリウッドで活躍している映画監督のアン・リーがロックとアカデミー賞協会に抗議文を送ったそうです。

Wikipediaを参考にさせていただきました)

 

ウィル・スミスのボイコットの理由が人種問題ならいいのですが、自分がノミネートされなかったことだったら、それは間違いだと思いました。

ゴールデングローブ賞にはノミネートされているそうですが、それも大甘と思えるほど、そんなにいい演技とは思えませんでした。

この年のアカデミー賞で黒人でノミネートされる可能性が一番高かったと言われていたのが『クリード チャンプを継ぐ男』のマイケル・B・ジョーダンだそうです。

 

1999年のマイケル・マン監督の大手タバコ産業の不正を描いた『インサイダー』の似たようなテーマの映画なのですが、監督の技量の無さが致命的で、実話を基にしているテーマの映画にもかかわらず、重さを感じず、ストーリーもまったく盛り上がらない・・・。

 

全米のスポーツニュースはMLBなどもあり日本にも届いておりますが、動いているお金が桁違いです。

その中でもトップの人気を誇るアメリカン・フットボールNFLを敵に回すということはアメリカ合衆国と対決することと同じです。

引退したNFL選手の死因を暴いた医師はFBIにも目をつけられることになります。

 

偶然にも同年のアカデミー賞作品賞受賞の『スポットライト 世紀のスクープ』、有力候補だった『マネー・ショート 華麗なる大逆転』も実話を基にしている映画ですが、この2作品に比べると、天下のNFLと対決するお話しの割に何も伝わってくるものが無く、この2作品を見習ってもらいたいと思ってしまいました。

 

(字幕そのまま)「フットボールは最高に人気のスポーツだ。理由はクソ面白いからだ」(下品な言葉でごめんなさい)とありますが、アメリカン・フットボールって、そんなに面白いのかな?と思っちゃいました。

・・・ですが、アメリカン・フットボールを全否定するかのような描き方というのも少し問題あるように感じました。

 

古今東西、巨大権力に一個人が戦うというストーリーは胸アツなものがあるはずなのですが、何もありませんでした。

 

コンカッションとは脳しんとうという意味だそうですが、ウィル・スミスにビンタ喰らったクリス・ロックが・・・などと不謹慎なことを考えてはいけない。

ですが、残念ですがアフリカ系アメリカ人に大きさでは勝てないのは事実ですね。(涙)

 

 

シャーリーズ・セロンの無念はぜひともアニャにゃんに晴らしてほしい!

この映画でアカデミー賞初ノミネート、そして映画も期待しております。

PS、ご結婚おめでとうございます。

オヂさん、悲しい・・・。😭