『アメリカン・フィクション』
原題:American Fiction
2023年製作/アメリカ映画/上映時間:118分/日本劇場未公開作品
監督:コード・ジェニファーソン
出演:ジェフリー・ライト
トレイシー・エリス・ロス
エリカ・アレクサンダー ほか
ある小説家が偽名で書いたステレオタイプな内容の本が売れていく様子を通して、偽善について描いたコメディドラマです。
監督はドラマシリーズ「ウォッチメン」などに脚本家として携わったコード・ジェファーソン。
本年度・第96回アカデミー賞において、作品賞、主演男優賞(ジェフリー・ライト)など計5部門にノミネートされ、コード・ジェニファーソンが最優秀脚色賞を受賞。
あらすじ
小説家のモンク(ジェフリー・ライト)は小説や映画で描かれる黒人についてのステレオタイプな描写を嫌悪しているが、自身が書いた小説は売れず、何年も本を出すことができていなかった。兄弟のリサが急死し、母親のアルツハイマーが進行する中、モンクはやけになり自身が毛嫌いしていたような小説を執筆する。偽名で出版したその本は予想外の評判となり、映画化が決まる。
(シネマトゥデイより)
やけになって書いた本がヒットして戸惑う主人公が、家族の老いや死といったプライベートな問題に向き合うコメディドラマです。
主人公を『007』シリーズなどのジェフリー・ライトが演じ、トレイシー・エリス・ロス、ジョン・オーティスなどが共演。
Amazonプライムビデオにて鑑賞。
初めての鑑賞になります。
本年度のアカデミー賞が発表されました。
それに関連したことをいろいろコメントしたく思い、脚色賞受賞の本作を選びました。
・・・なので、あまり映画の感想は書けないかもしれませんし、長い記事になると思います。
Amazonプライムビデオの日本劇場未公開作品なので、資料の少なさがあるので、詳しいことが分からないところがあることをご了承ください。
侮辱的な表現に頼る“黒人のエンタメ”から利益を得ている世間の風潮にうんざりし、不満を覚えていた小説家が、自分で奇抜な“黒人の本”を書いたことで、自身が軽蔑している偽善の核心に迫ることになります・・・。
日本時間の昨日3月11日、アメリカ・ハリウッドにて第96回アカデミー賞授賞式が開催され、最優秀作品賞に最多ノミネートだった『オッペンハイマー』が受賞いたしました。
『オッペンハイマー』はさらにクリストファー・ノーランの最優秀監督賞・・・
ロバート・ダウニー・Jrの最優秀助演男優賞・・・
キリアン・マーフィの最優秀主演男優賞など、計7部門を受賞。
ダウニー・Jr、マーフィは初の受賞になります。
最優秀主演女優賞は『哀れなるものたち』のエマ・ストーンが『ラ・ラ・ランド』(2016)に次いで2度目の受賞。
私たち日本人に嬉しかったのが、宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか』が最優秀長編アニメーション映画賞を受賞。
さらに『ゴジラ-1.0』が最優秀視覚効果賞を受賞。
こちらはアジアの映画では初の受賞となります。
おめでとうございます!
作品賞候補10作品で、鑑賞したのが、今さっき観終わった本作だけなので、偉そうなことは言えませんが(おそらく言うと思いますが・・・)まあ、波乱も無く妥当だったような印象です。
言わせていただくとすれば(始まっちゃったよ)、ノミネートの段階でレオ様除外、スコセッシの『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』の無冠と相変わらずの冷遇ぶり。
さらに世界的大ヒット作『バービー』は最優秀主題歌賞の1部門のみという大ヒット作には「オスカーあげないよ~」精神は健在でした。
さすがアカデミー賞!(褒めておりません)
そんな本年度のアカデミー賞において脚色賞受賞を受賞した本作ですが、たしかに面白いストーリーだと思いました。
この部門は『オッペンハイマー』も候補になっていたので、それを破っての受賞ですので、結構「凄い!」と言っていいように思います。
自分は本を読まないので、映画として話させていただきますが、スパイク・リーくらい全面に出す人は別として、作家(監督や脚本家)の人種をあまり気にしたことがありません。
本作の主人公、売れない小説家のモンクは自分が黒人であることを自虐ネタ的に話したり、講座でドイツ人に「お前の先祖はナチだろ?」なる暴言を吐いたりしております。
映画のテーマはそういった人種ネタなので、日本人には一番分かりづらく感じるものなのですが、本作は作りが上手く、自然に物語の中に入れるものになっておりました。
作家と呼ばれる人がぶち当たってしまう壁。
自分が書きたい(作りたい)と思うことと、世間から求められているものの違い。
モンクはやけっぱちでステレオタイプのいかにも一般大衆向けと思われる自分が嫌うタイプの小説を書いたら、それが大ヒット。
とんでもない金額が舞いこみ、映画化の話しまで来てしまいます。
いつまでも無くならない偏見や差別といったテーマに加え、アルツハイマー病の母親の介護など深刻な問題も取り入れながら、基本コメディ路線なので、偽名を使って大ヒット小説を書いたモンクの姿に終始笑いが止まりませんでした。
主演のジェフリー・ライトの名演が光ります。
「ハリウッドの人間は誰も本を読まない」と映画業界を皮肉るところも面白いと感じました。
製作総指揮に、あの(?)『最後のジェダイ』のライアン・ジョンソンの名前があったので、「嫌な予感が・・・」したのですが、心配ご無用、人種差別にほとんど縁の無い日本人でも楽しめる、とても優れたコメディです。
むしろ、「ジョンソンよ、これがシナリオだ」と言ってやれよと思っちゃいました。
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※日本語字幕は入っておりません。※