『バービー』
原題:Barbie
2023年製作/アメリカ映画/上映時間:114分/G/2023年8月11日日本公開
監督:グレタ・ガーウィッグ
出演:マーゴット・ロビー
アメリア・フェレーラ ほか
世界中で発売され、愛され続けるアメリカのファッションドール「バービー」を、マーゴット・ロビー&ライアン・ゴズリングの共演で実写映画化した作品です。
さまざまなバービーたちが暮らす完ぺきな世界「バービーランド」から人間の世界にやってきたひとりのバービーが、世界の真実に直面しながらも大切なことは何かを見つけていく姿が描かれます。
あらすじ
“バービーランド”はどんな自分にでもなれる、夢のような場所。そこに暮らすバービー(マーゴット・ロビー)は、ある日突然、体に異変を感じる。バービーは原因を追求するべく、ボーイフレンドのケン(ライアン・ゴズリング)と共に人間の世界へとやってくる。そこでバービーは、自分の思い通りにならない経験をする。
(シネマトゥデイより)
ハッピーな毎日を送ることのできるバービーランドで暮らすバービーとケンが、リアルワールド(人間の世界)に迷い込む、ファンタジー映画です。
バービーを『バビロン』などのマーゴット・ロビー、ケンを『ブレードランナー2049』などのライアン・ゴズリングが演じております。
監督は『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』などのグレタ・ガーウィグ。
2024年・第96回アカデミー賞において、作品賞、助演男優賞(ライアン・ゴズリング)、助演女優賞(アメリア・フェレーラ)、美術賞など計7部門8ノミネートされ、ビリー・アイリッシュ&フィニアス・オコネルによる「What Was I Made For?」が歌曲賞を受賞。
Netflixにて鑑賞。
初めての鑑賞になります。
人形は持っておりませんが(美少女フィギュアは山のように持ってますが)、北米で『ダークナイト』(2008)を上回るワーナー・ブラザーズ史上最高の興行収入、2024年の公開作品の中でも、『ザ・スーパー・マリオ・ブラザーズ・ムービー』を超え最高の興行収入を記録した人気の理由を知りたい・・・という気持ちで観てみたいと思いました。(むしろ『ダークナイト』のフィギュア、数体持っております)
ただ、日本での興行成績は今ひとつだったんですよね。
マーゴット・ロビーがPRで来日予定だったのが、ストライキでキャンセルになったのと・・・
これが原因かもしれませんね。
ただ、これに関しては一部のアメリカの映画ファンも眉間にシワを寄せておりましたが。
すべてが完ぺきで今日も明日も明後日も《夢》のような毎日が続くバービーランド!バービーとボーイフレンド?のケンが連日繰り広げるのはパーティー、ドライブ、サーフィン。しかし、ある日突然バービーの身体に異変が!
原因を探るために人間世界へ行く2人。しかし、そこはバービーランドとはすべてが違う現実の世界、行く先々で大騒動を巻き起こすことに・・・?!
彼女たちにとって完璧とは程遠い人間の世界で知った驚くべき〈世界の秘密〉とは?そして彼女が選んだ道とは・・・?
冒頭のあの、スタンリー・キューブリックの映画史に残る名作SF映画のパロディのあまりの忠実過ぎる(?)再現に大爆笑してしまいました。
運良く公式の動画がありました(残念ながら日本語字幕は無し)ので、紹介いたしますが、これからご覧になられる予定の方は控えた方がいいかもしれません。
バービー人形が登場する以前は、子どもさん向けのお人形は赤ちゃんのものしか無かったというものですね。
ナレーターは大女優のヘレン・ミレン。
そのバービー人形は1959年3月、アメリカのマテル社の共同創設者の一人のポーランド系ユダヤ人のルース・ハンドラーが生み出して、世界的に大ヒットした着せ替え人形です。
30cmサイズ・・・と私の持っている美少女フィギュアより少し大きめ。
初期のバービー人形はアメリカより当時人件費の安い日本で製造されていたそうです。
本名はバーバラ・ミンセント・ロバーツ。
17歳で(マーゴット・ロビーでは歳取り過ぎでは・・・?)職業はファッションモデル。
スキッパー、ステイシー、チェルシーという妹がおります。
ボーイフレンドはケン。
日本では「新しいアメリカのおともだち」と、1962年から販売を開始。
1964年の東京オリンピック、1966年のザ・ビートルズ来日で西洋文化の人気に拍車がかかり売り上げを伸ばしますが、1967年、タカラのリカちゃん人形が発売開始され打撃を受け一時撤退いたします。
1980年ころからタカラとマテル社は業務提携をし、バービー人形の輸入販売を行います。
日本オリジナルのバービー人形も販売され、山本寛斎氏デザインの「カンサイ・バービー」なるものも販売されたそうです。
タカラは1986年にマテル社との提携を解消。
1990年代からバンダイがマテル社と提携。
バービーMk.Ⅱ、バービー・バーニングフォーム、バービー・クライマックスフォームなるもの・・・は販売されておりません。
(バンダイと提携までが本当です。Wikipediaを参考にさせていただきました)
Disneyのアホくさいエセ・ポリコレ作品ばかりを観てきたからか、これは本当に現代的なフェミニズムをしっかり描きながら、カラフルな画面に美術、躍りたくなる音楽と楽しめる映画に仕上がっていたと思いました。
バービーランドに住むバービーたちは人種や肌の色など関係無く、誰もが最高に輝いている。
そのバービーのボーイフレンドのケンもバービーたちの尻に敷かれ(言葉悪いですが)ながらも楽しい日々を過ごしております。
ある日、マーゴット・ロビー演じるバービーの体に異変が・・・。
原因を調べるため、バービーランドと現実社会の世界の境界線(余談ですが、これが中国が主張している「九段線」の地図と映り、ベトナムとフィリピンで問題になったそうですが)を越え、カリフォルニア州へ。
そこで、男女逆転した社会を目の当たりにします。
強い男が支配している世界(嫌な表現で申し訳ありません)を知ったケンはバービーランドに戻り、ケンたち男性が女性を虐げている社会を築いてしまいます。
その間違った世界を元のバービーランドへ戻そうと奮闘するバービーとその持ち主だったマテル社の女性社員とその娘たち・・・。
フェミニスト映画であることは間違いないのですが、堅苦しく無く、むしろ、そのようなことを考えず、シンプルに全盛期のMGMミュージカルを観る感覚で楽しめる映画になっていたように思います。
『2001年宇宙の旅』以外でも、『スプラッシュ』、『マトリックス』などのオマージュ的なシーンもあり、映画ファンには思わず笑ってしまうシーンが多く用意されております。
グレタ・ガーウィッグの才能と映画愛をあらためて感じされられました。
マーゴット・ロビーはキャリアベストと言えるほどのすばらしい演技を披露しておりました。
それだけにアカデミー賞ノミネートされなかったと言うのはね~。
やっぱり昨年の『トップガン マーヴェリック』のトム・クルーズ同様の扱いになったとしか思えないですね。
ノミネートはされましたが、ライアン・ゴズリングも受賞ならず。
2人の代わり(?)に受賞した人が壇上でアジア系俳優に差別的行動を取った・・・と言うのも本作のテーマと正反対なことなので、より皮肉に感じてしまいました。
男性の視点から観てしまうと面白く感じないかもしれません。
ですが、自分は本当に「誰もが最高に輝ける可能性のある世界」を描いた本作はしっかりとしたテーマと巧妙な語り、そしてすばらしい音楽と美術、俳優で彩られた夢のある映画と思い、かなり感動いたしました。
それだけに”バーベンハイマー”は残念で仕方ありません。
まあ、今年のアカデミー賞授賞式の『オッペンハイマー』受賞者で”世界平和”と口にしたのが主演男優賞のキリアン・マーフィーだけだったところから、日本とアメリカの”原爆”に対する温度差感じてしまいますね。
※日本語字幕入りです。※
※歌詞、日本語字幕はございません。※