『裸足の季節』
原題:Mustang
2015年製作/フランス・トルコ・ドイツ合作映画/上映時間:94分/G/2016年6月11日日本公開
監督:デニズ・ガムゼ・エルギュヴェン
出演:ギュネシ・シェンソイ
ドア・ドゥウシル
トゥーバ・スングルオウル ほか
北トルコを舞台に、自由を求めて古い慣習から抜け出そうとする5人姉妹の運命を瑞々しいタッチで描いた青春ドラマです。
トルコ出身の女性監督デニズ・ガムゼ・エルギュヴェンが長編初メガホンを取り、第88回(2016年)アカデミー賞外国語映画賞(現:アカデミー国際長編映画賞)にフランス代表としてノミネート。
あらすじ
5人姉妹の末娘ラーレ(ギュネシ・シェンソイ)は、イスタンブールからおよそ1,000キロの場所にある小さな村で暮らしている。10年前に両親を亡くした姉妹たちは、祖母(ニハール・G・コルダス)に育てられる。長女ソナイ(イライダ・アクドアン)、次女セルマ(トゥーバ・スングルオウル)、三女エジェ(エリット・イシジャン)、四女ヌル(ドア・ドゥウシル)らは美しく成長し……。
(シネマトゥデイより)
5人姉妹の自由への憧れと渇望を描く青春ドラマです。
両親が他界し祖母の家に引き取られた姉妹たちが、昔ながらの厳しいしつけに必死の抵抗を試みる姿が描かれます。
dTVにて鑑賞。
初めての鑑賞になります。
映画の存在すら知りませんでしたが、アカデミー賞ノミネートと本日限りで配信終了ということで鑑賞いたしました。
映画は松田聖子さんの名曲とは一切関係ありません。
10年前に事故で両親を亡くし、祖母の家で叔父たちと暮らしている5人姉妹。厳格なしつけや封建的な思想のもとで育てられた彼女たちは自由を手に入れようと奮闘するが、やがて家族が決めた結婚相手にひとりずつ嫁がされていく・・・。
古い習慣に苦しめられている5人姉妹の末っ子の反逆する姿が、美しいトルコの風景の中映し出される青春映画です。
5人という数字が万国共通、いいんでしょうね?
わが国でもセーラー服美少女戦士や「スマイ○プリキュア!」など5人で戦う女の子の作品があります。(ごめんなさい、私、「プリキュア!」で観ているの、これだけなので)
厳しいオスマントルコのイスラム戒律から逃げだそうとする少女たちの”反乱”の物語なのですが、今の時代(映画の設定では15年くらい前かな?)こんな古い習慣が残っているというのは少し違和感がありました。
冒頭、学校の男子生徒と海で遊んでいたことから、家に監禁状態にされる5人姉妹。
窓には鉄格子まである。
そして、戦中の日本かと思うような会ったことも無い男と無理やり縁談させられ、しかも処女かどうか確認までさせられる始末。
そのような古い習慣や体制に反発するというテーマは悪くないのですが、目新しさが無いように感じました。
ティーンエージャーの大人への反発は、40年前の『フットルース』でも描かれておりますし、’80年代のジョン・ヒューズの青春映画の定番でした。
もっと古く言えば、『小さな恋のメロディ』でも描かれております。
5人姉妹を演じる女優さんたちは瑞々しい美しさがありました。
ですが、家に監禁状態になったとき、部屋の中でやることも無く、暑さからの下着姿のシーンの多さは女性監督から男性ファンへのサービスかと思ってしまうほどでした。
う~ん、誰に向かって作られた映画なのだろう?
ちなみに、ジェームズ・フランコは「今年、一番好きな映画」とコメント。
ソフィア・コッポラ監督作品出演経験のあるキルスティン・ダンストも「大好き!」とコメント。
・・・この2人のコメントがあるなら、トビー・マグワイアの意見も聞きたかったと思ってしまいました。(笑)
日本の評論家も絶賛。
ちょうど2015年と同じ年に製作され、大ヒットした『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のトルコ少女版と評している意見を見て、「なるほど、そういう映画だったのか?」となんとなくですが自分も理解いたしました。
主人公はほとんどのシーンで靴かサンダルを履いていたので、邦題は論外ですが、原題の『Mustang』の意味も分かりませんでした。
アメリカ・フォード社の自動車”ムスタング”を思い出してしまいます。
写真はスティーヴ・マックイーン主演の『ブリット』に登場した1968年式フォード「マスタングGT390ファストバック」。
Mustangの正式な意味は北アメリカにスペイン兵が持ち込んだ小型馬が野生化したとのこと。
これを知り、原題の意味も分かりました。
でも「裸足の季節」はいくらなんでも無いでしょう。
どうせ昭和の歌謡曲のタイトルつけるなら、少しネタバレになりますが、「飛んでイスタンブール」でしょう。(これならピッタリ)
叔父たちの束縛から、自由を求めて逃亡する姿は、先ほど名前を書いたマックイーンの『パピヨン』や『ショーシャンクの空に』を連想します。
しかし、それらに比べると、それほど苦労が無かったのが残念。
美しい映画で悪くは無いのですが、絶賛されるほどの感動は無かったかな~。
M・ナイト・シャマラン監督も大絶賛しておりますが、うん、『ハプニング』よりは1億倍いい映画でした。