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『レディ・バード』

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レディ・バード

原題:Lady Bird

 

2017年製作/アメリカ映画/上映時間:94分/PG12/2018年6月1日日本公開

 

監督:グレタ・ガーウィグ

出演:シアーシャ・ローナン

   ローリー・メトカーフ

   トレイシー・レッツ ほか

 

『フランシス・ハ』、『20センチュリー・ウーマン』などの女優グレタ・ガーウィグが、自伝的要素を取り入れながら監督・脚本を手掛けた青春映画です。

第90回(2018年)アカデミー賞において、作品賞、主演女優賞(シアーシャ・ローナン)など全6部門にノミネート。

ガーウィグも女性として史上5人目の監督賞候補になりました。

 

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あらすじ

 

レディ・バードと名乗り、周囲にもそう呼ばせているクリスティン(シアーシャ・ローナン)。高校生最後の年に看護師の母マリオン(ローリー・メトカーフ)と進学先を決めるために大学見学に行くが、帰りの車中で地元のカリフォルニア州サクラメントから離れて都市部の大学に進みたいと言ったことから大げんかになる。それ以来、母と衝突を重ねる一方、親友のジュリー(ビーニー・フェルドスタイン)とも疎遠になってしまう。

シネマトゥデイより)

 

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カリフォルニアの片田舎で生活している女子高校生が、さまざまなことに悩みながら成長していく姿を描いた青春ドラマです。

『ブルックリン』などのシアーシャ・ローナンが主演を務め、ローリー・メトカーフ、トレイシー・レッツ、ルーカス・ヘッジスらが共演。

 

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dTVにて鑑賞。

初めての鑑賞になります。

 

今月中で配信終了とのことと、アカデミー賞作品賞候補、シアーシャ・ローナン主演というところに惹かれての鑑賞です。

 

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カリフォルニア州サクラメント。閉塞感漂う片田舎の町でカトリック系の女子高に通い、自らを「レディ・バード」と呼ぶ17歳のクリスティン。

 

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高校生活最後の年を迎え、友人やボーイフレンド、家族、そして自分の将来について悩み、揺れ動く様子が描かれていきます。

 

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自分のことを”レディ・バード”と呼ぶ、ちょっぴり痛い空気の読めない女子高生のこじらせ物語がメインに描かれる青春ドラマです。

 

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高校卒業を控え、田舎町から抜け出してNYの大学へ行きたいと願う”レディ・バード”は金銭的に厳しい状態の母親の意見を無視。

そんな彼女の自分ではない、両親のつけてくれた名前でない存在でいたいと思う姿がとても面白く感じました。

 

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1994年生まれのローナン(左)とその約10歳年上の1983年生まれのガーウィグ(右)、2人の息がピッタリ。

(そこは2年後の『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』でも発揮されております)

本作は2人のどちらかが欠けてしまったら、成功しなかったと思うほど、2人ともすばらしい仕事をしていると感じました。

 

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シアーシャ・ローナンはやはり凄い女優さんですね。

『つぐない』で初めて知ったのですが、その演技には驚きを隠せませんでした。

子役と言っていい年齢だったので、「もしかすると、これっきり?」と思っていたら、今やハリウッド映画に欠かせない大女優になりました。

 

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ガーウィグの演出の良かったところは、10代の若者の誰もが抱える悩みや葛藤、喜びなどを様々な視点から描いたところだと思います。

女性監督の視点なので、男性観客は置いてきぼり・・・と言うことは無く、また今の時代の若者だけでなく、かなり前に青春時代を過ごした人たちにも「うん、分かる」と思わせるものを描いていたところに監督の手腕の凄さがあると言えます。

 

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ティモシー・シャラメくんが出ているとは知らずに鑑賞いたしました。

う~ん、まだ、あの映画を引きずっているので、冒頭のクレジット観て少し不安になりましたが、今回はノーマルな役で良かったです。(なんて書くと同性愛者の人たちに申し訳ありません。同性愛が嫌いなワケでは無く、あの映画の描写が苦手なだけです)

 

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サクラメントというと、NBAの”キングス”というチームがある・・・くらいしか私も知らない、実際カリフォルニア州の中でも州の繁栄から取り残され、観光で訪れる人も少ない町だそうです。

 

そんな町から飛び立ちたい”レディ・バード”の気持ちは都会に憧れる若者誰もが持つ感情だと言えます。

しかし、自分の生まれ育った町を心底嫌うことができないのもまた事実。

 

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いつもは母親の運転する車の助手席から見つめていた町並。

映画の終盤、免許証を取得した”レディ・バード”が自分で運転する車から見る、いつも見ていた町並が違ったものに映ります。

 

映画の技報としてはありふれた感がある演出ですが、逆にそこが光っておりました。

また、旅立つ”レディ・バード”が飛行機の窓から見る育った町の姿。

あの、ジョージ・ルーカスの青春映画の名作『アメリカン・グラフィティ』を思い起こさせるものでした。

 

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特別で無いところに共感が生まれる映画だと思います。

その反面、特別で無いので映画的には?・・・という意見もあるかもしれません。

そこで好き・嫌い分かれるかもしれません。

自分はかなり気に入りました。

自分が”レディ・バード”と同じくらいの歳に出会っていたら・・・などと考えながら、自分の若い頃を思いだし、彼女の感情を受け止めながら鑑賞しておりました。

先ほども書きましたが、様々な性別・世代に受け入れられる青春映画だと思いました。

 

ラストがまたステキ。

「私の名前で私を呼んで」。(やっぱり、まだ引きずっている・・・)