『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』
原題:Star Wars: The Rise of Skywalker
2019年製作/アメリカ映画/上映時間:142分/G/2019年12月20日日本公開
監督:J・J・エイブラムス
出演:デイジー・リドリー
アダム・ドライヴァー ほか
1977年公開の第1作以来、世界の人々を魅了し続けている超大作シリーズの完結編。
監督と脚本を担当は『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』などのJ・J・エイブラムス。
ビリー・ディー・ウィリアムズ演じるランド・カルリジアンが再登場するほか、シリーズを通して重要な役割を担ってきた、16年12月に急逝したキャリー・フィッシャー演じるレイア・オーガナも、『フォースの覚醒』製作時に撮影されていたものの未使用だった映像を用いて登場。
あらすじ
スカイウォーカー家のカイロ・レン(アダム・ドライヴァー)は祖父のダース・ベイダーを崇拝し、その遺志を継承するため銀河を掌中に収める。一方伝説のジェダイ、ルーク・スカイウォーカーの強い思いを受け継いだレイ(デイジー・リドリー)はフォースを覚醒させる。光と闇のフォースをめぐって、二人の運命は最終決戦に委ねられる。
(シネマトゥデイより)
『スター・ウォーズ』サーガのエピソード9にあたり、1977年のシリーズ1作目から計9作品を通して語られてきたスカイウォーカー家の物語の完結編です。
レイ、カイロ・レン、レイア・オーガナ、ポー・ダメロンをはじめとするキャラクターたちを待つ運命が、壮大なスケールで描かれます。
Disney+にて鑑賞。
映画館以来2度目の鑑賞になります。
エピソード7、8と来て、いよいよ完結編のエピソード9です。
ネタバレ全開のレビュー記事になります。
まだご覧になられていない方はご注意を。
ファースト・オーダーの最高指導者となったカイロ・レンは銀河各地に勢力を広げていき、その中で銀河の未知の領域にある惑星エクセゴルにたどり着く。そこでカイロ・レンは、かつての銀河帝国皇帝であり、死んだと思われていたパルパティーンの秘密を目の当たりにする。
一方、レジスタンスのレイア・オーガナ将軍の下でジェダイとして修行を積んでいたレイは、スパイからもたらされた「パルパティーンが生きている」という情報の真偽を探るため、フィンとポー・ダメロン、チューバッカら仲間とともに砂漠の惑星パサーナへと向かうが・・・。
前作のレビューでかなり厳しいことを書いてしまいました。
多少、反省しております。(ホントかよ?)
ウソは書けないので、今回もホンネを書きたいと思っておりますが、今回は個人攻撃は無い・・・と思うので最後までお付き合いいただければ光栄です。
前作で最高指導者だったスノークを殺してしまいました。
では、ファースト・オーダーを裏で操っていたのは何者だったのか?
映画館で観る前に、自分なりに推測してみました。
まず、『スター・ウォーズ』史上初のゴールデン・ラズベリー賞(ラジー賞)にて最低助演男優賞にノミネートされたジャージャー・ビングス。
「なんでジャージャーがフォース使えるんだ?」とお思いでしょう?
『エピソード3』~『4』の間の物語で、パドメの近くにいたジャージャーはダース・ベイダーの囚われてしまう。
己の命大事さにベイダーの軍門に降るジャージャー。
「よし、お前にシスのフォースを教えてやる」と言われ、ベイダー卿初の弟子となるジャージャー。
修行を重ねるうち、ベイダー卿に匹敵するフォースの使い手にまで成長するジャージャー。(んなアホな?)
皇帝の秘密兵器として用意されていたジャージャーだったが、師範のベイダー卿がアナキンに戻り、行き場の無くなったジャージャーは第2デス・スター爆発前に脱出。
パドメも師範も失いヤケクソになったジャージャーは時間を掛け、ファースト・オーダーを立ち上げる。
これが第一案。(絶対に無い)
第二案は(もういいよ)初登場の巨万の富を持つネズミ。
このネズミの財力ならファースト・オーダーを作ることなど簡単。
登場曲も「帝国のマーチ」から、軽快な「ミッ○ーのマーチ」に。
ファースト・オーダー最高指導者を倒すために、惑星マイハマへ向かうレイ・・・。
これをやったら一部ファンは大喜びでしょうが、ルーカスフィルムはともかく、その上が許すはずがない・・・。
・・・で、落ち着いたのがこちらのサミュエル・L・ジャクソンに殺されそうになったとき、泣きじゃくっていたオジサン。
予告編で笑い声が聞こえたとき「イヤな予感がした」のですが、何か散々石ノ森章太郎先生を否定していたのも関わらず、面白い悪役が思い浮かばないので、結局ショッカーを登場させた平成ライダーの映画を思い出させる安直な設定。
さあ、復活したパルパティーン卿の大活躍を楽しみにしましょう!
まずダメと思ったところから。(パルパティーン卿復活以外で)
間違いなくシリーズナンバーワンの”ご都合主義”展開満載。
チューイ乗っていた爆発した宇宙船、間違いなく彼(?)が乗っていたものですよね。
替え玉みたいなもの登場していなかったし。
ファースト・オーダーのスパイ、ふ~ん、そんな理由で裏切っちゃうんですか?
だいぶ飛びますが、死んでしまったレイにキスしたら(する相手は書かないでおきます)生き返るレイ。
さ、さすがDisneyだ。
レイは毒リンゴ食べたワケでは無いのですが・・・。
この3部作を観終わって、シリーズ一貫性が無いな~と思いました。
自分は正直、『エピソード1』~『3』はあまり好きでは無い(『スター・ウォーズ』は最初の3部作で終わっていたと思っております)のですが、キチンと筋の通った物語としては評価できます。
今回の3部作は何か『スター・ウォーズ』というコンテンツを使いたいだけで作った感が強く、「ストーリーは何でもいいや」的にしか思えず、3作とも好き勝手やって、繋がりが無い行き当たりばったりの物語だったように思いました。
ここからは良かったところ。
ローズ・ティコの登場シーンが大幅に減りました。
もう、これだけで100点つけてもいいくらい。
ジャージャーも『エピソード2』で無いようなキャラになったように、ローズも・・・。
フィンとの絡みも無くなり、人種差別感も無くなり、お行儀の良い映画になりました。
キスシーンも無いと分かっていたので、今回はおやつ食べながら鑑賞できました。
オレたちのルーク・スカイウォーカーが帰ってきました。
移動手段を失ったレイのため、海に沈めていたXウイングをフォースで引き上げるルーク。
そのシーンに「ヨーダのテーマ」を使うジョン・ウィリアムズの粋な計らい。
これを『最後のジェダイ』の最終決戦で観たかった。
ファンの気持ちを分かっているJ・Jとファンをクソ野郎と言っているライアン・ジョンソンとの違いですね。
『アメリカン・グラフィティ』の続編が興行的に大失敗し(『アメリカン・グラフィティ2』の存在すら知らない人も多いと思います。私も観ておりません)、ルーカスは『帝国の逆襲』製作にあたって公開まで不安を抱えていたとのこと。
しかし、映画は前作の大ヒットで予算も増え、クオリティも高まり成功を収め、その続編の『ジェダイの帰還』で大団円で本来終わった物語です。
今回の3部作に比べればすばらしい出来と評価されておりますが、『エピソード1』~『3』も必要だったのかな~という気持ちが強いです。
ルーカス関連ですと、『スター・ウォーズ』も『インディ』も3部作で終わっていれば、綺麗な終わり方だったな~と思いました。
ランドの登場も喜ばなければいけないのですが、何かパッとしなかったな~。
瀕死のレイを励ます先人ジェダイ・マスターの声。
映画館のときは、フランク・オズ(ヨーダ)しか分からなかったのですが、今回2回目でアレック・ギネス(オビ=ワン・(ベン)ケノービ)の声があったのは分かりました。
映画館ではできないエンドクレジットを静止画にして、誰の声があったのか確かめてみました。
自分の知らない人も多かったですが、知っている俳優さんでは、ヘイデン・クリステンセン(アナキン)、サミュエル・L・ジャクソン(メイス・ウインドゥ)、ユアン・マクレガー(オビ=ワン・ケノービ)、リーアム・ニーソン(クワイ=ガン・ジン)。
これは感涙ものでした。
息子を改心させようと自らの命をかけるレイア。
この母心は美しさを感じさせました。
演じるキャリー・フィッシャー不在の中、違和感なく作り上げたスタッフの苦労は故人への哀悼の気持ちも強く伝わり感動的でした。
歴代シリーズの中でダメダメ感が多い今回の3部作で、一番良かったと思えたのがアダム・ドライヴァーという俳優さんと出会えたことだと思います。
3部作通してすばらしい演技を披露し、ほかの作品、『パターソン』、『沈黙-サイレンス-』、『ブラック・クランズマン』と演技の幅を大きく広げております。
これからのハリウッドを代表する逸材と出会えたのは本当に幸せなことだと思います。
パルパティーン卿というお方はフォースの力であちこちの女性を妊娠させるテクニックを持っているのでしょうか?(不快に思われたら申し訳ありません)
『ジェダイの帰還』のアナキンが命をかけた戦いが結局ムダだったのは「・・・」でしたが、ルークの言う通り「血より大切なものがある」。
『スター・ウォーズ』史上、一番いろんなものを背負いこまされてしまったキャラクターになってしまったレイ。
それでも最後まで戦い続けた姿はあまり褒める要素の少ない3部作の中でもアダム・ドライヴァーの演技と並び心に残るものだったように感じます。
3部作通して彼女を応援してきて自分は良かったと思っております。
ラストシーンの美しさ。
「レイ・・・誰?」と名前を聞かれます。
彼女は笑顔で答えます。
「綾波」。
・・・違ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーう!
Disneyと言うと、かつて”獅子王”なる(日本語にしております。正式タイトルは英語)アニメ映画で日本の巨匠漫画家の作品をパクった前科があるので、こう答えていたら、庵野秀明監督はどう対応したのか知りたいところ。
もちろん違う名前を答えました。
「パルパティーン」ではありません。
「火野」でもありません。
どこのスタジオにも相手にされなかった第1作のシナリオ。
必死にオビ=ワン・ケノービ役を演じてもらいたいと出演オファーを続けたルーカスに最後まで首を縦に振ってくれなかった三船敏郎氏。
撮影中、不倫関係だったハリソン・フォードとキャリー・フィッシャー。
本当にダークサイドに堕ちてしまったアナキン役の子役、などなど・・・。
いろんな思い出と共に(悪いものばかりじゃねぇか?)『スター・ウォーズ』サーガが終焉を迎えました。
Disney+で配信中のドラマ「マンダロリアン」はとても評価が高いです。
今月27日からユアン・マクレガー主演のドラマ「オビ=ワン・ケノービ」も配信されます。
ぜひ、こちらも機会があれば観てみたいと思っております。
最後にきれい事ですが、この物語は遙か昔の遠く離れた銀河系の物語です。
しかし、映画で描かれたような人と人が争い、命を奪う戦争が今、この惑星で起こっております。
本作で語られたように「怒りや憎しみは悪を生みだしてしまう」。
ウクライナの人たちに平穏で安らかな生活が戻ることを心から願い、この言葉で締めたいと思います。
最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
「フォースと共にあらんことを・・・」。