『ハウス・オブ・グッチ』
原題:House of Gucci
2021年製作/アメリカ映画/上映時間:159分/PG12/2022年1月14日日本公開
監督:リドリー・スコット
出演:レディー・ガガ
ジャレッド・レト ほか
『ブレードランナー』の巨匠リドリー・スコット監督が、ファッションブランド「GUCCI(グッチ)」の創業者一族の崩壊を描いたサスペンス・ドラマです。
2022年・第94回アカデミー賞において、メイクアップ&ヘアスタイリング賞に、2022年・第79回ゴールデングローブ賞において、主演女優賞(ドラマ部門)にレディー・ガガがノミネート。
また、2022年・第42回ゴールデンラズベリー賞(ラジー賞)において、ジャレット・レトが最低助演男優賞を受賞。
あらすじ
貧しい家庭出身の野心的なパトリツィア・レッジャーニ(レディー・ガガ)は、とあるパーティーで世界的ファッションブランド「グッチ」創業者の孫であるマウリツィオ・グッチ(アダム・ドライヴァー)と出会う。互いに惹かれ合うようになった二人は、周囲の反対を押し切って結婚。やがて、セレブとしての暮らしを満喫する彼女は一族間の確執をあおり、グッチ家での自分の地位を高めブランドを支配しようとする。そんなパトリツィアに嫌気が差したマウリツィオが離婚を決意したことで、危機感を抱いた彼女はある計画を立てる。
(シネマトゥデイより)
サラ・ゲイ・フォーデンのノンフィクション小説「ハウス・オブ・グッチ」を原作に、グッチ一族の確執と3代目社長マウリツィオ・グッチ暗殺事件を描いたサスペンス・ドラマです。
グッチ家を崩壊に導く女性を『アリー/スター誕生』などのレディー・ガガ、その夫マウリツィオを『スター・ウォーズ』シリーズなどのアダム・ドライヴァーが演じるほか、アル・パチーノ、ジャレッド・レト、ジェレミー・アイアンズ、サルマ・ハエックらが共演。
BDにて鑑賞。
初めての鑑賞になります。
特に「これっ!」と決めたいたワケでは無く、気分で選びました。
本当にどうでもいいことですが、本日、私の誕生日なんですよね。
なので、最初は上映時間短めのホラー映画に・・・と思っていたのですが、せっかくの誕生日なので、尊敬する映画監督の作品をという気持ちもありました。
貧しい家庭出身だが野心的なパトリツィア・レッジャーニは、イタリアで最も裕福で格式高いグッチ家の後継者の一人であるマウリツィオ・グッチをその知性と美貌で魅了し、やがて結婚します。
しかし、次第に彼女は一族の権力争いまで操り、強大なファッションブランドを支配しようとする。順風満帆だったふたりの結婚生活に陰りが見え始めた時、パトリツィアは破滅的な結果を招く危険な道を歩み始めます・・・。
製作が公開の1年前と計算して、83歳でこれだけの創作力があり、そして、こんな面白い映画を作ってしまうリドリー・スコット監督に脱帽です。
グッチもティファニーもシャネルも持っておりませんし、興味も無いのですが、それがタイトルについている映画は観てしまうというわたくし。
本作はファッションモード版『ゴッドファーザー』のような作りになっていて、グッチというブランドに疎い自分も楽しめる作りで良かったです。
いきなり「コンニチハ」と日本語を話しながら登場するアル・パチーノ。
グッチが”ゴテンバ”に出店することから日本語を勉強中という設定。
それこそ、本家”ゴッドファーザー”は歳は取っちゃいましたが、貫禄十分。
そのパチーノのバカ息子をヅラをつけて好演した(と思うのですが)ジャレッド・レト。
ラジー賞から愛されて、スタローン同様、映画に出演すれば必ずノミネート、そして受賞。
本年度も『モービウス』で最低主演男優賞を受賞。
本作で最低助演男優賞を受賞したことは鑑賞前から知っていたのですが、「そんなに酷い演技だったかな~?」と思いながら観ておりました。
オスカー受賞の『ダラス・バイヤーズクラブ』には及びませんが、この演技が最低なら、日本映画を観ている自分は「これより酷い」と思う演技をする方々を多く知っているので、ジャレッド・レト、少し気の毒かな?
この年、同じリドリー・スコットの『最後の決闘裁判』からベン・アフレック、ほかにメル・ギブソンもノミネート。
このお二人もラジー賞に愛されておりますね。
レディー・ガガの演技を初めて観ました。
『アリー/スター誕生』未見なので。(ほかの2つの『スター誕生』も観ておりません)
シンガーとしての顔では無く、完全に女優になっていたと思いました。
普通でしたら、当然彼女の歌をラストのエンドクレジットの時の主題歌を担当してもらうところですが、リドリー・スコットはそのようなことはしませんでした。
完全に女優として彼女を起用していた姿勢がまた凄いな~と思いました。
彼女の歌が聴けないのは少し寂しいですが、音楽の使い方がいつものリドリー・スコットらしからぬところがあり、そこもまた良かったですね。
物語の舞台となる1980年前半のヒット曲から、イタリアにちなみ、オペラ曲を多用し、それが上手くハマっておりました。
9月18日がお誕生日だった(1948年)ジェレミー・アイアンズ。
病気で死んでしまう役でしたが、出演シーンの最後の方がかなりヤバそうなお顔でリアリティがありました。
お綺麗な方にそのようなメイクができない・・・と言った理由か分かりませんが、前回紹介した映画と大違い。
まあ、石原さとみさんが悪いワケでは無いのですが。
一般庶民には理解し難い巨万の富で築き上がられた、ハッキリ言ってキモい帝国の権力を巡る骨肉の争い。
不謹慎な言い方ですが、これほど面白いと思える対岸の火事はありません。
シェイクスピアの「マクベス」の時代から描かれていた、このような争い。
一見最初はロマンチックな出会いでいいムードだったカップルが、どんどん泥沼につかっていく(本当に泥風呂に入るシーンもありました)夫婦の行方は・・・。
貧し家庭に育ったパトリツィアが初めて屋敷に招かれたとき、クリムトの絵を見て「ピカソは初めて」と言ってしまい周囲から白い目で見られるところから、この結末が予定されていたかのように感じてしまいました。
いつもながら、アダム・ドライヴァーは安定した演技力でした。
”グッチ”という家庭、血を受け継ぐことのため、争いを繰り返し、”グッチ”はその血を失ってしまう。
また、血縁者以外に株は譲渡しない・・・という展開は今日(こんにち)日本で話題になっているJ事務所そっくりでした。
藤島さんと東山新社長にぜひとも本作観てもらいたいですね。
ハッピーな気分になる映画ではありませんが、演出がすばらしく2時間40分アッと言う間でした。
グッチの偽物を複製(レプリカ)と言い、白い鳩が登場するところは、リドリー・スコットの遊び心なのかな~と勝手に思ってしまいました。(笑)