『ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち~』
2021年製作/日本映画/上映時間:114分/G/2021年6月18日日本公開
監督:飯塚健
出演:田中圭
土屋太鳳
山田裕貴 ほか
1998年長野五輪でのスキージャンプ団体の金メダル獲得を陰で支えたテストジャンパーたちの知られざる実話を描いた作品です。
テレビドラマ「あなたの番です」などの田中圭が主演し、『ライヴ』などの山田裕貴らが共演。
監督は『荒川アンダー ザ ブリッジ』、『虹色デイズ』の飯塚健。
あらすじ
1998年の長野オリンピック。スキージャンプ元日本代表の西方仁也(田中圭)は、ラージヒル団体で金メダルを狙う日本スキージャンプチームのエース原田雅彦のジャンプを見つめていた。西方と原田は前回のリレハンメルオリンピックに代表選手として参加し、ラージヒル団体では金メダルまであと少しだったが、原田のジャンプ失敗により銀メダルで大会を終えていた。西方は4年後の長野オリンピックを目指すが、腰の故障で代表を逃す。
(シネマトゥデイより)
1998年の長野オリンピックで、スキージャンプラージヒル団体金メダルに輝いた日本代表の活躍の舞台裏を描いたドラマです。
選手を支えた25名のテストジャンパーたちの物語が綴られます。
BDにて鑑賞。
初めての鑑賞になります。
Amazonプライムビデオで違う日本映画を鑑賞予定でしたが、ネットがまったく繋がらなくなり、断念。
代わりに寝かせていた本作を選びました。
田中圭さん&土屋太鳳嬢共演作を観るのはホラー映画を観る前のような怖さがありましたが・・・。
1998年長野五輪。日本スキージャンプチームは国民の期待を一身に背負ってラージヒル団体で日本初の金メダルを狙っていた。そこに、エース原田のジャンプを特別の想いで見守る男がいた。 それは元日本代表・西方仁也だった。
前回大会・リレハンメル五輪で西方は原田とともに代表選手として出場。西方は日本代表最高飛距離135mを飛び、金メダル目前だったが、原田がジャンプを失敗。銀メダルに甘んじた。西方は4年後の長野五輪での雪辱を誓い練習に打ち込むが、腰の故障により代表を落選。
悔しさに打ちひしがれる中、テストジャンパーとして長野五輪に参加して欲しいと依頼される。テストジャンパーとは、競技前にジャンプ台に危険がないかを確かめ、競技中に雪が降った際には何度も飛んでジャンプ台の雪を踏み固めるジャンパーのこと。
西方は裏方に甘んじる屈辱を感じながらも、様々な思いを抱えて集まっていたテストジャンパーたちと準備に取り掛かる。そして、五輪本番。団体戦の1本目のジャンプで、またしても原田が失敗。日本は4位に後退してしまう。
しかも猛吹雪により競技が中断。このまま競技が終れば、1 本目のジャンプの結果のみで順位が決定してしまう。そんな中、審判員たちの判断は、「テストジャンパー25が全員無事に飛べたら競技再開する」というものに。 奇しくも、日本の金メダルへの道は、西方率いる25人のテストジャンパーたちへ託されたのだった・・・。
1998年の長野オリンピック・スキージャンプ団体金メダルの裏に隠された裏方たちの活躍を描いた作品でした。
期待値が低かったこともあり、とても良かったと感じました。
わたくしの個人的なことですが、自分が生まれて初めての母国開催による冬期オリンピック。
そして、1998年の夏に父が他界しているので、一緒に観戦した最後のオリンピックでした。
それだけに思い入れも強い冬季オリンピックでした。
冬期オリンピックとなると、やはり花形スポーツである女子フィギュアスケートに目が行きがちですが、ラージヒルスキージャンプ団体というスポーツにここまで熱くなったのも初めてだった気がいたします。
映画は西方仁也選手にスポットライトを当てた作りになっております。
1994年リレハンメル五輪の団体戦で日本代表を牽引するが惜しくも金メダルを逃し、長野五輪での雪辱を誓うも腰の故障により代表を落選してしまい、テストジャンパーとして裏方の仕事に就く姿が描かれます。
映画は「魂」、「絆」、「友情」、「根性」と言った昭和感あふれる作りで、正直いかにも日本人に好感が持たれる作りになっておりました。
自分も感動いたしましたが、それは本作が実話であること、そして実際長野オリンピックを観戦していたからだと言えます。
これがフィクションだったら、「古臭い作りだな~」と怒っていたかもしれません。
映画を観ているときは感じなかったのですが、本作はJOC(日本オリンピック委員会)が関わっており、東京2020を盛り上げようと2020年6月公開・・・のはずだったのですが、オリンピックがコロナ2019で延期。
それに伴い映画も公開延期。
映画には耳の聞こえない聾のテストジャンパーや、当時はまだ女子ジャンプ競技がオリンピックに認められておらず、「裏方の仕事でいいからオリンピックに関わりたい」と願う女性ジャンパーが登場いたします。
これらの人たちが実際テストジャンパーの中に存在していたのであれば、何も問題ないのですが、映画用のフィクションだと、いかにも美談連発で(悪い意味で)「日本映画らしさ」全開に感じてしまいました。
その女性ジャンパーを日向坂46の小坂菜緖さんが演じております。
絶賛するほどではありましたが、平均点の演技はしていたと思いました。
日本4位の中、悪天候により競技は一時中断に。
審判員の「テストジャンパー25人全員が無事飛行できたら競技再開」という判断に古田新太さん演じるコーチが「お断りします。選手を危険にさらすワケにはいかない」と正論を言います。
しかし、テストジャンパーは日本にメダルを・・・という思いから、「絶対成功させてみせます。飛ばせてください」と泣きのお願い。
命の危険もあるテストジャンプの挑むジャンパーたち。
その姿はまるで神風特攻隊。
この時代錯誤的な演出は、少し気になってしまいました。
悪い映画ではありません。
本来、陽の当たらない裏方の仕事にスポットライトを当てているところは良かったと言えます。
ただ、娘を迎えに北海道(だったっけな?)から来る父親のエピソードや聾のテストジャンパーのいびきを全員で笑うなど、いらないシーンも多かったです。
逆に猛吹雪の中にも関わらず、選手や観客誰の頭や顔、体に雪が着いていないというところに違和感が・・・。
個人的には土屋太鳳嬢の出演シーンが少なかったところが一番良かったと思いました。
(酷いな~)
・・・ですが、先日『嘘喰い』を観て、彼女より酷い演技をする方の存在を知り、「下には下がいる」ことを認識いたしました。
(白石麻衣さんファン多いので殺されてしまいます)
映画は船木選手や原田選手ら、当時のメダリスト、そして西方選手も監修に当たっております。
なので、当然ですが、登場人物全員いい人だらけです。
そこをどう捉えるかで評価が分れる作品だと思います。