One today is worth two tomorrow.

当ブログへ起しいただき、心から感謝いたします。映画の感想やスポーツ観戦の記事、写真中心のブログです。

『アムステルダム』

アムステルダム

原題:Amsterdam

 

2022年製作アメリカ映画/上映時間:134分/G/2022年10月28日日本公開

 

監督:デヴィッド・O・ラッセル

出演:クリスチャン・ベイル

   マーゴット・ロビー

   ジョン・デヴィッド・ワシントン ほか

 

アメリカン・ハッスル』などのデヴィッド・O・ラッセル監督が、1930年代のニューヨークを舞台に巨大な陰謀に巻き込まれる3人組の行く末を描いたクライムミステリーです。

第1次世界大戦の戦地で親友になった3人が、殺人の容疑を晴らそうと奔走する姿が描かれます。

 

あらすじ

 

1930年代のアメリカ・ニューヨーク。医師のバート(クリスチャン・ベイル)と弁護士のハロルド(ジョン・デヴィッド・ワシントン)、アーティストのヴァレリーマーゴット・ロビー)は第1次世界大戦の戦地で出会い、終戦後にアムステルダムで友情を確かめ合っていた。ところが、バートとハロルドが殺人事件の容疑者となってしまい、3人は無実を証明するため、ある作戦を企てる。

シネマトゥデイより)

 

世界にひとつのプレイブック』のデビッド・O・ラッセル監督が、クリスチャン・ベイルマーゴット・ロビー、ジョン・デヴィド・ワシントンらキャストを迎え、ある巨大な陰謀に巻き込まれた3人の男女の姿を描いたクライムストーリーです。

共演にラミ・マレックロバート・デ・ニーロクリス・ロック、アニャ・テイラー=ジョイ、ゾーイ・サルダナマイク・マイヤーズマイケル・シャノンテイラー・スウィフトら豪華キャストが多数。

 

Disney+にて鑑賞。

初めての鑑賞になります。

 

本当は今月30日のベイルのお誕生日に鑑賞予定でしたが、1月4日に発表されたアメリカのバラエティが選ぶ「2022年のワースト映画10本」で同誌の映画評論を担当するオーウェン・グレイバーマン氏が本作をワースト1に選び、そのニュースを聞いて、「これは急いで観なければ」と思い(←普通は思わない)、今回は本作を選びました。

 

ベイルのお誕生日は昨年お祝いいたしましたので・・・。(でも、機会があれば)

 

1930年代のニューヨーク。かつて第1次世界大戦の戦地で知り合い、終戦後にオランダのアムステルダムで一緒の時間を過ごし、親友となったバート、ハロルド、ヴァレリー。3人は「何があってもお互いを守り合う」と誓い合い、固い友情で結ばれていた。

 

ある時、バートとハロルドがひょんなことから殺人事件に巻き込まれ、容疑者にされてしまう。濡れ衣を着せられた彼らは、疑いを晴らすためにある作戦を思いつくが、次第に自分たちが世界に渦巻く巨大な陰謀の中心にいることに気づく・・・。

 

途中寝ることも無く、早送りすることも無く、しっかり最後まで鑑賞いたしました。

う~ん、年間ワースト1ほど酷いとは思わなかったですが、たしかに面白く無かった。

ラッセル監督の作品は『ザ・ファイター』、『世界でひとつの~』、『アメリカン・ハッスル』、そして劇場未公開作品の『ジョイ』と観てきましたが、間違い無くこれが一番酷かった。

 

”ほぼ実話”のテロップから始まる本作。

どこまでが事実なのかは分かりませんが、最初の印象はセリフ劇なのですが、会話は弾まない、面白味が無い、正直言ってギャグが寒い。

字幕スーパーでは実際言っていることの1/3くらいしか伝えられないと聞いたことがありますが、英語が分かるアメリカの評論家がワースト1にするくらいですから、言語分かっても面白く無いのではないでしょうか?

 

凍える寒いギャグに笑えず、会話や描写での悪趣味なところに少し気分が悪くなりました。

マーゴット・ロビー演じる第1次世界大戦での医師(だったのかな?)が負傷した兵士の体から弾丸を取り出し、それを集めて溶接し奇妙なカタチのティーカップ作ってお茶飲む・・・って、これ実話なんでしょうか?

だったら、この感覚凄すぎ。

違ったら、実在した人への冒涜。

 

『TENET テネット』のときと同様、このジョン・デヴィッド・ワシントン、なぜにこんなに重宝に映画に使われているのか分かりませんでした。

演技力もあるとは思えないですし、魅力も無い。

表情の乏しさが致命的。

お父さん(デンゼル・ワシントン)とは雲泥の差。

まあ、スパイク・リーはお父さんとの関係で仕方ないかなとは思いますが、ノーランやラッセル監督ほどの人がこんな面白く無い俳優を主役級で起用する理由が分かりません。

 

では、ほかの俳優はどうでしたでしょうか?

まず驚いたのがテイラー・スウィフト

登場して3分くらいであっさり退場。

演技には問題無かったので、気の毒に思いました。

『キャッツ』といい映画に恵まれないので、シンガー一筋で行った方がいいのでは?

 

昨年のアカデミー賞授賞式の主役の一人だったクリス・ロック

まあ、演技もキャラクターもまったくダメ。

ビンタされて当然(とまでは言いません)。

救いは出演シーンが少なかったところ。

 

ほかの超豪華キャストもほとんどが面白く無いキャラクターばかり。

これだけすばらしい俳優揃えて日本の○本新喜劇のようなギャグかまされては暖房も効果がありせんでした。

 

こんなつまらないマイケル・シャノン観るの初めてです。

 

・・・ただ、その中でもさすがの貫禄を魅せたのがデ・ニーロ。

彼の演じるギル将軍(ギル教授・・・じゃないのね?)は物語の重要なキャラで、しっかりとした演技で仕事を全うしていたと思います。

 

ファンだからそう観えてしまったのかもしれませんが、アニャ・テイラー=ジョイも良かったと思いました。

マーゴット・ロビーが(彼女のキャリアの中では)イマイチだったせいで、余計際立った感じがいたしました。

多少オマケでラミ・マレックもまずまずだった。

 

そして、製作も兼任しているクリスチャン・ベイル

彼は絶対裏切らないですね。

ベイルが主演で無かったら観ていられない映画だったと思います。

 

意味の無いセリフのオンパレードで、何が言いたいのか、何を描きたいのかが分からない。

ここがバラエティでワースト1に選ばれた理由にもなっておりましたが、本当に「分かる人教えて~」と思ってしまいました。

 

濡れ衣を着せられた殺人事件の裏に存在するある組織。

そこが”世界征服”を企む・・・などとセリフで出てきたときは”原作・石ノ森章太郎”と出てきてもおかしくないと思ってしまいました(ギルというキャラも登場しますし)。

・・・ただ、そうした陰謀を暴く物語でありながら、ミステリーとしては盛り上がらず、真相が判明したときも、「はぁ~、(ため息)また○チか」というガッカリ感。

(この時代の秘密結社じゃナ○以外あり得ませんが)

 

ワシントンは別として、クリスチャン・ベイルマーゴット・ロビーが主演でここまで魅力の無い映画もある意味凄い。

無能の監督の作品ならいざ知らず、そうでも無い。

高級食材を一流シェフが料理し、出てきた料理が近所の定食屋の日替わりランチより不味かった・・・みたいな(分かりづらい表現)映画でした。

 

民主主義の意義を表すデ・ニーロの演説シーンは大きな意味のあるものだったと思います。

本当にデ・ニーロに助けられた作品ですね。

 

劇中、セリフに鳥の”カッコー”(cuckoo)という言葉が使われますが、これは別の意味で「正気じゃない」、「頭のおかしい」という意味も持っております。

映画『カッコーの巣の上で』はこちらから来ております。

 

 

 

『EUREKA/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』

『EUREKA/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』

 

2021年製作/日本映画/上映時間:116分/G/2021年11月26日日本公開

 

  監督:京田知己

声の出演:名塚佳織

     遠藤璃菜

     小清水亜美 ほか

 

2005年に放送開始されたテレビアニメ「交響詩篇エウレカセブン」を新たによみがえらせた劇場版3部作『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』の完結編です。

監督は第1作で総監督、第2作で監督を務めた京田知己

ボイスキャストには名塚佳織遠藤璃菜小清水亜美森川智之など。

 

あらすじ

 

エウレカが作った“スカブコーラル”の中の仮想世界が崩壊して10年後の地球。崩壊時に姿を現した仮想世界の人類と、旧来の地球人類の間では衝突が続いていた。混乱の元凶となったエウレカは国連の独立師団無任所部隊A.C.I.D.(アシッド)の上級戦闘員となり、世界の平和のために戦っていた。ある日、エウレカはかつての自分と同じように、スカブコーラルを操る能力を持つ少女アイリスに出会う。

シネマトゥデイより)

 

交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』の第2作から10年後の地球を舞台とする最終章です。

かつて地球に混乱をもたらす元凶となったエウレカが過去の自分と同じ能力を持つ少女と出会い、世界と彼女を守るために奮闘する姿が描かれます。

 

dTVにて鑑賞。

初めての鑑賞になります。

 

新年一発目の日本映画は『シン・ウルトラマン』・・・のつもりでしたが、同じAmazonプライムビデオで「仮面ライダーBLACK SUN」も鑑賞中で頭の中が西島秀俊さん祭りになりそうなので、今月で解約するdTVで今月から配信されている本作を先にと選びました。

このブログの映画レビュー、初のアニメーション映画です。

よろしくお願いいたします。

 

エウレカが作り上げた情報生命体・スカブコーラルの中の仮想世界が崩壊し、仮想世界の人々が地球上に姿を現してから10年。

 

仮想世界の人類は「グリーンアース」、旧来の地球人類は「ブルーアース」を名乗り、水面下で衝突を繰り返していた。

 

グリーンアース軍の高官デューイ・ノヴァクは、仲間と共に大規模なテロ計画に乗り出す。

 

一方、混乱の元凶として世界中から憎まれるエウレカは、国連の独立師団無任所部隊A.C.I.D.の上級戦闘員となっていた。

 

ある日エウレカは、スカブコーラルを操る能力を持つ新たな“EUREKA”の少女アイリスを保護するよう命じられる・・・。

 

2005年に放送開始されたテレビアニメ「交響詩篇エウレカセブン」。

私は放映では無く、DVD-BOXを購入して鑑賞いたしました。

 

感想は正直、「新世紀エヴァンゲリオン」以降、多数作られた模倣作品の1本のように思えました。

 

・・・ですが、メカ、と言いますかロボットの動きが軽快で、空飛ぶスケートボード(『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』みたいな)に乗ったロボットが空を舞うシーンは美しさを感じました。

 

基本的に「ガンダム」などと同じロボットを使った戦争を扱った作品ですが、そんな中、レントン・サーストンという、どちらかと言うと三枚目の男の子がエウレカという美少女と出会い恋に落ち、「彼女を守ろう」というボーイミーツガールの面白さがありました。

 

シリーズは全50話と少し長め。

多少中だるみはありましたが、とにかくレントンエウレカの清く美しい愛が心に染みる作品でした。

この時点で『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』はまだ製作されていなかったので、「新世紀エヴァンゲリオン」と比べ、清々しい気持ちの残る作品だった印象を受けました。

 

作品は大ヒット、高評価を受けました。

それに調子に乗ってやらかしてしまったのが、テレビシリーズのパラレルワールド的なストーリーの2009年製作の劇場用アニメーション『交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい』。

テレビシリーズにあった温かみが消え去り、レントンが乗るロボット=ニルヴァーシュはカッコ悪くなるという有様。

作品もつまらなかった・・・。

 

2012年から放映されたテレビシリーズの続編「エウレカセブンAO」は酷評の嵐のうえ、まったく話題にならず。(私も未見)

 

そして2017年、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』にあやかってとしか思えませんでしたが、テレビシリーズを再構築して新たな3部作として『ハイエボリューション』の製作が決まりました。

 

『ポケ虹』、「AO」の二の舞はご免(「AO」は観ていないので偉そうなことは言えませんが)と期待しての第1作鑑賞。

・・・こ、これは酷い。

ほとんどテレビシリーズの映像の使い回し。(テレビシリーズがまだ4:3サイズだったので、映画館でこのサイズは辛い)

しかもエウレカとの絡みの話し一切無し。

ほかの方の感想なども拝読いたしましたが、ほとんどの方が大ブーイングでした。

しかも映画は興行的に大コケ。

後2作、作られるのか不安になりました。

 

2作目、アネモネというキャラクターをメインにした『ANEMONE/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』が2018年に公開。

しかし、1作目の酷さから映画館へ行くのためらい、結局Amazonプライムビデオにて鑑賞。

全編書き下ろしになっていたのは良かったですが、今度はレントンがまったく登場せず。(死んじゃったことになっていた)

 

そして最終章となる本作。

今度こそ、今度こそ私たちが観たかった『エウレカセブン』を観せてくれ・・・と願う気持ちで鑑賞。

冒頭の配給会社や協賛メーカーの中にパチンコメーカーの名前があり、少し不安感が・・・。

 

最初の方にニルヴァーシュが登場いたしましたが、『ポケ虹』や全2作よりは近いものにはなっておりましたが、「これじゃ無い」感いっぱい。

 

作中、やたら登場する協賛メーカーの広告。

そちらが気になってストーリーに溶け込めないシーンもありました。

ですが、エウレカアネモネの活躍はそこそこ楽しめました。

 

新たなEUREKAになる少女を追うデューイ・ノヴァク。

彼がターミネーターそっくり過ぎて笑うしか無かった。

1作目では辻谷耕史さん、2作目では藤原啓治さんが演じておりましたが、お二方とも亡くなられてしまい、本作では山寺宏一さんが演じております。

山寺さんの演技には問題ありませんが、玄田哲章さんの方が似合っていたのでは?と思ってしまいました。

 

新キャラのアイリスはそれなりに可愛かったですが、テレビシリーズのエウレカには及ばなかった。

 

映像は良かったと思いました。

ですが、全体的に画面は暗め。

 

強靱エウレカの活躍は面白さがありましたが、やはりレントン不在はストーリー的に盛り上がりません。

 

終盤になると「どこかで観た気が」と思うシーンの連発。

恋人のお腹に子どもを残し、特攻して自爆するホランド

公開が同じ年なのでパクリでは無いと思いますが、『シン・エヴァンゲリオン~』のミサトさんそっくり。

 

巨大宇宙船を地球へ落下させる。

それが通過した都市は消滅してしまう。

・・・これっ、どう観ても『逆襲のシャア』のアクシズ落としでしょ?

 

当然、それは阻止されるのですが、その後登場する○ートがまんまサイコフレーム

サンライズが参加していたから問題無かったのかもしれませんが、ここまでパクられると富野監督、相当お怒りなのではないでしょうか?

 

交響詩篇エウレカセブン」で描かれたレントンエウレカの愛はそれこそちっぽけでポケットに収まるくらいなものでありながら、優しさと温もりが感じられ、本当に大切にしたいと思う、そんなものが描かれた作品だったと思います。

 

ロン毛の綾波レイの登場だけでファン感涙ものだった『シン・エヴァ~』のように再構築して「良かったな~」と思えるものがこの3部作通じて1つも無かったのが悔やまれます。

やはり「エウレカセブン」はレントンエウレカの物語であってもらいたかったです。

 

ですが、名塚佳織さん、小清水亜美さんの名演はすばらしかったです。

そして、惜しまれつつ亡くなられた辻谷耕史さん、藤原啓治さんに哀悼の念を込め、心からのご冥福をお祈りして、この記事を終えたいと思います。

とんでもなく長い記事になってしまいました。

 

 

 

『モーリタニアン 黒塗りの記録』

モーリタニアン 黒塗りの記録』

原題:The Mauritanian

 

2021年製作/イギリス映画/上映時間:129分/G/2021年10月29日日本公開

 

監督:ケヴィン・マクドナルド

出演:ジョディ・フォスター

   タハーム・ラヒム

   ベネディクト・カンバーバッチ ほか

 

悪名高きグアンタナモ収容所に収監されたモーリタニア人の青年と、彼を救うべく奔走する弁護士たちの姿を、実話を基に描いたサスペンスドラマです。

弁護士たちが、アメリカ軍のグアンタナモ収容所で何年も投獄生活を送るモーリタニア人青年の弁護する姿が映し出されます。

監督は『ラストキング・オブ・スコットランド』などのケヴィン・マクドナルド

 

あらすじ

 

モーリタニア人のモハメドゥ(タハール・ラヒム)は、アメリ同時多発テロの容疑者として、キューバにあるアメリカ軍のグアンタナモ基地に収容されていた。彼の弁護を引き受けた弁護士のナンシー・ホランダー(ジョディ・フォスター)とテリー・ダンカン(シェイリーン・ウッドリー)は、真相解明のため調査を開始する。彼らに相対するのは、軍の弁護士であるステュアート中佐(ベネディクト・カンバーバッチ)だった。

シネマトゥデイより)

 

ハメドゥ・ウルド・スラヒの著書を原作に描くサスペンスです。

フライトプラン』などのジョディ・フォスター、『ダイバージェント』シリーズなどのシェイリーン・ウッドリー、『エジソンズ・ゲーム』などのベネディクト・カンバーバッチらが出演。

 

Amazonプライムビデオにて鑑賞。

初めての鑑賞になります。

 

期間限定レンタル¥100だったので、ジョディ・フォスターお目当てでレンタルいたしました。

評価が高めだったので、少し期待値上げての鑑賞でした。

 

弁護士のナンシー・ホランダーとテリー・ダンカンは、モーリタニア人青年モハメドゥの弁護を引き受ける。アメリ同時多発テロに関与した疑いで逮捕された彼は、裁判すら受けられないまま、拷問と虐待が横行するキューバグアンタナモ米軍基地で地獄の日々を送っていた。

 

真相を明らかにするべく調査に乗り出すナンシーたちだったが、正義を追求していくうちに、恐るべき陰謀によって隠された真実が浮かび上がる・・・。

 

21世紀最初の年。

2001年の9月11日、とてつもない惨劇が起こりました。

その光景はまさに地獄絵図で、まだブラウン管だったテレビでそれを観ていた自分は「これは映画の映像であってほしい」と願ってしまいました。

 

あの映像を観た世界中の人たちは一般人を巻き込み、多くの人命を奪った”アルカイダ”を憎んだと思います。

しかし、世界同時多発テロ事件の後、このようなことが行われていたことは知りませんでした。

本作は「真実の物語」です。

信じられないほど恐ろしい・・・。

 

キューバにあるグアンタナモ米軍基地に収容されていた青年モハメデゥは9・11首謀者として14年間ものあいだ不当な拘束をされてしまいます。

確固たる証拠を手に入れるため、精神と肉体による拷問による「自白」を強要されてしまいます。

このシーンは観ていて、胸が痛みました。

 

「モハメデゥを守る」(彼を弁護する)という行動はアルカイダの人間を助けようとすると取られ、アメリカでは「裏切り者」の罵られてしまいます。

それでも彼の弁護に奮闘するジョディ・フォスター演じるホランダーの姿がすばらしく感じます。

 

ジョディ・フォスターが本作でもすばらしい演技を披露しております。

正直、「老けちゃったな」とは思いましたが、逆に自然で良かったと思いました。

不自然に改造手術・・・じゃなかった整形手術を受けた(誰とは書きませんが)女優さんより好感が持てます。

かなりのどアップもありますが、しわを隠そうとしない姿勢はまさにプロ。

 

カンバーバッチも良かったです。

イギリス人のカンバーバッチが米軍の中佐を演じていることに、いろんなことを考えさせられます。

映画とは言え、アメリカ人俳優は「裏切り者」を演じることに抵抗があったのではと思ってしまいました。

それにより出演を断ることは決して悪いとは思いませんが、この役を見事演じきったカンバーバッチには敬服いたします。

 

ドラマのセリフではありませんが、「やられたら、やり返す」。

本当にそれが正しいことなのか考えさせられました。

殴られた痛みを何倍にもしてやり返す。

それは正義と言えるのでしょうか?

 

とても重く、見応えのある映画でした。

最後にモハメデゥ本人の映像が流れ、「アラビア語で自由と赦しは同じ言葉。だから私は誰も恨んでいない」という言葉に涙が出そうになりました。

 

9・11で亡くなられた多くの方のご冥福をお祈りいたします。

ですが、なぜ9・11が起こってしまったのか?

その標的が、なぜアメリカだったのか?

そんなことも考えさせられる映画でした。

 

ラムズフェ×ドがク○野郎だということは知っておりましたが、まさかオバ×もとは・・・。

アメリカの闇はあまりにも深い。

 

 

 

新春のお喜びを申し上げます

皆様おすこやかに新春をお迎えのことと存じます。
昨年は何かとお世話になりまして、大変ありがとうございました。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

令和5年 元旦

 

 

『355』

『355』

原題:The 355

 

2022年製作/イギリス映画/上映時間:122分/PG12/2022年2月4日日本公開

 

監督:サイモン・キンバーグ

出演:ジェシカ・チャステイン

   ペネロペ・クルス

   ダイアン・クルーガー ほか

 

『タミー・フェイの瞳』などのジェシカ・チャステインらが出演したスパイアクション映画です。

アメリカやドイツなどの諜報(ちょうほう)組織に所属する女性たちがチームを結成し、第3次世界大戦を引き起こそうとたくらむテロ組織に立ち向かう姿が描かれます。

 

あらすじ

 

ある秘密兵器の存在を追う、CIAのメイス(ジェシカ・チャステイン)。彼女は同じように秘密兵器を捜すドイツ連邦情報局のマリー(ダイアン・クルーガー)、MI6のコンピュータースペシャリストであるハディージャルピタ・ニョンゴ)、コロンビアの諜報(ちょうほう)組織に所属する心理学者グラシー(ペネロペ・クルス)、中国政府で働くリン・ミーシェン(ファン・ビンビン)と出会う。スパイチーム「355」を結成した彼女たちは、第3次世界大戦勃発をもくろむ国際テロ組織に戦いを挑む。

シネマトゥデイより)

 

ジェシカ・チャステインペネロペ・クルスら豪華キャストが集結し、世界各国の凄腕エージェントによるドリームチームの活躍を描いたスパイアクションです。

監督は『X-MEN:ダーク・フェニックス』のサイモン・キンバーグ。

 

Amazonプライムビデオにて鑑賞。

初めての鑑賞になります。

 

こちらも期間限定レンタル¥100だったので、ジェシカ・チャステインお目当てでレンタルいたしました。

 

格闘術を得意とするCIAのメイス、トラウマを抱えるドイツ連邦情報局のマリー、コンピューターのスペシャリストであるMI6のハディージャ、優秀な心理学者であるコロンビア諜報組織のグラシー、中国政府で働くリン・ミーシェン。秘密兵器を求めて各国から集まった彼女たちは、ライバル同士だったが互いの手を取り、コードネーム「355(スリー・ファイブ・ファイブ)」と呼ばれるチームを結成。世界を混乱に陥れるテクノロジーバイスの利用を画策する国際テロ組織を阻止するべく立ち上がる・・・。

プロデューサーも兼任したジェシカ・チャステインが女性が主役のスパイ映画を目指し製作されたアクション映画です。

ジェシカを始め、美女5人が第3次世界大会阻止のため奮闘する姿が描かれます。

“355”とは18世紀アメリカの独立戦争時代に実在した女性スパイのコードネームだそうです。

 

エリザベス・バンクスがヘンテコなものを作ったせいで『チャーリーズ・エンジェル』みたい・・・みたいな意見が多かったのですが、あちらは正確には最初からチームでロサンゼルスで活躍する私立探偵のお話し。

本作とはまったく違います。

 

こちらはアメリカのCIA、イギリスのMI6、ドイツ連邦捜査局など、それぞれが同じ相手を追う人物同士が「敵の敵は味方。助け合わないと」と言って手を組むお話し。

敵対し合うものが手を取るというのは、少年ジャンプ系女性アクション映画版と言った感じでしょうか?

 

ペネロペ・クルスの役の女性だけ、エージェントでは無く、その場にいて巻き込まれちゃったという設定。

普段はカウンセラーをやっていて、彼女だけご主人と子どもがおります。

どうでもいいことですが、子どもの名前なのですが、字幕では文字数の都合上「トマス」となっておりましたが、実際は「トマシーノ」と呼んでおりました。

・・・この名前を聞くと『ゴッドファーザー』の大ファンである私はなぜか血が騒いでしまいます。

 

オーシャンズ8』など、女性が主役で、チームで活躍するという映画ができることはとてもいいことだと思います。

 

また女性ならではの感情。

完全に冷酷非情にはなれない。

家族や恋人を人質に取られたとき、任務優先で見捨てることのできない弱さのようなものを描いていたところも面白く感じました。

 

監督のサイモン・キンバーグは『オデッセイ』、『デッドプール』、『LOGAN ローガン』などのプロデューサーで名をはせた人として知られておりますが、ご自身で監督した『X-MEN:ダーク・フェニックス』は『X-MEN』の大ファンからかなり嫌われた作品として有名です。

 

プロデューサーとしては一流でも監督としては・・・という人は多いですが、この監督もその一人と言っていいと思います。

演出が単調でメリハリがありません。

いい女優を揃えていながら、それぞれの個性が描ききれていないというところは残念に思いました。

特にジェシカ・チャステインはオスカー受賞後が「これっ?」というガッカリ感強かったです。

 

敵組織のザコキャラがショッカーの戦闘員のように同じ顔・・・みたいに、なぜか全員スキンヘッド。

「あいつ、さっき倒したのに。あっ、違うヤツか?」みたいな錯覚に陥るときもしばしば。

 

ジェシカ・チャステイン演じるメイスのボーイフレンド役のセバスチャン・スタン

こういう女性の敵・・・みたいなキャラが板についてしまいました。

 

なぜボンドやイーサンが独身なのかが分かる映画です。

もっといいシナリオでしたら、これだけの女優さんが揃っているので、テレビシリーズの方の「チャーリーズ・エンジェル」のような痛快な映画ができていたかもしれないと思うとちょっともったいない味つけの映画になってしまいましました。

 

ただ、男性には無い女性の強さなどは描けていたと思うところもあり、まったくダメというほど悪くも無かったかな?とも思っております。

 

やはり女性(女子)5人組は「セーラームーン」には敵わないな~と思う今日このごろでした。

 

 

 

年内の記事はこれが最後になります。

2022年、1年間、本当にありがとうございました。

良いお年を。

 

『マリグナント 狂暴な悪夢』

『マリグナント 狂暴な悪夢』

原題:Malignant

 

2021年製作/アメリカ映画/上映時間:111分/R18+/2021年11月12日日本公開

 

監督:ジェームズ・ワン

出演:アナベル・ウォーレス

   マディー・ハッソン

   ジョージ・ヤング ほか

 

死霊館」ユニバースを生み出し、『ソウ』や『インシディアス』シリーズなど数々のホラーを手がけ、『アクアマン』などアクション超大作も大ヒットさせているジェームズ・ワン監督が、オリジナルストーリーで描くホラー映画です。

主演は『アナベル 死霊館の人形』のアナベル・ウォーリス。

 

あらすじ

 

マディソンは、あるときから目の前で殺人を目撃するという悪夢を見るようになる。超人的な能力で次々と犠牲者を殺めていく漆黒の殺人鬼による夢の中の殺人事件が、ついに現実世界でも起きてしまう。人が殺されるたびに、殺人現場を疑似体験するようになったマディソンに魔の手が忍び寄る。

シネマトゥデイより)

 

『アクアマン』などのジェームズ・ワンが製作と監督などを手掛けるホラー映画です。

殺人鬼による犯行現場を目撃するという悪夢に悩まされる主人公に、魔の手が・・・。

アナベル 死霊館の人形』などのアナベル・ウォーリス、『アイ・ソー・ザ・ライト』などのマディー・ハッソン、ジョージ・ヤング、ミコール・ブリアナ・ホワイトらが出演。

 

Amazonプライムビデオにて鑑賞。

初めての鑑賞になります。

 

期間限定レンタル¥100だったので、怖いもの見たさでレンタルいたしました。

 

ある日を境に、目の前で恐ろしい殺人が繰り広げられるのを目撃するという悪夢に苛まれるようになったマディソン。彼女の夢の中で、謎めいた漆黒の殺人鬼が、予測不能な素早い動きと超人的な能力で次々と人を殺めていく

 

やがてマディソンが夢で見た殺人が、現実世界でも起こるようになる。殺人が起きるたび、マディソンはリアルな幻覚かのように殺人現場を疑似体験し、少しずつ自らの秘められた過去に導かれていく。

 

そして邪悪な魔の手がマディソン自身に伸びてきたとき、悪夢の正体が明らかになる・・・。

 

出世作『ソウ』や『死霊館』などで知られるジェームズ・ワン監督のホラー映画です。

あまりホラー映画は観ないのですが、これは「凄かった!」と思わせる1本でした。

※R18+指定なので、かなりグロい写真も掲載いたします。苦手な方はご注意を。※

 

ホラー映画はエンターテインメントであると思うので、その部分は大成功だと思いました。

正直、『アクアマン』は途中退屈になって、最後の方はヘトヘト状態でしたが、本作はオープニングからラストまでノンストップで楽しめました。

 

ホラー映画はスティーヴン・キング原作の映画が好きです。

殺人鬼にも、何かもの悲しさのようなものがあり、社会への復讐のため殺人を繰り返す。

また『13日の金曜日』的な無差別殺人も、それはそれで「あり」かな?とも思っております。

 

孤児院から拾われて里親の下で育った主人公・マディソンが成人になり、結婚。

しかし、旦那がDVで過去2年間で3回流産を経験している。

そうした彼女の見る悪夢が現実のものになる姿が、情け容赦ない恐怖描写で映し出されていきます。

 

なぜ彼女にそのようなものが見えるのか?

幼いころ、会話していた架空の人物、ガブリエルとは何者なのか?

王道ホラー路線にミステリアスな要素を取り混ぜ、最後の最後までグイグイ引っ張っていく演出は上手かったです。

 

ジェームズ・ワンはマレーシア出身。

そのせいかもしれませんが、事件を追う刑事がアジア系だったり、登場人物はみんなトヨタ乗っていたりとアジアンテイスト満載。

刑事を演じた俳優さんがかなりイケメンさんなので、そういう楽しみもできる映画だと思いました。

 

殺害された人物は、すべてマディソンの過去が関わっていた。

はたして、マディソンの過去に何が起こっていたのか?

真犯人は?

 

謎解きやホラー映画としても面白いですが、強烈なブラックユーモアも良かったです。

留置場に入れられてしまったマディソンの前に謎の殺人鬼が現れる。

そこで、収監されていたビッ○どもを懲らしめるシーンは不謹慎ながら殺人鬼を応援してしまいました。

 

久々に面白いと思えるホラー映画に出会えたと感じました。

物語は比較的シンプルですが、映像が凝っていて良かったです。

 

『ホーム・スイート・ホーム・アローン』の記事を書いたときも思いましたが、絶対DVをするような男はダメですね。

 

30年前のビデオテープが普通に再生できる・・・などという野暮なことを言ってはいけないと思いつつ、ツッコミどころも満載なのがホラー映画の宿命。

VHSのビデオテープの登場は監督の『リング』へのオマージュ?

 

 

 

『やがて海へと届く』

『やがて海へと届く』

 

2022年製作/日本映画/上映時間:126分/PG12/2022年4月1日日本公開

 

監督:中川龍太郎

出演:岸井ゆきの

   浜辺美波

   杉野遥亮 ほか

 

彩瀬まるの同名小説を岸井ゆきの主演、浜辺美波の共演で映画化した人間ドラマです。

突然消息を絶った親友の不在を受け入れられずにいる女性が、親友が最後に旅した場所を訪れる姿が描かれます。

監督は『静かな雨』などの中川龍太郎

 

あらすじ

 

引っ込み思案の真奈(岸井ゆきの)と、自由奔放なすみれ(浜辺美波)は親友同士だったが、一人旅に出たすみれはそのまま行方知れずになる。親友がいなくなって5年が過ぎても、真奈は彼女の不在を受け入れられずにいた。そんな折、真奈はすみれと以前付き合っていた遠野から、すみれが大事にしていたビデオカメラを渡され、そこに残されていた彼女の秘密を知る。

シネマトゥデイより)

 

彩瀬まるの小説を原作にした人間ドラマです。

主演は『愛がなんだ』などの岸井ゆきの

その親友役に『君の膵臓をたべたい』などの浜辺美波

ほかに杉野遥亮、中崎敏、鶴田真由中嶋朋子、新谷ゆづみ、光石研が脇を固めます。

 

dTVにて鑑賞。

初めての鑑賞になります。

 

失効間際のポイントを利用しての鑑賞。

浜辺美波ちゃんお目当てです。

でも、主役では無いことは鑑賞前から知っておりました。

 

引っ込み思案な性格で自分をうまく出すことができない真奈は、自由奔放でミステリアスなすみれと出会う。2人は親友になったが、すみれは一人旅に出たまま突然姿を消してしまう。

 

すみれがいなくなってから5年、すみれの不在をいまだ受け入れることができずにいる真奈は、すみれを亡き者として扱う周囲に反発を抱いていた。

ある日、真奈はすみれのかつての恋人である遠野から彼女が大切にしていたビデオカメラを受け取る。カメラに残されていたのは、真奈とすみれが過ごした時間と、真奈が知らなかったすみれの秘密だった。

真奈はもう一度すみれと向き合うため、すみれが最後に旅した地へと向かう・・・。

浜辺美波ちゃんが出演している」・・・という理由だけでレンタルしたので、ストーリーなどはまったく知らないでの鑑賞でしたが、東日本大震災をテーマにした映画とは思いませんでした。

 

冒頭、クライマックスに水彩画のようなアニメーション映像が導入されます。

美しい映像とは裏腹に震災によって姿を消してしまった親友のことを連想させる切なく、とても残酷な描写になっていたと思いました。

 

面白いアイディアだとは思いましたが、逆を言えば実写映像では主人公の心情を描けなかったとも言えます。

本作は実写映画なので、肝心な場面にアニメーション映像というのは・・・という意見もあると思います。

ここは、好みが分れる気がいたしました。

 

「爽やか」、「清純派」などという理由から広○すずちゃんから嫌われている(とのウワサ)浜辺美波ちゃん。

今回は今までと違い、多少嫌なところのある女性を演じておりました。

 

暴力シーンもえっちぃシーンも無い本作がなぜにPG12指定なのか?

女性同士の友情物語と言うより、それを一線超えて多少百合が入っているからだと思います。

主演の岸井ゆきのさんと美波ちゃんのキスシーンが3回ほどありました。

ただ、完全なる百合映画とまでは言えず、岸井さん演じる真奈が友情以上の感情を美波ちゃん演じるすみれに抱いていた・・・と言った感じでしょうか?

 

真奈の働くレストランのオーナーが彼女との電話の数分後、自殺をするというシーンがあります。

あまりに唐突過ぎてビックリ。

人の死を見つめる的なテーマの映画で、1人では足りないと思って死なせてしまったのであれば、光石研さん、犬死にのように思えて仕方ありませんでした。

 

震災で大切な人を失ってしまった人たちの言葉をメッセージのようにビデオに残すというシーンがあるのですが、これがどういう意味を持っているのかがよく分からず。

登場する人はおそらく俳優さんでは無く、実際の被災者の方だと思うのですが・・・。

 

解釈を観客に委ねる的な日本人映画ファンが一番嫌いなタイプの映画です。

それを日本映画がやって成功したと言える例は『ドライブ・マイ・カー』くらいでしょうか?

 

浜辺美波ちゃんの大ファンで、彼女のショートヘアを観れただけで幸せなのですが、そうで無かったら、正直かなりキツい映画でした。

「人は人と寄り添いながら生きる」というメッセージが込められた映画だとは思うのですが、ひとつひとつのエピソードが薄口なのが残念な気がいたしました。

 

ラスト、すみれの遺品のビデオで今まで笑わなかった真奈が満面に笑みで彼女へメッセージを贈るシーン。

「笑顔であの世へ」という意味でしょうか?(それは『バットマン』のニコルソン=ジョーカーの名セリフです)