One today is worth two tomorrow.

当ブログへ起しいただき、心から感謝いたします。映画の感想やスポーツ観戦の記事、写真中心のブログです。

『キル・チーム』

『キル・チーム』

原題:The Kill Team

 

2019年製作/アメリカ映画/上映時間:88分/PG12/2021年1月22日日本公開

 

監督:ダン・クラウス

出演:ナット・ウルフ

   アダム・ロング

   アレクサンダー・スカルスガルド ほか

 

アフガニスタンで実際に起きたアメリカ軍兵士による民間人殺害事件を基に、戦場の現実を描いたドラマです。

監督はアカデミー賞短編ドキュメンタリー賞にノミネートされた『最期の祈り』などのダン・クラウス。

 

あらすじ

 

正義感と愛国心を胸にアフガニスタンに渡ったアンドリュー(ナット・ウルフ)は、爆死した上官の代わりに赴任してきたディークス軍曹(アレキサンダー・スカルスガルド)率いる部隊に所属することになる。歴戦の猛者として名高い彼に尊敬の念を抱くアンドリューだったが、ディークスが治安維持と称して証拠もなく民間人を殺害していた事実を知ってしまう。アンドリューが罪悪感に苦しむ様子に気付いたディークスは、彼の忠誠心に疑念を抱く。

シネマトゥデイより)

 

2009年に起きたアフガニスタンで米兵が一般市民を殺害していたという実話をベースにしたドラマです。

正義感と忠誠心のはざまで葛藤する主人公を『Death Noteデスノート』などのナット・ウルフ、彼の上官を『ターザン:REBORN』などのアレキサンダー・スカルスガルドが演じるほか、アダム・ロング、ロブ・モローらが出演。

 

Amazonプライムビデオにて鑑賞。

初めての鑑賞になります。

 

本日いっぱいで見放題終了とのことで、「戦争映画」ということで少し迷ったのですが、Amazonプライムビデオでしか観れないので、今回は本作を選びました。

 

正義感と愛国心に燃えアフガニスタンに渡ったアンドリュー。現地では地元住民を取り調べるばかりの退屈な日常が続いていた。だがある日、上官が地雷を踏んで爆死するのを目の当たりにして、自分のいる場所が常に死と隣り合わせであることを思い知る。

代わりに上官として赴任してきたのは、歴戦の猛者として名高いディークス軍曹だった。誇り高き軍人、力が支配する男たちの世界を体現するような彼に出会い、アンドリューの士気は高まっていく。しかし尊敬すべき軍人であるはずのディークスは、治安を守るためと称して証拠もなく民間人を殺害し続けていた。

 

その事実を知ってしまったアンドリューは、それでもなお捨てきれない軍人ディークスへの畏敬の念と良心の呵責に苛まれてゆく。一方、異変に気づいたディークスはアンドリューの忠誠心を疑い始める。事態が刻一刻と悪化していく中、アンドリューは最後の決断を迫られる・・・。

 

まるで自分が戦場にいるかのような息苦しさを感じる1時間30分。

恐怖と狂気に震えながらの鑑賞でした。

監督がドキュメンタリー映画を多く手がけていたこともあり、リアリティのある映画でした。

 

アメリカの軍人が民間人を殺害する映画は1986年のオリヴァー・ストーン監督の『プラトーン』、1989年のブライアン・デ・パルマ監督の『カジュアリティーズ』という傑作で描かれております。

この2作品は共にベトナム戦争を題材にしていて、ベトコン(ベトナム兵)と民間人の違いは明確なのですが、本作のアフガニスタンはかなり違います。

 

正義感と愛国心で出兵した主人公。

目の前で仲間の兵士が爆死したことで、「この国の奴らを皆殺しにして、火を放って焼き尽くしたい」と怒りをあらわにいたします。

 

序盤のシーンで仲間の兵士が「子どもを連れた男の乗った車がやってきた。これは問題ないと思い通したら、その車には大量の爆薬が搭載していやがった。あいつらはオレたちを殺すためなら子ども利用する」というセリフがあります。

クリント・イーストウッド監督の『アメリカン・スナイパー』(当ブログ2022年1月3日記事にしております)でも女性、子どもがロケットランチャーをアメリカ軍の戦車へ向けるシーンがありました。

この戦争は敵が武装しているのか?それとも本当にただの民間人なのか?という境目を判別するのが難しいものになっているところがベトナム戦争と違うと思いました。

 

もちろん戦場でも罪の無い民間人を殺害したとなれば、重ければ極刑も免れません。

しかし、その判断が難しいところがあるのも事実です。

「正しいことを行う」と内部告発するか?それとも周りに流されてしまうかの判断。

それは一歩間違えば、自分が味方に殺されてしまう可能性も秘めております。

 

印象に残る挿話として「良心の空砲」というものがあります。

これは、銃殺隊を例にあげ「怖気づく者のために、1丁の空砲を仕込む」というものです。

 

アレクサンダー・スカルスガルドがすばらしい演技を披露しておりました。

イケメンで冷血な軍曹を好演しておりました。

不謹慎かもしれませんが、彼が焼くステーキ(なんの肉かは謎)が妙に美味しそうに見えてしまいました。

 

軍曹は言い放ちます。

「誰が殺した(殺さなかったか)」という点ではなく「全員(チーム)で殺した」と・・・。

それは、もう戦場に足を踏み出した瞬間に人殺しの兵器になったと捉えられます。

 

戦場で兵士が行うことは殺戮です。

敵対する兵士を殺すことが仕事です。

ですが、民間人を殺せば”殺人罪”に問われます。

命を天秤で測る段階でここに正義というものは存在しないのではと思ってしまいました。

 

恐ろしく残酷なテーマの映画でしたが、しっかりとした作りで観て良かったと思っております。

アメリカ映画は自国の恥部を描くことができるところが凄いと思います。

日本映画じゃできないかな?

 

 

 

『SUNNY 強い気持ち・強い愛』

『SUNNY 強い気持ち・強い愛』

 

2018年製作/日本映画/上映時間:119分/PG12/2018年8月31日日本公開

 

監督:大根仁

出演:篠原涼子

   広瀬すず

   小池栄子 ほか

 

2011年に製作された韓国映画『サニー 永遠の仲間たち』を篠原涼子広瀬すずの主演、『バクマン。』の大根仁監督でリメイクした青春音楽映画です。

仲の良かったコギャルたちの22年後の姿を、1990年代の音楽やファッションを交えて描いていきます。

 

あらすじ

 

夫と高校生の娘と暮らす40歳の専業主婦、阿部奈美(篠原涼子)は、日々の生活に空しさを感じていた。一方、独身で39歳の社長・伊藤芹香は、ガンで余命1か月を宣告されてしまう。およそ22年ぶりに再会した芹香にもう一度みんなに会いたいと告げられた奈美は、ある事件が原因で音信不通になった仲良しグループ“SUNNY(サニー)”のメンバーを捜そうとする。

シネマトゥデイより)

 

韓国映画『サニー 永遠の仲間たち』を、『バクマン。』などの大根仁監督がリメイクした青春ドラマです。

40歳の主人公とその高校生時代を『アンフェア』などの篠原涼子と『ちはやふる』などの広瀬すずが演じるほか、小池栄子ともさかりえ渡辺直美池田エライザ板谷由夏らが出演。

 

Netflixにて鑑賞。

初めての鑑賞になります。

 

間もなく見放題終了とのことで(ただ、まだ20日以上ありましたが・・・)、今回は本作を選びました。

オリジナル版は観ておりません。

 

かつて青春を謳歌した女子高校生の仲良しグループ 「SUNNY」のメンバー6人は、約22年の時を経て それぞれ問題を抱える大人になっていた。何不自由ない生活を送っていた専業主婦の奈美は、ある日、久しぶりにかつての親友・芹香と再会するが、彼女は末期ガンに冒されていた。

 

「死ぬ前にもう一度だけ、みんなに会いたい」。 芹香の願いを叶えるため、奈美が動き出す。裕子、心、梅、そして奈々…、 かつての仲間は無事、芹香の前に再集結できるのか?

 

いい映画だと思いました。

感動的で涙するシーンもありました。

ですが、本作が悪いワケでは無いのですが、前日に完ぺきな映画を観たあとだっただけに、『イニシェリン島の精霊』に比べると普通に感じてしまいます。

まだ配信終了まで20日以上あったので、いっそ、ワースト級の評価の日本映画(それは日本映画宝庫ですからね。NetflixAmazonプライムビデオ、山のようにあります)にしておけばと思ってしまいました。

 

良かったところ。

リリー・フランキーさんの演技は安心して観ていられますね。(それが一番?)

続いて広瀬すずちゃんのお兄さんがエヴァ・ヲタ。(それは単に自分と同じだからじゃねぇか?)

 

高校時代の芹香を演じた山本舞香さんが印象に残る演技を披露しておりました。

彼女の演技は初めて観たのですが、良かったと思いました。

どうでもいいことですが、サイン入りカレンダー持っております。

 

すずちゃんはいつも通り魅力的でした。

全体的に有名どころの出演者は悪く無かったと思います。

 

・・・ただ、この映画はどう言った世代の人に向けられたものか難しいところがありました。

主人公たちのように’90年代コギャルと呼ばれた世代なのか?

だとしたら、その時代に青春を謳歌していた人たちに失礼と思える描写の多さに少し驚きと苛立ちがありました。

 

すずちゃん演じる奈美が転校してきたとこ、担任の教師が教室に入ってきても誰一人教師の言うことを聞かない。

それを叱らず転校生の紹介を始める教師も凄いと思ってしまいました。

完全にヤンキーしか存在しない学校。

 

転校生へのイジメは定番ですが、この時代のコギャルの”黒歴史”とも言える援助交際ブルセラなどを「懐かしき思い出」みたいに描いてしまったのはよろしく無いように思いました。

未成年の飲酒シーンがあるためPG12指定になった本作。

エンドクレジットで「未成年の飲酒は法律で禁止されております」と断り書きが出ますが、それよりまずい校内でのドラッグ使用、それをすずちゃんにも飲ませようとするシーンには、「これは日本が舞台なのか?」と思ってしまいました。

飲酒よりそちらを強く禁止するよう注意書きするべきでしたね。

 

池田エライザさんの美貌はすばらしいです。

すずちゃんとは違う魅力があると感じました。

ですが、「関西人が嫌い」という理由で最初はすずちゃんに冷たいエライザさん。

おそらく震災の影響から上京してきたと思われる人に冷たい態度と言うのもどうかと思いましたが・・・。

 

奈美の初恋(だと思います)のDJを演じた三浦春馬さん。

カッコよさと高い演技力。

本当にすばらしい俳優さんでした。

こうして過去形で書かなければならないのが本当に辛いです。

 

そのDJにカノジョがいて、奈美の初恋は砕けて散ってしまうのですが、これが相手といい、なんの前触れも無く、本当に唐突過ぎます。

 

主人公の奈美だけ、それなりに幸せな人生を送っておりますが、ほかのSUNNYの人たちは末期がん、ブラック企業勤め、夫の浮気、美容師廃業で水商売・・・など、なんか不幸の大安売りで、この辺りは日本映画節全開と言ったところ。

 

その末期がんで死んでしまう芹香が遺した財産と遺言状が『犬神家の一族』の犬神佐兵衛真っ青の凄いものでビックリ!

感動的・・・とも捉えられるものかもしれませんが、どちらかと言うとご都合主義が強い印象でした。

 

小室哲哉氏が音楽を担当し、trf安室奈美恵さんを崇拝するようにマインドコントロールしているかと思ってしまう内容でした。

ただ、私はアニメ・ヲタなので、安室奈美恵さんよりアムロ・レイで、同じ小室哲哉さんですと、あのサイコ・フレームの光のあとの「BEYOND THE TIME~メビウスの宇宙を越えて~」の方が好きなので、音楽はあまり乗れなかったです。

 

おばさんパート(←失礼)の女優さんたちは全員良かったですが、高校時代のメンバーはすずちゃん、エライザさん、山本舞香さん以外が薄口過ぎて、誰が誰になったのか分かりづらかったです。

最後に登場する人物の顔のキズがキレイに消えていたのはシャア・アズナブルへの当てつけか?

 

 

 

『イニシェリン島の精霊』

『イニシェリン島の精霊』

原題:The Banshees of Inisherin

 

2022年製作/イギリス映画/上映時間:114分/PG12/2023年1月27日日本公開

 

監督:マーティン・マクドナー

出演:コリン・ファレル

   ブレンダン・グリーソン

   ケリー・コンドン ほか

 

スリー・ビルボード』のマーティン・マクドナー監督が、人の死を予告するというアイルランドの精霊・バンシーをモチーフに描いた人間ドラマです。

島民全員が顔見知りであるアイルランドの孤島を舞台に、親友同士の男たちの間で起こる絶縁騒動が描かれます。

2022年・第79回ベネチア国際映画祭コンペティション部門でマーティン・マクドナー脚本賞を、コリン・ファレルがポルピ杯(最優秀男優賞)をそれぞれ受賞。

 

あらすじ

 

本土が内戦に揺れる1923年、アイルランドの孤島・イニシェリン島。島民全員が知り合いである平和な島で、パードリック(コリン・ファレル)は長年の友人であるはずのコルム(ブレンダン・グリーソン)から突然絶縁されてしまう。理由も分からず動揺を隠せないパードリックは、妹のシボーンや隣人ドミニクの助けも借りて何とかしようとするも、コルムから「これ以上自分に関わると自分の指を切り落とす」と言い渡される。やがて島には、死を知らせると伝承される精霊が降り立つ。

シネマトゥデイより)

 

スリー・ビルボード』のマーティン・マクドナー監督による人間ドラマです。

 

2023年・第80回ゴールデングローブ賞において、最優秀作品賞(ミュージカル・コメディ部門)、最優秀主演男優賞(コリン・ファレル、ミュージカル・コメディ部門)、最優秀脚本賞マーティン・マクドナー)の3部門を受賞。

2023年・第95回アカデミー賞において、作品賞、監督賞、主演男優賞など8部門9ノミネート。

 

Disney+にて鑑賞。

初めての鑑賞になります。

 

わたくし個人の2010年代鑑賞映画、ベストワンの『スリー・ビルボード』のマーティン・マクドナー監督の新作、アカデミー賞ノミネートなどもあり、楽しみにしておりました。

本年1月公開作品が早くも配信で鑑賞できるのは嬉しい限りですね。

 

内戦に揺れる1923年、アイルランドの孤島、イニシェリン島。島民全員が顔見知りのこの平和な小さな島で、気のいい男パードリックは長年友情を育んできたはずだった友人コルムに突然の絶縁を告げられる。

 

急な出来事に動揺を隠せないパードリックだったが、理由はわからない。賢明な妹シボーンや風変わりな隣人ドミニクの力も借りて事態を好転させようとするが、ついにコルムから「これ以上自分に関わると自分の指を切り落とす」と恐ろしい宣言をされる。

 

美しい海と空に囲まれた穏やかなこの島に、死を知らせると言い伝えられる“精霊”が降り立つ。その先には誰もが想像しえなかった衝撃的な結末が待っていた・・・。

 

劇作家としても活躍している『スリー・ビルボード』のマーティン・マクドナーが脚本・監督を手がけた、1920年代、内乱に揺れるアイルランド本土に近くにあるイニシェリン島を舞台に親友の仲違いを描いたブラックコメディと言える人間ドラマです。

 

スリー・ビルボード』に似た感覚のある映画で、正直、一筋縄ではいかない内容の映画です。

分かりやすいストーリーではありませんし、なぜ長年の親友が仲違いしてしまうかの説明もありません。

分かりやすい映画を好む方には不向きな映画です。

 

この映画を少しでも分かりやすくするためのポイントを少し。

まず、映画で描かれる対岸のアイルランドの内戦です。

独立したアイルランドという国の誕生ののちに、考え方の違いから国内で内戦が起こり、その内戦は一年に及び、アイルランドの人口の約1/10の死者を出したとのことです。

場所は違いますが、ケネス・ブラナーの『ベルファスト』でも内戦を描いてますね。

 

その本土のアイルランドの内戦をなにも無い島の2人の男を照らし合わせて描いております。

 

続いて、タイトルになっている『イニシェリン島の精霊』の精霊ですが、原題のThe Bansheesは精霊では無く”妖精”が正しく、アイルランドで伝わる泣き叫ぶ姿をした女性の妖精のことを指して、映画では死を予言する老婆が登場いたします。

 

なぜ人は争いを起こすのか?

それがよく伝わり、そこを考えるとそれほど難しい映画では無いと思いました。

特に”内戦”となると、他国との戦争以上にとことん相手を叩きのめすまで戦うところがあることを踏まえ、考え方の違いで長年の親友が内戦状態になる姿が凄まじく感じます。

 

ド田舎の島を舞台に、農業をして平凡な日々を過ごしているパードリック。

音楽を愛し、芸術を残したいと思っているコルム。

これまで何ごとも無く過ごしていた2人が突如ケンカ、絶縁状態に・・・。

なにも無い島なので、ウワサはアッと言う間に広まり、多くの人を巻き込んでいきます。

 

コリン・ファレル演じるパードリックの妹・シボーンを演じているケリー・コンドン。

アカデミー賞助演女優賞ノミネートも納得のすばらしい演技でした。

ご本人もアイルランド出身で、『アベンジャーズ』シリーズで人工知能フライデー役の声を務めていたそうです。

演じた役も面白く、ヴァイオリンを愛するコルムが「17世紀の音楽家モーツァルト」と言うシーンで、読書家の彼女は一枚上手で(島で一番頭がいいと言えます)「モーツァルトは18世紀の音楽家よ」と言い返すシーンは痛快でした。

 

そのシボーンに恋心を抱く青年を演じたバリー・コーガン

彼もアカデミー賞助演男優賞ノミネート。

彼も最高の演技を披露しておりました。

マーティン・マクドナー監督は俳優の演技力を引き出すのが上手いですね。

 

コリン・ファレルはキャリア最高と言える演技だったと思います。

最初、親友から絶縁され、トレードマークの八の字まゆ毛にして泣きそうな表情で「どうして~?」みたいな情けないところがいいです!

 

しかし、ある出来事をきっかけに2人は冷戦状態にまで発展していきます。

ここからまゆ毛が八の字になりません。

表情やセリフだけでなく、まゆ毛も演技するコリン・ファレルにあっぱれ!

 

ワンちゃんとロバが登場しますが、こちらも名演。

ドッグトレーナーのような人がロバの演技指導をしている映像特典がありましたが、シナリオの段階で「ロバが近づいてくる」などと細かく書かれていたそうで、コリン・ファレルが「そんなこと可能なのか?」と疑問を抱いていたのですが、見事な演技で監督の期待に応えていたと思います。

 

人工の少ない島。

それだけに島民はフレンドリーや家族的な関係・・・のようなものが築かれておらず、登場人物が全員ギスギスしながら生きているところがアイルランドというお国柄なのかな?と思ってしまいました。

まあ、日本も田舎は他人の干渉が多いのは間違いありませんが・・・。

 

「芸術」は永遠でも「優しさ」と言うものは永遠では無いのでしょうか?

本当に些細なことからのケンカが「お互い、どちらかが墓に入るまで終わらない」戦争にまで発展する物語は、今起こっているロシアとウクライナの戦争にも共通するところが多いです。

 

スリー・ビルボード』同様、ラストのセリフが強烈でした。

本当にすばらしいシナリオで、『スリー・ビルボード』同様、今回もオスカー受賞逃してしまいましたが、アカデミー賞はもっとマーティン・マクドナーの才能を評価してもいいのでは?と思いました。

本作も間違いなく大傑作でした。

 

 

 

『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』

『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』

原題:No Time to Die

 

2021年製作/アメリカ映画/上映時間:164分/G/2021年10月1日日本公開

 

監督:キャリー・フクナガ

出演:ダニエル・クレイグ

   ラミ・マレック

   レア・セドゥ ほか

 

イギリスの敏腕諜報(ちょうほう)員ジェームズ・ボンドの活躍を描く人気シリーズの第25弾です。

諜報(ちょうほう)の世界から離れていたボンドが、再び過酷なミッションに挑むます。

監督はドラマ「TRUE DETECTIVE」シリーズなどのキャリー・フクナガ

 

あらすじ

 

諜報(ちょうほう)員の仕事から離れて、リタイア後の生活の場をジャマイカに移した007ことジェームズ・ボンドダニエル・クレイグ)は、平穏な毎日を過ごしていた。ある日、旧友のCIAエージェント、フェリックス・ライターが訪ねてくる。彼から誘拐された科学者の救出を頼まれたボンドは、そのミッションを引き受ける。

シネマトゥデイより)

 

イアン・フレミング原作のMI6の諜報(ちょうほう)員、ジェームズ・ボンドの活躍を描いた『007』シリーズ第25作目です。

ダニエル・クレイグが5度目のボンドを演じ、前作『007/スペクター』から引き続きレア・セドゥ、ベン・ウィショーナオミ・ハリスロリー・キニアレイフ・ファインズらが共演。

新たに『ブロンド』のアナ・デ・アルマス、『ボヘミアン・ラプソディ』でアカデミー主演男優賞を受賞したラミ・マレックが悪役として登場。

 

Amazonプライムビデオにて鑑賞。

初めての鑑賞になります。

 

間もなく見放題終了とのことで、「これは観ておかなければならない映画」と思い、またまた『イニシェリン島の精霊』を後まわしにして、今回は本作を選びました。

 

ボンドは現役を退きジャマイカで穏やかな生活を満喫していた。しかし、CIA出身の旧友フェリックス・ライターが助けを求めてきたことで平穏な生活は突如終わってしまう。

 

誘拐された科学者を救出するという任務は、想像以上に危険なもので、やがて、それは脅威をもたらす最新の技術を保有する黒幕を追うことになるが・・・。

 

2006年の『カジノ・ロワイヤル』から約15年、6代目ジェームズ・ボンドを演じ続けたダニエル・クレイグ、最後のボンド役ということもあり(前作の『スペクター』が最後だと思っておりましたが)、公開前から、かなり期待してムビチケも購入していたのですが、さすがのボンドもコロナには勝てず、度重なる公開延期で興味が薄れ、結局劇場では観ることができす、今回Amazonプライムビデオでようやく観ることができました。

 

・・・なんですが、ぶっちゃけ言わせていただくと、思いっきり期待はずれ。

前作『スペクター』で終わらせておけば良かったと思う内容にガッカリ感漂っております。

 

※ネタバレ全開で書きます。まだ未見の方はご注意を。※

 

ボンドが隠居生活(?)して、その間に新たに黒人女性諜報(ちょうほう)員が”007”を名乗ります。

公開前から、次のボンドは黒人女性にする・・・などというウワサが出回っていたので、驚きは無かったですが、ボンド以外の人物に”007”を名乗ってもらいたくなかった。

もちろん黒人女性が活躍することには大賛成ですが・・・。

 

期待のアナ・デ・アルマスの活躍するシーンが少なすぎます。

(このドレスは感涙ものですが)

「まさか、これで終わりじゃ無いだろうな~」と後半での再登場を待っておりましたが、登場いたしませんでした。

 

本来のヒロイン(昔風に言うとボンドガール)のレア・セドゥが連投。

ミステリアスなヒロインを演じておりました。

 

ラミ・マレック演じる悪のボスが今ひとつ悪としての魅力がありません。

シリーズですと、ハビエル・バルデムクリストフ・ワルツとオスカー俳優3連発で悪役を演じているのですが、コーエン兄弟タランティーノ作品で悪役を演じオスカー受賞した前の2人に比べると悪のオーラのようなものが感じられず残念でした。

 

弾まない会話、キレの無いアクションシーンなど、「これがボンド映画なのか?」と思ってしまうほどでした。

 

もちろん良かったと思うシーンも。

クリストフ・ワルツの登場シーンは良かったですね。

さすがの悪の貫禄。

 

アナ・デ・アルマスのアクションも良かったと思いました。

 

MI6のお馴染みのメンバーはまずまず。

Qを演じたベン・ウィショーはいつも通りのいい味を出していたと思います。

 

あのエンディングは『カジノ・ロワイヤル』のときから決まっていたそうですが、それなら、もっと感動的に描いてもらいたかった気持ちが強いです。

スカイフォール』のときのジュディ・デンチのMの殉職シーンの方が泣いてしまいました。

 

ヒーローの勇気ある戦死。

アベンジャーズ/エンドゲーム』のアイアンマンの指パッチンのときのような号泣は本作には無かったです。

 

ただ、クレイグは今までで一番恵まれたボンドを演じた俳優かもしれません。

キチンと”完結”と呼べる終わり方を用意してくれていたので。

 

プロデューサーとケンカして終わったショーン・コネリーの『ダイヤモンドは永遠に』。

歳と取り過ぎちゃって、結果シリーズ最低の『美しき獲物たち』で終えたロジャー・ムーア

酷い内容のうえ、ファンから嫌われリストラで終えた『消されたライセンス』のティモシー・ダルトン

荒唐無稽過ぎて、もはやスパイ映画と言えなくなった『ダイ・アナザー・デイ』で終えたピアース・ブロスナン

 

原作ボンドの条件、身長180cm超、面長、黒髪、灰色の瞳にそぐわないという理由から、アンチの大炎上がありましたが、それを黙らせた『カジノ・ロワイヤル』での好演。

そのクレイグに本当にお別れを言える作品だったことは、過去のボンド俳優と違い本当に良かったと言えると思います。

 

・・・ですが、英国最強の諜報(ちょうほう)員を畳の上で土下座させてはいけません。

 

結局、『カジノ・ロワイヤル』と『スカイフォール』だけだったかな?クレイグ=ボンドは。

アナ・デ・アルマスの登場シーンがあと30分多ければ合格点でしたが・・・。

 

 

 

『オリ・マキの人生で最も幸せな日』

『オリ・マキの人生で最も幸せな日』

原題:Hymyileva mies

 

2016年製作/フィンランド・ドイツ・スウェーデン合作映画/上映時間:92分/PG12/2020年1月17日日本公開

 

監督:ユホ・クオスマネン

出演:ヤルッコ・ラフティ

   オーナ・アイロラ

   エーロ・ミロノフ ほか

 

2016年・第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門でグランプリを受賞したラブストーリーです。

1960年代のフィンランドで、大切な試合に臨むボクサーが恋に落ちる姿が描かれます。

 

あらすじ

 

1962年夏、フィンランドヘルシンキ。パン屋の息子でボクサーのオリ・マキ(ヤルッコ・ラフティ)は、世界タイトル戦でアメリカ人のチャンピオンと戦うことになる。試合に向けて準備を進め、減量に取り組む彼に国中の期待が集まる中、オリはライヤ(オーナ・アイロラ)という女性に恋をする。

シネマトゥデイより)

 

世界タイトル戦を前に恋に落ちてしまったボクサーの実話をもとに描き、2016年・第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で作品賞を受賞したフィンランド発のラブストーリーです。

監督は、ショートフィルムなどを手掛け、本作がデビューとなるユホ・クオスマネン。

 

Amazonプライムビデオにて鑑賞。

初めての鑑賞になります。

 

間もなく見放題終了とのことと、ボクシングを題材にした映画は傑作が多いので、期待を込めまして今回は本作を選びました。

 

1962年夏、パン屋の息子でボクサーのオリ・マキは、世界タイトル戦でアメリカ人チャンピオンと戦うチャンスを得る。

 

準備はすべて整い、あとは減量して集中して試合に臨むだけというタイミングで、オリはライヤに恋をしてしまう。

 

フィンランド国中がオリに期待し、周囲が勝手に盛り上がる中、オリは自分なりの幸せをつかむためにある行動に出る・・・。

 

フィンランドで初めてボクシング世界戦が行われた実話を基に製作されたラブストーリーです。

’60年代の空気を再現するため、全編モノクロ16ミリフィルムで撮影されたそうです。

カンヌ国際映画祭で「ある視点」部門で作品賞を受賞。

「ある視点」がどの視点なのか分かりませんが・・・。

 

Amazonプライムビデオは力を入れたボクシング世界タイトル戦の配信が終わったからか、今月いっぱいくらいで一斉にボクシングを題材にした映画の配信が終了してしまいます。

『ロッキー』シリーズ全作、そのスピンオフの『クリード』2作(『クリード』は3作目公開が控えているので、もう少しやってもらいたかった)、そして、本作同様モノクロームで撮影された『ロッキー』のプロデューサー&監督:マーティン・スコセッシ&脚本:ポール・シュレイダーロバート・デ・ニーロ主演の大・大・大傑作『レイジング・ブル』が終了いたします。

本当はこちらを紹介したいくらいの気持ちでしたが、40年以上前の映画ですし、すでに10回は観ているので、未見の本作を選びました。

 

・・・なのですが、本作は『ロッキー』や日本の傑作アニメーション作品「あしたのジョー2」(「1」ではありません)のような熱いボクシングシーンはありません。

どちらかと言うとラブストーリーがメインの映画です。

 

ですが、普通ラブストーリー、ラブロマンス映画はまず出会いのところから描き、そこから恋愛へ発展していく姿を映し出すのですが、このオリ・マキさん、すでにこの女性と半同棲的な生活をしているところから物語が始まります。

正直、ラブロマンス映画としても中途半端な感がありました。

 

減量のシーンは”ボクシング映画”的で良かったですが(「ジョー2」同様、減量にはサウナは欠かせないみたいですね)、それ以外はあまり”ボクシング映画”と言った感じはありません。

ただ、計量パスせず、プロモーター(だと思う)人が「パンツ脱げ」と言ってそうしたら、すんなりパス。

「どんだけー」(←ikkoさん風)では無く、「それだけー?」と思ってしまいました。

 

フィンランド国民、そして、この映画を鑑賞している人たちの期待のタイトルマッチもあっさり。

当たり前ですが、試合後リング上で彼女の名前を叫ぶ・・・などと言うシーンもありません。

 

ボクサーの人が幸せになってはいけないなどとは思いませんが、プロボクサーは世界一幸の薄いプロスポーツ選手で、多くの代償を支払うことで、逆にチャンピオンという栄光をつかみ、巨万の富を得る・・・ところがカッコいいと私は勝手に想像しておりました。

 

サーカスの見世物小屋の女性と自分の姿をダブらせるところ、ラストシーンがチャップリンの『モダンタイムス』みたいな感じのところは良かったかな?と思っております。

ただ、オリ・マキさんは”フィンランドの種馬”・・・にはなれませんでした。

 

※『ロッキー』、「あしたのジョー2」の結末に触れます。未見の方はご注意を。※

 

 

 

 

 

 

 

 

『ロッキー』(第1作)、「あしたのジョー2」の主人公は世界チャンピオンになれず物語は終わっております。

しかし、最後のシーン、2人は惨めな敗者では無く、そこには勝者以上の”成し遂げた”男の姿があったように思います。(「ジョー2」は謎多き終わり方なので何とも言えないところもありますが)

 

この映画は敗れたボクサーが愛する女性と再スタートするところがクライマックスと言えるかもしれません。

その日が『オリ・マキの人生で最も幸せな日』なんでしょうが、やはり物足りなさが残る出来でした。

ボクシングかロマンスか、どちらかでいいので胸ときめくものがあれば良かったのですが、どっちつかずな感じで残念でした。

16ミリで撮影されたモノクロ映像は良かったです。

 

カンヌの人はどこが良かったのかな?

 

 

 

coco壱カレー弁当  ふたたび

coco壱番屋のカレー弁当をふたたび注文いたしました。

こちらです。

今回はこれがメインの状態です。

シンプルにロースカツカレー弁当を注文いたしました。

(相変わらずテーブルが汚い)

今回もカレーは別の容器に。

かけます。

+トッピングで海の幸を注文いたしました。

前回、あさりの生臭さに文句を言っていたのですが、ついつい・・・。

イカリング、エビ、そしてあさり。

今回はそれほど生臭く無く、ベストチョイスだと思いました。

 

カレーライスは美味しいです。

そしてcoco壱番屋は本当に美味しい!

ですが、お値段が・・・。

今回はUber Eatsの¥2,000以上で¥1,200割引きという特典があったので良かったですが、そうそう頻繁には注文できません。

coco壱カレー 三度は、かなり先になると思います。

 

ご馳走様でした。

 

 

 

 

『検察側の罪人』

検察側の罪人

 

2018年製作/日本映画/上映時間:123分/G/2018年8月24日日本公開

 

監督:原田眞人

出演:木村拓哉

   二宮和也

   吉高由里子 ほか

 

クローズド・ノート』、『犯人に告ぐ』などの原作で知られる雫井脩介のミステリー小説を、木村拓哉二宮和也の初共演で映画化した作品です。

クライマーズ・ハイ』、『関ヶ原』などの原田眞人監督がメガホンをとり、ある殺人事件を巡る2人の検事の対立を描きます。

 

あらすじ

 

東京地方検察庁刑事部に配属された検事の沖野啓一郎(二宮和也)は、有能で人望もある憧れのエリート検事・最上毅(木村拓哉)と同じ部署になり、懸命に仕事に取り組んでいた。あるとき、二人が担当することになった殺人事件の容疑者に、すでに時効が成立した事件の重要参考人・松倉重生が浮上する。その被害者を知っていた最上は、松倉に法の裁きを受けさせるべく執拗(しつよう)に追及するが、沖野は最上のやり方に疑問を抱き始め……。

シネマトゥデイより)

 

犯人に告ぐ』などで知られる雫井脩介の同名ミステリー小説を映画化した作品です。

東京地方検察庁を舞台に、人望の厚いエリート検事と彼に心酔する新米検事がある殺人事件の捜査をめぐってすれ違い、やがて二人の正義がぶつかり合うさまが映し出されます。

 

Amazonプライムビデオにて鑑賞。

初めての鑑賞になります。

 

特にこれと言った理由なく本作を選びました。

監督が原田眞人なので、ホラー映画を観る前以上の恐怖がありましたが・・・。

 

都内で発生した殺人事件。犯人は不明。事件を担当する検察官は、東京地検刑事部のエリート検事・最上と、刑事部に配属されてきた駆け出しの検事・沖野。最上は複数いる被疑者の中から、一人の男に狙いを定め、執拗に追い詰めていく。

 

その男・松倉は、過去に時効を迎えてしまった未解決殺人事件の重要参考人であった人物だ。最上を師と仰ぐ沖野は、被疑者に自白させるべく取り調べに力を入れるのだが、松倉は犯行を否認し続け、一向に手応えが得られない。やがて沖野は、最上の捜査方針に疑問を持ち始める。

 

「最上さんは、松倉を、犯人に仕立て上げようとしているのではないか?」・・・。 互いの正義を賭けて対立する二人の検事。彼らの戦いに、待ち受けていた決着とは・・・。

 

原田眞人

1986年の『おにゃん子ザ・ムービー 危機イッパツ』の脚本・監督を手がけ一躍活動の場を広げます。(おにゃん子に興味無かったので未見です)

しかし、その後作る映画は『ガンヘッド』(1989)、『クライマーズ・ハイ』(2008)、『日本のいちばん長い日』(リメイク・2015)など、不完全な良心回路を持ったジローを苦しめるプロフェッサー・ギルの笛のような苦痛を与える(分かりづらい例えだ)映画ばかり製作しております。

特に酷かったのが、本作の前作にあたる『関ヶ原』(2017)。

有村架純さんの大ファンの私は架純さんの演技を楽しみに劇場へ足を運んだのですが、彼女の魅力をまったく引き出せず、映画は観るのが本当に苦痛の最悪の出来でした。

 

・・・ただ、コイツ(などと書いてはいけない)、イッパツだけ大ホームランを放って、『わが母の記』(2012)は感動で泣いてしまいました。

また翻訳家としても優秀で、スタンリー・キューブリック監督から信頼され、DVD化する作品の翻訳を担当。

グッドモーニング・ベトナム』など英語のスラングが多く使われる作品を得意としておりました。

 

2003年、俳優として『ラスト サムライ』でハリウッドデビュー。

 

撮影初日にトム・クルーズに自作のビデオを数本渡したそうです。(トムにはいい迷惑だ)

その中にあった『KAMIKAZE TAXY』(1995)がのちのトム・クルーズ主演の『コラテラル』(2004)に酷似していたことから、トムやドリームワークスを相手取って「訴える」と意気込んでおりましたが、その後、そのような行動は取っておりません。

 

原田の映画は本作を含め、ほとんどが原作ものなので、コイツ(って書いてはいけない)はストーリーテラーでは無いので、盗作では無い気がします。(『コラテラル』面白かったので)

 

また、役所広司さんがいないと何もできない男で、「ドラえもん」に似ている関係です。

原田=のび太、役所さん=ドラえもん

「助けてドラえもん!」と役所さんに頼りっきりでしたが、役所さんの四次元ポケットも底をついたのか、『関ヶ原』を最後に愛想を尽かされてしまったようで、今は『関ヶ原』の主演の岡田准一さん(シン・ドラえもん)に頼りっきりです。

 

受賞歴も幾つかありますが、ほとんどが日本アカデミー賞というのが笑えます。

Wikipediaを参考にさせていただきました)

 

その原田が撮った映画としては、結構面白く観ることができました。

おそらく原作の良さ、ストーリーの面白さがあったからだと思います。

 

原田に関しては相変わらずの原作レ○プ、俳優に頼りっきり。

役所広司さんがいないので、「もう、しずかちゃん(木村拓哉さんの奥様ではありません)、セワシくん助けて~」みたいな状態でした。

 

関ヶ原』はほとんどセリフが聞き取れず、ストーリーも分からない出来だったので、今回はAmazonプライムビデオの恩恵で日本語字幕を入れて鑑賞いたしました。

・・・それでも、このセリフ劇は分かりづらい。

木村拓哉さん演じる最上の親友と言っていた丹野という男、議員らしいのですが、バックボーンがまったく描かれず、突然”大スキャンダル”、そして突然自殺。

 

終盤登場する山崎努さんの役もサッパリ分かりませんでした。(沖田艦長では無いようでしたが)

「権藤さん、あんたヘタな小細工してるんじゃないだろうね?」と言ってほしかったですが、原田の映画では聞き取れないと思います。

そもそも、そんなセリフ言っちゃったら、それこそ原田が黒澤プロに訴えられますが・・・。

 

とにかく”唐突”の連発。

録音をやめた途端、時効になった殺人事件の真犯人だと名乗り出る男。

昼日向のラーメン屋で「殺人犯はオレだ」と叫ぶ男。

 

二宮和也さんと吉高由里子さんのラブシーンも唐突。

しかも、事が済んだあとのこのシーン、この姿勢には「・・・?」状態でした。

新たなプロレス技?

 

その吉高由里子さん演じる事務官(・・・で、いいのかな?)はある目的があるのですが、その辺りの描き方もテキトーで終盤は「もう、どうでもいいや」的投げやりになっていて、思いっきり消化不良。

 

木村拓哉さん演じる最上が松倉を憎む理由。

それは分かるのですが、これも描き方が上手くなく、「なぜ、そこまで?」と思ってしまうものでした。

 

本作を日本版『スリーパーズ』と評している批評家がおりました。

法律を利用し、復讐を果たす物語という点では共通点もあると思います。

例え、それが正義では無かったとしても・・・。

 

”二兎追う者は一兎も得ず”。

木村拓哉さん&二宮和也さんW主演で話題の作品でしたが、どちらのキャラクターも描き方が雑で薄味になってしまい、逆に犯罪者を演じた俳優さんが目立つ結果になってしまいました。

その殺人犯がいきなりタップダンス踊るシーンは「ギャグなのか?」と思ってしまいました。

私はお二人のファンではありませんが、やはり「もったいない」という気持ちになってしまいました。

 

日本で”ネオナチ”などと言われてもピンと来ません。(ネオショッカー、ネオジオンなら分かります)

でも、まあ原田眞人監督の映画として観れば、傑作と言えるかもしれません。

でも、ほとんどの方がレビューされている通り、セリフ聞き取れる映画を作ってもらいたいですね。

 

大田区蒲田で起こった殺人事件ですと、別にすばらしい映画がありますので、そちらをオススメしたいと思います。